ソニーは中価格帯の新型スマートフォン「Xperia 10 III Lite」を発表した。
出典:ソニー
ソニーは8月20日、新型スマートフォン「Xperia 10 III Lite」を発表した。8月下旬以降に日本の一部の通信事業者から発売される。
ソニーは2021年、高性能なフラグシップ「Xperia 1 III」、ミドルレンジの「Xperia 10 III」を日本で展開しているが、Xperia 10 III Liteは10 IIIのカスタマイズモデルと言える。
既存機種との違いはストレージ容量とeSIM
Xperia 10 III Liteと10 IIIの主な違い。10 IIIはNTTドコモ、au、ワイモバイル向けに展開されている。
作成:Business Insider Japan
10 III Liteと10 IIIの性能的な違いはシンプルで、「ストレージ容量」と「SIMの仕様」の差だけだ。
ストレージは10 IIIが128GBなのに対し、10 III Liteは64GB。SIMは10 III Liteが物理的なカードのいらないeSIMに対応している。
その他の部分は、サイズや重さ、ディスプレイの大きと解像度、バッテリー容量、カメラの構成、カラーバリエーションに至るまで同じだ(厳密には、イエローの10 III Liteだけドコモオンラインストア限定)。
写真はNTTドコモ版の「Xperia 10 III」。イエロー以外のカラーバリエーションは、10 III Liteと共通だ。
撮影:小林優多郎
ソニーは2020年9月にも「Xperia 8」の一部仕様を変えた「Xperia 8 Lite」をリリースしており、10 IIIと10 III Liteも同じ関係性だと言える。
しかし、8と8 Liteより、10 IIIと10 III Liteの仕様の違いは微々たるものだ。
そればかりか、eSIM(物理SIMと合わせて2つの電話番号の着信ができる「DSDV」仕様)という、KDDIの「povo」やソフトバンク、そして楽天モバイルといったeSIMを提供しているサービスと相性のいい設計を搭載している。
「ソニー初のeSIM搭載スマホ」の意味
写真は筆者の持つ「Xperia 5 II SO-52A」のSIMスロット。従来、ソニーはシングルSIMモデルのスマホのみを扱ってきた。
撮影:小林優多郎
実はXperiaにとってeSIMは、このXperia 10 III Liteが初採用の機種だ。
日本市場にもアップルの「iPhone」やグーグルの「Pixel」など、eSIMに対応したスマートフォンはいくつかあり、年々増えている。
そんな中でソニーはなぜ今までeSIMを採用しなかったのか。筆者が5月、「Xperia Ace II」登場時にソニーの担当者に質問した際には「(市場の状況や声は把握しており)状況を見ながら考えていく」と回答があった。
現在、筆者が常用している「motorola razr 5G」。NTTドコモの物理SIMと楽天モバイルのeSIMを設定してある。
撮影:小林優多郎
今回、Xperia 10 III Liteという販路の限られたモデルでeSIMに対応することは、採用する通信事業者からの要望に応えることに加え、eSIMにどのぐらい需要があるか“観測気球”的な意味合いがあるのではないかと、筆者は考えている。
ソニーは2019年モデルの「Xperia 1」以降について、キャリア版の発売から遅れて、自社の直販サイトでSIMフリー版を取り扱ってきた。
まだ、2021年モデルのSIMフリー版はリリースされていないが、今後同社がSIMフリーモデルや一部キャリアモデルについて、eSIMを採用するかどうか注目していきたい。
(文・小林優多郎)