アフガニスタンから避難する人々を輸送機に乗せる米兵(2021年8月24日、カブール空港)。
Master Sgt. Donald R. Allen/U.S. Air Force via AP
- アメリカ、ホワイトハウスのサキ報道官は、国防請負業者のエリック・プリンス(Erik Prince)氏がアフガニスタンの首都カブールから脱出するチャーター機の料金を1座席あたり6500ドル(約72万円)としていることを非難した。
- 「心ある人間なら、人々の苦しみから利益をあげようとすることを良しとする人はいないでしょう」とサキ報道官は話した。
- 民間軍事会社ブラックウォーター(Blackwater)の創業者であるプリンス氏は、乗客を空港まで移送する場合はさらに追加料金を求めるとしている。
ホワイトハウスのサキ報道官は、国防請負業者のエリック・プリンス氏がアフガニスタンの首都カブールから脱出するチャーター機の料金を1座席あたり6500ドル(約72万円)としていることを非難した。
アメリカ人やアフガニスタン人、その他の国の人々がアフガニスタンからの脱出を急ぐ中、そこから利益をあげようとしている民間請負業者について尋ねられたサキ報道官は、バイデン政権は避難する人々に料金を請求することは認めないと述べた。
「わたしたちは無償で人々を避難させています。それが取るべき正しい方策だからです。アフガニスタンから必死に脱出しようとしている人々から利益をあげることをわたしたちは全く支持しません」とサキ報道官は8月25日(現地時間)の記者会見で報道陣に話した。
プリンス氏の計画について個別に問われると、サキ報道官はより強い言葉で非難した。
「命の危険を感じて国を脱出しようとしている時に、心ある人間なら、人々の苦しみや痛みから利益をあげようとすることを良しとする人はいないでしょう」とサキ報道官は語った。
トランプ前大統領に近く、ブラックウォーターの創業者でもあるプリンス氏は、乗客をカブールの自宅から空港まで移送する場合はさらに追加料金を求めるとしていると、ウォール・ストリート・ジャーナルが最初に報じた。
8月15日にタリバンがカブールを制圧して以来、米軍および同盟軍は4000人以上のアメリカ人とその家族を含む、8万2000人以上を避難させたと、サキ報道官は25日に語った。一方で、アフガニスタンにはまだ、政府が「1日に複数回、さまざまなコミュニケーション手段で」連絡を取り合っているアメリカ人が約1000人いるとも話した。
米軍に協力し、アメリカの特別移民ビザ(SIV)の対象であるアフガニスタン人数万人が今も、アフガニスタンで身動きが取れずにいる。人権団体では、ここ20年で米軍に協力したアフガニスタン人は約30万人いると見ていて、こうした人々がアフガニスタンにとどまれば、タリバンの標的にされるリスクが高いと指摘している。
プリンス氏のビジネスは長らく疑いの目を向けられて来た。2014年には、ブラックウォーターの元警備員4人がイラクで女性や子どもを含む14人の非武装の民間人を殺害したとして、有罪の評決を下された。しかし、2020年12月にはトランプ大統領(当時)がこの4人に恩赦を与えた。2021年2月には、国連安保理によるリビアへの武器禁輸に違反し、プリンス氏が2019年に兵員や武器を送り込んだ疑いがあると報じられた。
(翻訳、編集:山口佳美)