2021年8月16日、国外脱出のためにカブール国際空港へと向かう子どもを連れた女性たち。
Reuters
- タリバンの指導者は、女性も政府に参加すべきだと発言し、タリバンの変化を示唆した。
- アフガニスタンの人々は、過激派グループによる保守的な政権に戻ることを覚悟している。
- 崩壊した政府のある大臣は、「アフガニスタンのすべての女性が抱く恐怖」を感じていると述べた。
AP通信によると、タリバンの指導者が2021年8月17日に「恩赦」を発表し、女性も新しい政府に加わるべきだと述べたという。
それによると、タリバンの文化委員会のメンバー、アナムッラー・サマンガニ(Enamullah Samangani)は「イスラム首長国(the Islamic Emirate)は女性が犠牲者になることを望んでいない」と述べた。「イスラム首長国」とは、タリバンによるアフガニスタンの呼称だ。
「女性はシャリア法に則った政府機構の中に存在すべきだ」
サマンガニの恩赦の話は具体的ではなく、どのような内容になるのかについてはほとんど手がかりがないとAP通信は報じている。タリバンは崩壊した政府との交渉を続けているが合意に至っていないという。同国のアシュラフ・ガニ(Ashraf Ghani)大統領は15日に国外に脱出した。
アメリカ軍の撤退の後、タリバンが驚くほどの速さで首都カブールを含めた全土を掌握した数日後にこのコメントが出た。
AP通信によると、タリバンは女性が教育を受けることに対して門戸を開いているとし、崩壊した政府で働いていた人々に対する報復もないと約束している。
それにもかかわらず、多くのアフガニスタン人はタリバンによるの超保守的な歴史の再現を恐れて、必死になって国外に脱出しようとしている。とりわけ、女性の自由に対する攻撃への危機感が強い。
報復に備えるかのように、カブールの美容院の外壁に飾られていた女性の写真が15日に早くも塗り潰された。アフガニスタンの女性ジャーナリストたちは報復への恐怖を口にしており、同じく15日に、CNNのクラリッサ・ウォード(Clarissa Ward)がタリバンの戦闘員から「女性だから」という理由で前に出ないように言われたと報じた。
サマンガニの発言がなされる前の15日、崩壊した政府の教育大臣、ランジーナ・ハミディ(Rangina Hamidi)は、政府の役職に就いたことによる影響を恐れているとBBCに語っていた。彼女は「アフガニスタンのすべての女性が抱いている恐怖」を感じたという。
「心の奥底では、私は何も悪いことをしていないと自分に言い聞かせている。できれば政府の役職に就いたことによる代償を払わなくて済むように願っている」と彼女は語った。
「思いもしない結果に直面するかもしれないが、それが世界を少しでも良くしようしたことへの代償なのだろう」
AP通信によると、2001年にアメリカが介入する前のタリバンによる最初の支配を経験した多くのアフガニスタン人は、サマンガニの発言に見られる明らかな変化に懐疑的であるという。
その時代、女性は家に閉じ込められ、石打ちや斬首、切断などの残虐な刑罰が行われていた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)