アメリカと日本では、東京オリンピックに関してどんなツイートが注目されたのか?
オリンピック公式アカウントによるTwitterより
8月8日に閉会した東京オリンピック。
日本は過去最多の金メダルを獲得し、メダルラッシュに沸く一方で、開催期間中も新型コロナウイルスの感染が拡大した。東京オリンピックは、Twitter上ではどう受け止められたのか?
世界各国のSNS解析やコンサル事業を手掛けるソリッドインテリジェンスが、東京オリンピックについてのTwitter投稿を分析。アメリカと日本、それぞれの国で、オリンピックの開幕時と閉幕時に反響を集めた投稿をまとめた。
開会時に日本で約49万、アメリカで約8万件投稿
ソリッドインテリジェンスでは、オリンピック開催期間、アメリカ国内と日本国内での投稿されたオリンピック関連の投稿を、1日あたり日米それぞれ5万件をランダムで抽出して分析した。
分析したツイートの条件は、「オリンピック(olympic・olympics)」「五輪」という単語に加え、「2020」「2021」「東京(tokyo)」のいずれかを単語を含む投稿とした。
7月23日のオリンピック開催直後、日本では開会式当日に約49万件の投稿があり、アメリカでは7月24日に約8万件の投稿があった。
オリンピック大会期間を通じて、開会式直後に最も投稿数が多かった。8月8日の閉会式の日には、日本で約30万件、アメリカで約4万件の投稿があった。
投稿内容が肯定的か否定的か、または中立的かも調査。
7月1日~8月9日の期間、オリンピックに関する投稿を、肯定的・否定的・中立的に分けて集計した。
ソリッドインテリジェンスのデータを基に編集部作成
7月1日からの推移を見てみると、アメリカではオリンピック開会前の7月8日には否定的な投稿の割合が5割を超えていたが、開会式時点では3割、閉会式時点では1.5割程度まで減った。
一方、日本ではオリンピック期間中に、中立的な投稿が急増した。
開会式の時点では、否定的な投稿と肯定的な投稿はそれぞれ2割で、中立的な投稿が6割だった。日本ではオリンピック前から、否定的な投稿の割合が、肯定的な投稿を上回ることが多かったが、閉会式の翌日(8月9日)には否定的な投稿が2割に減り、肯定的な投稿が3割になった。
東京オリンピックでは大会を通じてどんな投稿が注目されたのか?まずはアメリカで注目された投稿を見てみよう。
開会時、アメリカで注目された投稿
3大会連続で旗手を勤めたトンガの選手を紹介したオリンピック公式アカウントのツイート。
開会式のセレモニーで使われた木材が、1964年の東京オリンピックで、海外選手によって持ち込まれた種から育った木材だったと紹介した公式アカウントによるツイートも注目された。
元ファーストレディーのミシェル・オバマ氏が「この瞬間のために懸命に努力してきた選手一人ひとりをとても誇りに思います」とアメリカの選手たちを応援した投稿。
アメリカの天文学者が、「18カ月におよぶウイルスによる侵略、恐怖、無知、憎悪、喪失の後、この世界に残っていた尊厳を救い出した」としたツイート。
開会式の入場で使われたゲーム音楽について、曲名をあげたツイートも注目された。アメリカ国内で多くツイートされた。
一方、コロナ禍でのオリンピックの難しさを感じさせる投稿もあった。
五輪開催に反対するデモの動画付きの投稿も注目された。この投稿は「静かな時間であればスタジアム内でも聞こえる」としている。
ワクチンの接種が進んでいないことを指摘する投稿も。「日本政府は十分なワクチンを入手できず、オリンピックを優先させたため、私を含む65歳以下の日本国民の多くはまだワクチンを接種していません」
ニューヨークタイムズの報道。スペイン代表のアーティスティックスイミング選手が、コロナ対応で授乳期の子どもと隔離されてしまうとして「子どもと一緒に東京に行くことが難しい」と表明した。
閉会時にアメリカで注目されたのは?
オリンピックの閉会時に注目されたのは、五輪期間に活躍したアメリカの選手らに関する投稿が多かった。
母親もアメリカ代表のバスケット選手だった、ジャベール・マギー選手が金メダルを獲得。親子で金メダルを伝えたアメリカのスポーツメディア、ESPNの投稿が注目された。
日本の対応に関する投稿も注目された。タイムアウト・ロンドン誌は、オリンピックの出場選手を応援する看板を掲げた日本人男性を紹介した記事をツイート。
世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は、東京オリンピックの大会MVPに山田哲人選手が選出されたことを伝えた投稿も注目された。
閉会式の最後に表示された「ARIGATO」の文字は、1964年の東京大会の閉会式での「SAYONARA」と同じ書体だと紹介した、オリンピック公式アカウントによる投稿。
日本で五輪開会時に話題になった投稿は?
日本でもアメリカ同様に、オリンピック開催期間中に否定的な投稿の割合は減少していた。オリンピック開会時に、日本で話題になった投稿を見てみよう。
開会式での国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長と大会組織委員会の橋本聖子会長のあいさつが、予定より長くなったことを知らせるヤフーニュースの投稿が注目された。
開会式でドローンを使って地球を描いたことを紹介する、オリンピック公式アカウントによる投稿が注目された。
聖火ランナーとしてプロ野球・読売巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんらが登場したことを伝えたスポーツ報知の投稿。
東京タワーがオリンピックカラーにライトアップされたことを紹介した個人の投稿にも反響があった。
閉会時に日本で注目された投稿
新体操のウズベキスタン代表がセーラームーンの衣装を身に着けたことに関するツイートが各所から。
駐日ジョージア臨時代理大使のティムラズ・レジャバ氏による投稿。「ジョージアは日本の皆様に対して、この歴史に残る記憶に心から感謝しております」。
野球日本代表「侍ジャパン」の選手たちの、閉会式前の様子を投稿した日刊スポーツの投稿も注目された。
東京オリンピックについて、開催を感謝する個人の投稿も多くリツイートされた。
分析を実施したソリッドインテリジェンスの丸野敬社長は、今回の結果について次のように話した。
「アメリカはメダル獲得選手に注目した投稿の拡散が多かったのに対し、日本では開催前も含めてオリンピック期間中はネガティブな投稿も多かった。
一方で閉会時には、大会の開催自体への感謝や、競技に対するポジティブな内容が増えたことが特徴的だった」
(文・横山耕太郎)