Tolo Newsのスタジオで、ニュースキャスターを撮影するカメラマン。2018年9月7日。
REUTERS/Omar Sobhani
- アフガニスタンのTolo Newsは、タリバンによる支配の中で女性をテレビに出演させ続けている放送局の1つだ。
- 「今頃はすでに閉鎖されていると思っていた」と、モビー・メディア・グループのサード・モーセニ会長はポリティコに語った。
- しかし、タリバンにはこれまでの報道の自由に「変化を求める構成員」がいると彼は付け加えた。
アフガニスタンのモビー・メディア・グループ(Moby Media Group)の会長兼CEOであるサード・モーセニ(Saad Mohseni)は、ポリティコ(Politico)のインタビューで、同社が運営するチャンネルの1つであるTolo Newsがタリバンによる支配が広がる中で、未だに閉鎖されていないことに驚いていると語った。
「今頃は閉鎖されているだろうと思っていた。まだ放送できていることに驚き、次に何をすべきかを考えている」とモーセニは述べている。
「アフガニスタンのほとんどがそうであるように、我々は成り行きに合わせて動いているようなものだ」
タリバンがアフガニスタンでの実権を回復し、女性の権利の将来が不透明となる中、Tolo Newsは女性のテレビ司会者やジャーナリストとの仕事を続けている数少ない報道機関の1つとなっている。
我々の勇敢な女性ジャーナリストが今朝カブールに取材に出かけている。
モーセニによると、タリバンがアフガニスタンを掌握するには、「基本的に3つの段階」があるという。「権力の強化」「移行期間」、そして「アフガニスタン・イスラム首長国の設立」だ。現在、第1段階にあり、タリバンは今のところ「メディアに対する自由放任主義」を貫いているという。
彼は「メディアは、よほど物議を醸すようなことを報じなければ、比較的安全だろう」とポリティコに語っている。
「許容範囲はかなり広いと思う」
変化は第2段階で訪れるだろうと彼は考えている。
「タリバンの中には、メディアや社会的行動などに変化を求める構成員がいる。そのため、おそらく何らかの制限が課されることになるだろう」
タリバンによるカブール占領後に、Tolo Newsは女性司会者ベヘシュタ・アルガンド(Beheshta Arghand)によるタリバンの構成員とのインタビューを放送した。モーセニはその様子をツイッターで伝えている。そのインタビューをどのようにしてセッティングしたのかについて、モーセニはポリティコに次のように語っている。
「彼らにインタビューしたいと依頼すると(その幹部が)承諾した。彼が来て、この記者があなたにインタビューすると伝えると、彼は構わないと答え、席に座ってインタビューが始まった。単純なことだ」
Tolo Newsとタリバンが再び歴史を作る:タリバン幹部であるアブドル・ハク・ハマド(Abdul Haq Hammad)が今朝早く我々の(女性の)司会者、ベヘシュタのインタビューを受けた。 彼らが最後に支配した20年前には考えられなかったことだ
「これは新しいアフガニスタンだ。20年前からそうなっている」とモーセニは2001年のタリバン崩壊を指して述べた。
「アフガニスタンの若い世代は、タリバンの支配下で暮らしたことがないんだ」
彼はまた、ソーシャルメディアやテレビなどによってジャーナリストとして働く女性の姿が見られるようになったことから、タリバン自身が女性の権利に関して考え方が変わったのかもしれないと述べた。
「パキスタンでもアフガニスタンでも、彼らはテレビで女性の姿を見てきたため、彼らにとって異質な存在ではなくなった。また、そうであってはならないと思う」とモーセニは言う。
「一度でも何かに触れてしまうと、もう後戻りはできない。学んだことを取り消すこともできない。地球が平らではないことに気づいたら、平らだと信じるように脳を再プログラムするのは不可能だ」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)