企業のCEOは社会に貢献していると過半数が回答…多様性、包括性の進展などに寄与

ジャストキャピタルのマーティン・ウィテカーCEOは、アメリカ人がアメリカ企業のリーダーについてどう感じているかについて調査を行った。

ジャストキャピタルのマーティン・ウィテカーCEOは、アメリカ人がアメリカ企業のリーダーについてどう感じているかについて調査を行った。

Martin Whittaker

  • アメリカのCEOたちは2019年8月、企業の目標は利益を上げることだけではなく、社会に貢献することだと宣言した。
  • その2年後、ジャストキャピタルはアメリカ人を対象に、CEOをどう見ているかについて調査した。
  • その結果、ほとんどのアメリカ人が、CEOは社会の役に立っていると考えていることが分かった。

2019年8月、ビジネス界の資本主義に対する考え方が決定的に変化した。JPモルガン(JPMorgan)のジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)、アップル(Apple)のティム・クック(Tim Cook)、ウォルマート(Walmart)のダグ・マクミロン(Doug McMillon)などのCEOたちが「ステークホルダー・キャピタリズム(株主資本主義)」を採用したのだ。181人のリーダーたちは公開書簡で、自分たちの会社は「顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、株主など、すべてのステークホルダーに利益をもたらすために存在する」と記している

この書簡に署名したCEOたちはアメリカのビジネスに利益をもたらすと思われる政策を議論し、提唱する団体「ビジネス・ラウンドテーブル」に所属している。同団体の最初の目的は、「株主第一主義」を否定することだった。それは1970年代以降に流行した、企業は株主のために利益を生み出すことが唯一の目的であるという経済理論のことだ。

しかし一般の人々は、企業が新たな目的意識に従って行動していると感じているのだろうか。独立系調査会社のハリス・ポール(Harris Poll)とジャスト・キャピタル(Just Capital)が、2000人以上のアメリカ人を対象に行った調査によると、ほとんどの回答者が、企業は社会貢献をしていると考えていることが分かった。「CEOはすべてのアメリカ人に奉仕する経済を作っている」と回答した人は、2019年の調査では45%だったが、2021年の調査では65%にまで跳ね上がっている。

「このデータは、激動の時期である2020年に、多くの企業が果たしたポジティブな役割と、CEOの存在感が認められたことを示していると思う」と、ジャストキャピタルのマーティン・ウィテカー(Martin Whittaker)CEOは述べている。

「我々は、多くのビジネスリーダーと話をしている。CEOたちはほとんどの場合、より多くのことを成し遂げようとしていると私は信じている」

ウィテカーによると、パンデミックとジョージ・フロイド氏殺害事件がこれに寄与したという。フロイド氏の死後、経営者たちは人種的不平等について発言するようになり、従業員や顧客のために多様性(ダイバーシティ)、公平性(エクイティ)、包括性(インクルージョン)の推進に全力を尽くすことを約束した。JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)をはじめとする大手金融機関は、サービスが行き届いていないいないコミュニティを支援するために、数十億ドルを拠出することを約束した。

同時に経営者たちは、新型コロナウイルスのパンデミックで企業の閉鎖や労働時間の短縮が生じた際、いかに多くの労働者が生活費を稼ぐのに苦労しているかということを認識した。そのため多くの経営者が福利厚生の充実や賃金引き上げを図り、コミュニティセンターへの寄付を行った。CEOたちは、これまでにないほど、従業員や地域社会に貢献することが期待されるようになった。

JPモルガンのダイモンCEOは以前、Insiderにこう語っている

「ジョージ・フロイド氏の事件後に繰り広げられた出来事を見て、我々は企業としてもっと奉仕し、導くことができると分かった。多くの企業にとって、自分たちが何に立脚しているのかを知り、再確認しなければならない瞬間だった」

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