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- PwCの8月の調査によると、リモートワークをしている人の41%はフルリモートのままでいたいと考えている。
- オフィスに戻りたくないと答えた人が29%だった1月の時点から増加した。
- PwCのブーシャン・セティ(Bhushan Sethi)氏は、企業は一部の従業員が在宅ワークを続けることを選んでも、「リモートワークによる不平等」を防がなければならないと話している。
新型コロナウイルスのパンデミックが長引く中、従業員の中には"リモートワークの柔軟性"への愛着が強まり、オフィスが再開してもそれを失いたくないと考える人もいる。
PwCが1007人の正社員およびパート従業員を対象に実施した調査の結果、リモートワークに対する考えはさまざまであることが分かった。調査結果を詳しく見ていくと、前回調査が行われた1月からの"変化"も分かってきた。1月の時点でフルリモートを希望していたのは29%だったが、8月の調査ではその割合は41%に増えた。
8月の調査では他にも:
- 19%が「新型コロナウイルスの心配をしなくて良くなった後」もフルリモートがいいと回答
- 22%がリモートワークは週に1回以下がいいと回答
- 17%が週に3日はリモートワークをしたいと回答している。
デルタ株とワクチンの義務化が心配
PwC USのPeople & Organization ジョイント・グローバル・リーダーのブーシャン・セティ(Bhushan Sethi)氏は、リモートワークをしている人々が「『選択肢が欲しい、自分たちはライフスタイルの選択をすることに慣れた』と言う」のは「必ずしも驚きではない」と言い、「こうした人々は従業員のリモートワークを快く受け入れている、理解ある雇い主を持っているのかもしれない」とInsiderに語った。
人々がオフィスに戻りたくないと考えているのは、デルタ株に対する不安もあるかもしれない。フェイスブックといった一部企業は、オフィスの再開を延期した。従業員にワクチン接種を求める企業もある。
「会社員の3分の2がワクチンの義務化を歓迎すると答えていることから、勤め先がワクチンを義務化すれば、一部の人々はオフィスに戻ることへの自信を高める可能性がある」とセティ氏は言う。ただ、ギャロップ(Gallup)のある調査では、会社員の36%は雇い主がワクチンを義務化することを強く望んでいる一方で、29%はワクチンの義務化に強く反対している。
"柔軟性"は今、最も魅力的な特典の1つに
リモートワークの選択肢といった柔軟性は、従業員にとっても雇用主にとってもプラスになる。グラスドア(Glassdoor)のレポート『Workplace Trends』は「柔軟なワークスケジュールの提供は、子どもの世話やその他の家庭での責任と向き合っている従業員をつなぎ止めるのに役立つ、低コストの方策になり得る」と指摘している。
1年以上、毎日通勤する必要がなく、キッチンや寝室からバーチャルで会議に参加することにも慣れた多くの働く人々にとって、働く時間や働く場所の柔軟性は重要度が高い。そして、これは就職希望者にとっても魅力だ。BankrateとIndeedの調査は、柔軟な働き方のできる仕事を就職希望者が求めていることを示している。
「それがフルリモートであれ、ハイブリッドワークであれ、リモートワークを提供しない企業は、人材という観点から不利になることは明らかだ」とセティ氏は指摘した。
企業は「リモートワークによる不平等」を解消しなければならない
PwCが企業幹部を対象に8月に実施した調査では、33%が自社の秋の計画にオフィス、フルリモート、ハイブリッドそれぞれの働き方が含まれていると答えた。オフィスとハイブリッドは認めるが、フルリモートはなしと答えたのは18%だった。セティ氏は、従業員がどこで働くかにかかわらず、全員が同じように機会を得て、昇進し、会社の一員として受け入れられていると感じることが重要だと話している。
「人々にフルリモートまたはそれなりの時間をリモートで働くことを認めようとする組織は、"リモートワークによる不平等"に対処しなければならない。昇進面で良い評価が得られなかったり、日々の業務や会議、機会の面でも不利になるような"リモートワークによる不平等"は、人々に疎外感を抱かせる」とセティ氏は言う。
自宅にいる従業員もオフィスにいる従業員も、どちらも平等な機会が与えられ、公平に扱われるよう、従業員調査やその他の方法を通じて、企業はどうすればインクルーシブになれるのか、どのようにしてデータを追跡するのか、リーダー層を教育する必要があると、同氏は付け加えた。
[原文:41% of remote workers never want to go back to the office - up from 29% in January]
(翻訳、編集:山口佳美)