Manuel Medir/Getty Images
- 新型コロナウイルスのパンデミックで家に閉じこもる生活が1年以上続き、多くの人が再び大自然を楽しみたいと思っている。
- ニューヨーク・タイムズの報道によると、いくつかの企業はこれに着目し、社員を呼び戻すためにオフィスに自然環境を取り入れている。
- 菜園、ミツバチの巣、バードウォッチングエリアなどをオフィスに設置している企業がある。
屋外で仕事をすることができないのであれば、屋外を仕事場に持ち込もう。いくつかの企業は社員をオフィスに呼び戻すためにそれを実行している。
ニューヨーク・タイムズ(New York Times:NYT)によると、2020年は家に閉じこもっていたが再び自然の美しさを味わいたいと思っている労働者にアピールするため、企業はオフィスに自然を取り入れようとしている。ビルのオーナーも、テナントを呼び戻すために同じことをしているという。
雇い主とビルオーナーがともに行っていることの一つは、オフィスにミツバチの巣箱を設置することだという。
資産運用会社のヌビーン(Nuveen)は、テラスに2つの蜂の巣箱を置き、養蜂家を雇った。そして社員が蜂について学び、ハチミツを採って家に持ち帰ることができるようにしたとNYTは報じている。
ヌビーンに巣箱を設置した都市型養蜂会社アルヴェオレ( Alvéole )は、パンデミックが始まって以来、収益が666%も急上昇したとNYTに語っている。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)などは、年末までにアメリカ国内の30以上の物件に巣箱を設置するようアルヴェオレに依頼したという。
ミツバチ以外にも、雇用主や不動産会社はツリーハウスをイメージしたラウンジや、屋上菜園、さらにはバードウォッチング・エリアなどのアメニティをオフィスに追加している。
ノースカロライナ州シャーロットにあるレンディング・ツリー(LendingTree)本社では、各フロアにラウンジが設けられており、そこには園芸用の棚があり、プランターが並んでいるとNYTは報じている。ブルックフィールド・プロパティーズ(Brookfield Properties)はワシントンD.C.にあるビクター・ビルディング(Victor Building)の改修工事の際、屋上に入居者が自由に使える菜園を設けた。テキサス州オースティンにあるジェイ・ポール・カンパニー(Jay Paul Company)のオフィスビル、スプリング・グリーン(Springdale Green)には、3万6000平方フィート(約3344平方メートル)のテラスに加え、ハンモック、隠れて鳥を観察できるというバードブラインドなどを設置する予定だという。
これらの動きは、新型コロナウイルスのパンデミックの初期に稼働率が低下した、多くのオフィス、ショッピング・モール、ホテルが完全な回復を目指すために生まれたものだ。
生活の中にもっと自然を取り入れたいというアメリカ人の欲求は、不動産市場にも影響を与えている。最近の調査ではアメリカの成人の約半数が、ハイキングやキャンプなどのアウトドア活動に簡単にアクセスできる場所に住むことは、彼らにとって「とても(very)」または「きわめて(extremely)」重要であると答えている。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)