週休2日制からの脱却には、計画性が必要だ。
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- イギリスの法律事務所、アーケンのCEOは、2021年6月に週4日制を導入した。
- その結果、生産性とウェルビーイングが向上したが、課題もあった。
- その課題には、5日制の「習性」からの脱却、私語の削減、シビアな計画性などが含まれている。
ハイブリッド・ワークの常態化により、週休4日制や、給与を維持したまま従業員の労働時間を短縮することが望ましいのか、それは現実的なのか、といった議論が再燃している。
デーヴ・ニューイック(Dave Newick)は週休4日制を成し遂げたCEOの一人で、週5日制の考え方を変えることの難しさを語ってくれた。
ニューイックは、イギリスのケントに拠点を置く、デジタル遺言・信託事業を行うアーケン・リーガル(Arken.legal)のCEOだ。
アーケンは2021年6月、9カ月間のトライアルを経て、恒久的な週休4日制への切り替えを発表した。
22人のスタッフ全員が、自分の好きな曜日に1日プラスして休みを取ることができるようになった。ほとんどのスタッフは金曜日に休んでいるが、ローテーションでお互いをカバーし合う必要がある数名は月曜日に休んでいる。
スタッフは週に平均32時間勤務しており、通常の平日は午前9時始業で、午後5時にはオフィスを出るとニューイックはInsiderに語った。
アーケンのデーヴ・ニューイックCEO。
Arken.legal
週4日制の導入の結果、ウェルビーイングとワークライフバランスが改善され、社内調査では85%のスタッフが、この試みによって会社に対する見方が改善されたと回答している。また、生産性の低下も見られないという。
週休3日制の導入初期の問題について尋ねられたニューイックは、自身を含めて「ルーティーンの変更」に関するものが多いと答えた。
「そのうちのいくつかは、今までの考え方に挑戦するものだ」と彼は話す。
「私は54歳だが、これまでの社会人生活では週5日という決まった方法で働いてきた」
テスト運用を始めてみると、ニューイックは自分が週5日働いていることに気がついた。そしてチームの他のメンバーから、他の人も同じように働かなければならないという気持ちを与えていると言われてしまった。
時間はかかったものの、最終的には金曜日は休むようになったという。
当初は、2021年10月から3カ月のトライアルでコンセプトをテストする予定だったが、イギリスで新型コロナウイルスによるロックダウンが行われたことで9カ月に延長されたという。
週休4日制を実現するためには、生産性を高めることが重要だとニューイックは言う。
「自分では生産性の高いビジネスだと思っていても、実際に掘り下げてみると、非生産的な部分があることに気づく」と彼は話す。
「生産性の測定を行い、その基準となる仕組みを人々に提供すれば、実行可能なことが理解できる」
スタッフはソフトウェアを使用して、2週間のサイクルで自分の時間にタスクをマッピングしながら業務を行う。これはアジャイル型のプロジェクト管理で、今後2週間の各スタッフの業務内容を設定し、何をどのように行うべきかを明確にするものだ。
ニューイックはプロセスを適応させて可能な限り自動化することが重要だと付け加えたが、一方で、そのプロセスでは、勤務時間外の同僚にメッセージを送ったり、休みのときにEメールやその他の通知に答えたりしないよう、スタッフが規律を守ることも必要だという。
職場での雑談もターゲットになった。
「1日のうち、どれだけの時間を無駄にしているか分からない。オフィスに行くと、どうでもいいような会話が延々と続いていることがあった」とニューイックは話す。
ただし、これは経営側の指示ではなく、社員が会話を減らすことを選んだのだと彼は付け加えた。オフィスでは定期的に交流の場を設けているという。
彼はこのやり方がすべての人に適している働き方ではなく、移行後に辞めてしまった人もいることを認めた。
信頼することと適切な人材を採用することが重要だとニューイックは言う。
「彼らが自己管理し、実際にやりたいから、自分にとって重要だからやっている、ということを確認しなければならない」
[原文:A CEO who moved his company to a 4-day week says he struggled to stop working all 5 days]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)