グーグル製ワイヤレスイヤホンの廉価版が登場した(写真のカラーはDark Olive)。
撮影:小林優多郎
グーグルは8月18日に新型スマホ「Pixel 5a (5G)」の発表と同時に、ワイヤレスイヤホン「Pixel Buds A-Series」(以下、Pixel Buds a)の日本展開も発表している。
直販価格は1万1900円(税込)。発売日は8月26日、直販サイト「Googleストア」のほか、ソフトバンクの各種販売店など販売される。
Pixel Budsはグーグルが開発する完全分離型のワイヤレスイヤホンで、A-SeriesはPixel aシリーズと同じく、エントリー向けの廉価版というイメージのネーミングだ。
「廉価版のイヤホン」の販売はグーグルとしては初。その使い勝手を実機で確認してみた。
音量操作やケースの充電の使い勝手に差
Pixel BudsおよびPixel Buds A-Seriesの主な差分(情報はGoogle Storeページより引用し、編集部によって作成)。
作成:Business Insider Japan
Pixel Buds aは廉価版ということで、2020年8月に日本で発売された「Pixel Buds」と比べて、機能に制限がある。
詳細は上の比較表を見ていただきたいが、一言で言えば「イヤホンとしての性能は変わらず、使い勝手が異なる」といった具合だ。
グーグルの「G」ロゴがセンサーになっている。
撮影:小林優多郎
特に大きいのが「スワイプ操作」に対応していない点だ。従来のPixel Budsは左右の「G」マークの部分にタッチセンサーが搭載されており、
- 1回タップで「一時停止/再生」
- 2回タップで「次の曲へ」
- 3回タップで「前の曲へ」
- 長押しで「Googleアシスタントの呼び出し」
- 左右のスワイプで「音量調整」
といった操作ができた。
Pixel Buds aでは、スワイプ=音量調整だけができない。音量を下げるには接続しているスマホを操作するか、Googleアシスタントを呼び出し声で操作する必要がある。
主な設定はスマホ側で行う。Pixelスマートフォンの場合、Bluetooth設定で調整できるが、他のAndroidスマホの場合は「Google Pixel Buds」アプリをインストールする必要がある。
撮影:小林優多郎
周囲の環境音に応じてBudsが自動で音量を変えてくれる「アダプティブ サウンド」に対応しており、慣れれば自分で音量を調整する必要がなくなる。が、急激に音量が変わることはないとはいえ、人によっては慣れるまで少し時間がかかる。
なお、Pixel Buds aは赤ん坊の泣き声やサイレンなど重要な音を検知したら音量が小さくなる「アテンションアラート」も非対応となる。
卵のような形をしている充電ケース。ケース自体は底面にあるUSB Type-C端子で充電できる。
撮影:小林優多郎
そのほかの部分の違いは、正直“致命的”と思える程ではない。強いていえば、充電ケースにQi(チー)規格のワイヤレス充電機能がない部分は残念ではあるが、そもそも有線でつなげた方が充電時間は短くて済む。
音質はクリア、数時間利用でも耳が痛くなりにくい
長時間装着したままでも耳が痛くならなかった。
撮影:小林優多郎
実際に数時間Pixel Buds aで音楽を聴きながら仕事をしてみたが、だいたい4時間弱は連続再生できた。公称値より短かったのは、アダプティブ サウンドのほか、低音を強化する「バスブースト」を有効にしていたからだろう。
音質はあまり低音が響く感じではないが、かなりクリアな印象。自分はポップスやゲーム音楽をよく聞く方なので、好みの方だった。
また、Pixel Budsと同じく非常に軽量(左右それぞれ5.06グラム)かつ、固定用のアーチがうまく耳にフィットするため、他のカナル型(耳栓のように耳穴をふさぐタイプ)より長時間つけていても耳が痛くならずに済んでいる。
この辺りの感覚は前述のようにPixel Budsとほとんど変わらない。しかし、大して音楽体験が変わらないからこそ、1万1900円(税込)という価格は非常に魅力的だ。
2020年発売モデルと比べるとお得感はある
Pixel Buds A-Seriesは簡易ペアリング機能「Google Fast Pair」に対応。充電ケースを開いた状態でスマホに近づけ、ワンタップで接続できる。
撮影:小林優多郎
音楽体験以外のところ、Googleアシスタントの呼び出し機能もPixel Budsと同等だ。前述の「長押し操作」以外にも、Voice Matchの初期設定さえすれば「ねぇ、グーグル」と呼びかけるだけでも反応する。
スマートスピーカーのように天気や次の予定を聞くことや、家のスマート家電も操作でき、Budsシリーズの場合はスマホに届いている通知を読み上げることもできる。まるで秘書が耳元にいる感覚だ。
ただし、こうした機能を使うにはPixelスマートフォンもしくはAndroid 6.0以上の端末と接続した時に限る。iPhone/iPadと接続した際には、グーグルの各種機能が使えず、一般的なBluetoothイヤホンとして動作する。
8月に登場したばかりのBeats Studio Buds。 Pixel Buds A-Seriesに比べるとやや高いが、その分流行りの機能を備えている。
出典:アップル
なお、価格面から考えてもしょうがないかもしれないが、テレワークなどで流行りのノイズキャンセリング機能や、その逆の外音取り込み機能を搭載していない点は指摘しておきたい。
ちょうど8月11日、アップルからは「Beats Studio Buds」が発売された。直販価格は1万7800円で、ノイズキャンセルや外音取り込み機能を搭載。アップル製品との相性はもちろん、Android向けの簡易ペアリング機能「Google Fast Pair」にも対応する。音質などの違いもあれど、差額5900円はなかなか悩ましい部分がある。
Pixel Buds aは、スマホがAndroidで、より安価に質のいいワイヤレスイヤホンが欲しい、アシスタント機能やアダプティブ サウンドなどのグーグルのAI機能を体験したいという人におすすめだ。
(文、撮影・小林優多郎)