「世界で最もイノベーティブな自動車メーカー」首位は2年連続で独フォルクスワーゲンだった。画像は2020年発売の電気自動車(EV)『ID.3』。
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自動車産業に特化したドイツの研究機関センター・オブ・オートモーティブ・マネジメント(CAM)が毎年公表している、「世界で最もイノベーティブな自動車メーカー」ランキングの2021年版の概要が明らかになった。複数の現地メディアが報じた。
ランキングは、グローバル自動車メーカー30社(80ブランド)の技術的イノベーションを、独自性や顧客にもたらす利益などの指標をもとに専門家が評価したもの。
トップはフォルクスワーゲン、続いてダイムラーとドイツ勢のワンツーフィニッシュ、第3位に米テスラがランクインした。第4位もドイツ勢のBMWだった。
フォルクスワーゲンは、2020年9月に市場投入した小型ハッチバック『ID.3』や、2021年3月投入の多目的スポーツ車(SUV)『ID.4』など、電気自動車(EV)部門での技術開発がとくに高い評価を受けた。
ダイムラーは自動運転分野でのイノベーションを評価された。
時価総額で自動車メーカーとして世界首位の座を獲得しながら、2020年版のランキングで第6位に甘んじたテスラは、今回一気に3ランクアップ。圧倒的な航続距離の実現と、急速充電に関するイノベーションで得点を稼いだ。
また、トップ10には中国企業3社が初めてランクイン。第5位の同国自動車メーカー最大手・上海汽車(SAIC)を筆頭に、SUVで優位に立つ長城汽車(グレートウォール)、EV専用プラットフォームをスウェーデンの自動車大手ボルボ・カーと共有するなど独自路線を歩む吉利汽車(ジーリー)が名を連ねた。
日本勢はトヨタ自動車の第13位が最高位。2020年に世界販売台数第1位、2021年上半期も過去最多の販売台数を記録するなどビジネスは絶好調だが、技術的イノベーションについては評価を得られなかった。本田技研工業(ホンダ)は第18位だった。
フランス勢は日産自動車とアライアンスを組むルノーが第14位、欧米連合フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と統合して看板をステランティスにかけかえたグループPSAが17位。合従連衡で経営基盤の強化を進めたものの、日本勢と同じでイノベーションへの評価は低かった。
なお、ランキングの詳細を含む自動車産業におけるイノベーションの分析レポートは、CAMが近日公開する予定。
(文・訳責:川村力)