セブンイレブンのドライブスルー店。
7-Eleven
- タコベルは2022年の夏、4レーンのドライブスルーを導入すると発表した。
- 競合他社はすでにドライブスルーにレーンを増やしているが、タコベルはさらにその上を行っている。
- パンデミックの中でファストフード店にとってドライブスルーは欠かせないものとなっており、各チェーンはドライブスルーへの投資を続けている。
タコベル(Taco Bell)は、2022年夏に4レーン完備のドライブスルーをオープンする計画を発表した。これはドライブスルーがますます巨大になるのが避けられないことを示している。
この新しいドライブスルー構想は、アメリカ最大級のチェーンであるタコベルによるもので、モバイルオーダー用の3つのレーンと、従来のオーダー方法のための1つのレーンを備えている。注文された商品は「重力に逆らう(defies gravity)」非接触型フードデリバリーシステムで、2階にあるキッチンからリフトで降ろされて車へ届けられる。
4レーンを完備したタコベルの店舗は、2022年夏にオープン予定だ。
Taco Bell
このタコベルの店舗はすぐにミームになり、SNSでいろいろなものとの比較された。これまで高速道路のE‐Z Pass料金所や、銀行、さらにはライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)主演の映画『ドライヴ(Drive)』の色使いなどとも比較されている。その比較は興味深いもので、率直に言えばタコベルのドライブスルーは銀行に見えなくもないが、構想自体は見た目に比べてそれほど馬鹿げたものではない。
振り返ってみると、ドライブスルーの大型化は避けられないように見える。2019年からファストフードブランドは、ドライブスルーの軍拡競争を繰り広げていた。マクドナルド(McDonald's)は、待ち時間を短縮するための新技術を導入していて、チポトレ(Chipotle)のような伝統的にドライブスルーを持たないチェーン店でも、チポトレーン(Chipotlane)と呼ばれるトライブスルーのレーン数が多い店舗をオープンさせた。また、同じ時期にスターバックス(Starbucks)とダンキン(Dunkin')は、モバイルでオーダーした商品をドライブスルーで受け取るという実験を行っている。
そして、パンデミックがそれらすべてを加速させた。突然ドライブスルーは単なるビジネスの手段ではなく、飲食店の閉鎖や健康への懸念の中、客が安心して来店するための主要な手段となった。一般的にファストフードチェーンの売り上げの70%はドライブスルーが占めているが、2020年にはウェンディーズ(Wendy's)やマクドナルドなどのチェーンはドライブスルーの売り上げが90%近くになったと述べている。
増え続けるドライブスルーの需要に対応するためには、チェーンは単純にドライブスルーを広げるしかなかった。チックフィレイ(Chick-Fil-A)は2レーンのドライブスルーを全国に展開している。スターバックスもこの例にならい、業績の悪い店舗を閉鎖し、モバイルオーダーやドライブスルーに集中する取り組みを行っており、2レーンの設置も始めている。
Mary Meisenzahl/Insider
すでに2レーンのドライブスルーを展開しているマクドナルドは、テイクアウトやデリバリーに特化した「オン・ザ・ゴー・ストア」の構想を発表した。タコベルの構想と同様、マクドナルドは注文をベルトコンベアーで商品を届けることを計画している。
Shake Shack
2022年オープン予定のシェイクシャック(Shake Shack)初のドライブスルーのデザインは、1レーンを飛び越して最初からマルチレーンだ。ハンバーガー業界で人気が高まっているマルチレーンを採用し、モバイルオーダーや従来型のオーダーに対応するために3つのレーンを設ける予定だ。
「このようなことを試してみてはどうだろうか。非常に多くのことを学ぶことができるし、長期的にもこれが市場のトレンドになるかもしれない」とカリノフスキー・エクイティ・リサーチ(Karinowski Equity Research)の創設者であるマーク・カリノフスキー(Mark Kalinowski)はInsiderに語っている。
「これは先を見通した考え方であり、飲食店もこれまでとは違ったことをしたいと思うようになってきているということだ」
新型コロナウイルスのパンデミックはまだ続いているが、アメリカの多くの場所で、人々は通常の生活に戻ろうとしている。この数週間、マクドナルド、スターバックス、タコベルの3社は、ドライブスルーがいかにビジネスに不可欠であるかを強調している。
アメリカ人はドライブスルーへの愛着を再発見しており、もう元には戻れないだろう。
[原文:Drive-thrus are getting larger and larger with no end in sight]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)