ロレアルUSAは8月26日、国際的な第三者機関からペイ・エクイティ(同一労働同一賃金)基準の認証を受けたことを発表した。
Courtesy of a L'Oreal employee
- 多くの企業が、この1年半の間にペイ・エクイティ(同一労働同一賃金)への取り組みを開始した。
- 化粧品大手のロレアルUSAの経営陣は2011年からペイ・エクイティに取り組んでいる。
- 8月26日、ロレアルUSAは、自社のペイ・エクイティが第三者機関によって認証されたことを発表した。
2020年の人種差別問題への対応をきっかけに、多くの企業幹部が人種、性別、能力、性的指向にかかわらず、従業員の給与が平等に支払われていることを確認するためのデータ収集を始めている。データを客観的に評価するために第三者機関に依頼している経営者もいる。
化粧品大手ロレアルUSAのチーフ・ダイバーシティ&インクルージョン・オフィサーであるアンジェラ・ガイ(Angela Guy)は、10年以上前からこのような取り組みを行っている。そして今、その成果が表れてきた。ロレアルUSAは2021年8月26日、国際的な第三者機関「EDGE認定財団」から性別、人種、民族、年齢、能力、LGBTQアイデンティティに関わらないペイ・エクイティを達成した初めての企業として「EDGE Plus 認証」を受けた。
「従業員による評価と第三者を通じた社外からの検証により、我々のコミットメントが本物であるという確信を得ることができた」とガイはInsiderに述べている。
ロレアルUSAのチーフダイバーシティ&インクルージョンオフィサー、アンジェラ・ガイ。
L'Oréal USA
2011年の世界経済フォーラムで、第三者の認証機関が企業の給与データや昇進の慣行が公平であるかどうかを評価する認証システムが発表された。これには男女格差に焦点を当てた「EDGE」と、それに人種などの要素を取り入れた「EDGE Plus」がある。起業家で、非営利団体のアドバイザーでもあるニコル・シュワブ(Nicole Schwab)と、元ビジネスコンサルタントのアニエラ・ウングレサン(Aniela Unguresan)によって開発された。
「エクイティへの取り組みを真剣に考えているのであれば、第三者による評価を恐れることはない。まずはスタート地点に立つ必要があるのだから」とガイは述べている。
EDGE認証は同一労働同一賃金が組織レベルで達成されていることを保証するものだ。
業界を問わず、男女間の賃金格差は明らかな問題となっている。アメリカの2019年の人口動態調査から得られた収入中央値のデータによると、フルタイムで通年雇用の女性が稼ぐ金額は、男性の収入1ドルに対して82.3セントだ。つまり、女性の給料は、男性より17.7%も低く、年収にすると男性よりも1万157ドル(約112万円)も少ないということになる。
給与格差は有色人種の女性にとってはさらに深刻で、白人男性の給料を100%とすると黒人女性の給料は61.1%、ヒスパニック系女性の給料は53%となる。
ペイ・エクイティの認証を取得するのは、ロレアルにとって「重要な投資」だったとガイは述べているが、認証にかかった費用やペイ・エクイティを達成するための費用については明らかにしていない。
「認証機関に支払った費用よりもずっと大きい額を費やしている。時間やリソースにも投資している。さらに、プロセスやツールへの投資もある」とガイは言う。
「これらすべてが積み重なり、企業が望むコミットメントにつながる」
ガイは、第三者機関によるペイ・エクイティ監査を実施することで、現在および将来の従業員、顧客、投資家に対して、多様性(ダイバーシティ)と包括性(インクルージョン)に取り組んでいることをアピールできると述べている。
また、従業員のエンゲージメントとロイヤリティの向上にもつながると考えられ、これは労働力不足が問題となる中、企業にとって非常に有益なことだ。現在は多くの企業が優秀な人材の確保に苦労している。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)