フェイスブックが発表した「ホライズン・ワークルーム」のイメージ画像。
- フェイスブックは、チームミーティング用のVRワークスペース「ホライズン・ワークルーム」を8月19日に発表した。
- 同社のマーク・ザッカーバーグCEOは、バーチャルリアリティの「メタバース」にフェイスブックの未来を見ていると語った。
- しかし、フェイスブックはこれまでにもワークスペース・サービスを作ろうとして失敗している。
フェイスブック(Facebook)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOは、我々全員にバーチャルリアリティ(VR:仮想現実)の世界で働いてほしいと考えている。
ザッカーバーグは、2021年8月19日のCBSモーニングニュースで、バーチャルリアリティ(VR)空間でチームミーティングや交流を行うための「ホライズン・ワークルーム(Horizon Workrooms)」を発表した。
ユーザーは、同社傘下のオキュラス(Oculus)が開発したVRヘッドセット「Oculus Quest 2」を使用して、自分のアバターでバーチャルな「メタバース」の仕事用パソコンへアクセスしたり、同僚とやり取りしたりできるようになる。この技術を使えば、同僚と親交を深めることもでき、現在のリモートワーク技術では再現できないリアルな体験ができるとフェイスブックは述べている。
「適切なツールがなければ、リモートワークにはまだ多くの課題がある」と同社はリリースで述べている。
「周りに同僚がいない状態で仕事をすると孤独を感じることもある。ブレインストーミングをする場合も、同じ部屋にいるようには感じられない」
「ホライズン・ワークルーム」はパンデミックの最中の働き方の変化に則したものになっているという。従業員はリモートワークを強く求めており、雇用主が柔軟な選択肢を提供できなければ、仕事を辞める人も少なくない。また、今年の夏はワクチン接種が進み、レジャー旅行が復活したものの、ビジネスの出張は復活していない。
「メタバースは次世代のインターネットだと考えている」とザッカーバーグはCBSに語った。
フェイスブックはこれまでにも、多くの人に受け入れられるようなワークプロダクトを作ろうとして失敗してきた。ミオ・インダストリー・トレンズ(Mio Industry Trends)によると、2016年にリリースされた社内コミュニケーションツール「Facebook at Work」を導入した企業は少なく、多くのユーザーはSlackやMicrosoft Teams、Google Chatなどを利用していた。
フェイスブックがソーシャルメディアを超えた分野への進出を図るのは、ソーシャルメディアでの成長が鈍化していることを表している。フェイスブックはさまざまなプラットフォームの中でも最大の月間総ユーザー数を誇っているが、2021年の成長はかつてないほどに鈍化するとInsider Intelligenceは予測している。
ザッカーバーグは2021年初め、フェイスブックを現在のソーシャルメディア・プラットフォームから「メタバース企業」へと変革させるとThe Vergeに語った。2020年には、VR空間で交流できるアプリ「フェイスブック・ホライズン(Facebook Horizon)」のベータ版の利用者を募り始めた。
「メタバースは次世代のインターネットだと考えている」とザッカーバーグはCBSに語った。
「スマートフォンやパソコンの画面で見るインターネットではなく、自分がその一部になる、あるいは自分がその中に入ることができるインターネットだと考えてほしい」
メタバースに参入しようとしているのは、フェイスブックだけではない。ユーザーが自分のメタバースを構築できるゲームプラットフォームのロブロックス(Roblox)は2021年3月、440億ドル(約4兆8000億円)近い評価額で上場した。
フェイスブックはワークスペース製品を作ろうとして失敗したことがある。
しかし、ロブロックスの上場直後の2021年第2四半期(4-6月期)の決算では、ユーザーがアバターの服やアクセサリーに費やした仮想通貨の額は予想を下回った。
ザッカーバーグは「ビデオ会議や、メタバースでのコラボレーションを可能にするワークルームなどのツールは、人々がより自由に好きな場所で暮らせるようにするための進歩の一環だと思う」とCBSに語っている。
[原文:Mark Zuckerberg's bet on the future of Facebook is virtual reality meetings with your coworkers]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)