記者会見する岸田文雄氏。
REUTERS
自民党の岸田文雄・前政調会長は8月26日に国会内で記者会見し、9月末の任期満了に伴う自民党総裁選(9月17日告示、29日に投開票)に出馬すると表明した。岸田氏の総裁選出馬は2020年9月に続き2回目。
岸田氏は、
「国民政党であったはずの自民党に、声が届いていないと国民が感じている」
「国民の信頼が崩れている。我が国の民主主義が危機に瀕している」
「自民党が国民の声を聞き、幅広い選択肢を示すことができることを示し、我が国の民主主義を守るために立候補する」
と決意を述べた。
選択的夫婦別姓「引き続き議論を」
記者会見する岸田文雄氏。
zoom画面より
岸田氏は自民党内の「選択的夫婦別姓(別氏)制度の早期実現を目指す議連」に参加している。
ただ岸田氏は、Business Insider Japanの「選択的夫婦別姓について賛成か、反対か。見解を」というオンラインでの質問に対し「引き続き議論をしなければならない」と述べるにとどめた。
質問への回答は以下の通り。
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選択的夫婦別姓については、これは引き続き議論をしなければいけない課題であると思っています。
選択的夫婦別姓は「3つの約束」で申し上げたように、多様性、個性を大事にする社会を目指したいと申し上げました。
こうした個性や多様性を大事にするという考え方と約束の3つ目が。人の温かみ、絆を大事にする社会を目指すと申し上げました。
「家族の絆」を大事にしていく、この二つの問題のバランスかと思います。ともに大事なことかと思います。
私自身は多様性、そしてそれぞれの生き方を大事にするという観点からしっかり議論するべきだと思いますが、現状は夫婦の間はともかくとして、たとえば子どもたちが数人いた場合、子どもたちの姓はみんな一緒なのか、バラバラなのか、誰が選ぶのか、いつ選ぶのか。
この辺りは、より現実的に考えていかないとならないのではないか。その点、私はちょっとまだ整理ができていない。
国民のみなさんも、夫婦別姓そのものについては色々な議論があるが、子どもの姓についてどう考えるかについて、十分議論が進んでいるんだろうか、この点はもう少ししっかり国民の中で議論する必要があるのではないか。
こんな思いを持っています。
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「賛成・反対、政治家が一人よがりに決められるものではない」
別の記者からは「選択的夫婦別姓に若干後ろ向きになったのか。議論に関わっている立場と変化があったのか。前向きな意味で議論すべきと受け取って良いのか」と、岸田氏の姿勢を改めて確認する質問もあった。
これに対し、岸田氏は「この問題は社会全体で受け入れなければいけない課題ですから、これは賛成だ反対だと、政治家が一人よがりに決められるものではない」と述べた。
このときの岸田氏の回答は以下のとおり。
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この問題は多くの方々が困っておられ、なんとかしてもらいたいという声がある。
政治の立場として、そういった方々の声はしっかり受け止めなければいけない。議論はしなければいけない。こういったことは強く思っています。
ただ、実際、社会に導入する場合も、さきほど言いました子どもの例をあげましたが、まだその辺の問題意識、国民の中で十分共有されていない部分があるのではないか。
この辺はもう少し丁寧に説明する、国民の中で問題意識を共有する、こういったことをしていかないと。
この問題は社会全体で受け入れなければいけない課題ですから、これは賛成だ反対だと、政治家が一人よがりに決められるものではない。
そういった意味から、議論については丁寧に説明していかないと、実現することは難しいのではないか。こういったことを思っていると説明させていただきました。
いずれにせよ議論をして、少なくとも多くのみなさんが納得する形でないと、こういったみんなが受け入れなければいけないこうした制度というのは、実現するのは難しいのではないか。
こういったことを思いながら議論を考えていきたい。これが私のスタンスです。
これは最初から同じで、議連に入った時と今と、変わっているということではありません。
こういった思いで議論をしていかなければならないと思っています。
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選択的夫婦別姓、7割が賛成 早稲田大など調査
早稲田大学の棚村政行教授と「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の調査によると、「選択的夫婦別姓」について「自分は同姓がよい。他の夫婦はどちらでも構わない」「自分は別姓を選べるとよい」と答えた賛成の割合が7割を超えた。
岸田氏は衆院・広島1区選出。当選9回。これまでに外相、党政調会長などを歴任。2020年9月の総裁選では89票を獲得したが、菅義偉首相に敗れた。
(文・吉川慧)
【UPDATE】選択的夫婦別姓に関する調査について追記しました。(2021/08/27 0:50)