カリフォルニア沖に停泊中の貨物船。COVID-19のパンデミックにより、アメリカの港は過去10年で最悪の混雑に見舞われている。2021年1月26日撮影。
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- カリフォルニアの港の外で44隻のコンテナ船が立ち往生し、輸送の遅れやコスト増に見舞われている。
- これは、パンデミック中の最高記録となる2021年2月の40隻を上回っている。
- カリフォルニアの港は、アメリカの輸入量の約3分の1を取り扱い、中国との貿易の中心的な役割を果たしている。
アメリカ・カリフォルニア州の2つの港では、44隻の貨物船が入港待ちの状態にあり、COVID-19のパンデミックが始まって以来、最も多い数となっていると、南カリフォルニア・マリン・エクスチェンジ(Marine Exchange of Southern California)が2021年8月28日に報告した。
これは、労働力不足、パンデミックによる混乱、ホリデーシーズンの買い付けの急増などによるものだ。ロサンゼルス港のデータによると、船の平均待ち時間は7.6日に増加している。
「通常、停泊しているコンテナ船の数はゼロから1の間でしかない」と、マリン・エクスチェンジのエグゼクティブ・ディレクター、キップ・ルーティット(Kip Louttit)は2021年7月にInsiderに語っている。
カリフォルニアのロサンゼルス港とロングビーチ港は、アメリカの輸入量の約3分の1を取り扱っている。これらの港は、中国からの主要な荷受け場所であり、パンデミックの期間中はひどい混雑に見舞われた。
「問題の一つは、10年前、15年前に比べて船のサイズが2倍、3倍になっていることだ」とルーティットは言う。
「そのため荷降ろしに時間がかかる。荷物を運ぶトラックや列車、倉庫もより多く必要になった」
アジアとの輸出入を行う企業は、コンテナ船が停泊を余儀なくされている間に輸送がますます遅れると予想している。
ブルームバーグによると、今の時期はちょうどアメリカのホリデーシーズンと中国の10月の大型連休に合わせて小売業者が前もって買い付けを行う、両国の貿易関係が最も忙しい時期だという。
ディスカウントストアのダラー・ツリー(Dollar Tree)のマイケル・ウィティンスキ(Michael Witynski)CEOは、8月26日に行われた決算説明会で次のように述べている。
「我々が直面している課題の実例を紹介しよう。当社のチャーター船の乗組員1人がCOVID-19の陽性反応を示したため、中国への入港を拒否された。結局、インドネシアに戻って乗組員全員を交代しなくてはならなくなり、航海は予定より2カ月も遅れてしまった」
またウィティンスキによると、最近行われた輸送に関するウェブセミナーで、サンフランシスコの貨物輸送会社が「上海からシカゴまでの輸送日数が、35日から73日へと2倍以上になった」と述べていたという。また、別の運送会社幹部は「港の混雑やコンテナ処理の遅れなどにより、航海にかかる時間が例年よりも30日ほど長くなっている」と述べたとInsiderが報じている。
「業界の専門家は、船舶の輸送能力が正常化するのは、多くの新造船が就航する2023年以降になると予想している」とウィティンスキは述べている。
マリン・エクスチェンジは「記録的な量の船舶が入港、停泊、待機しているにもかかわらず、ロサンゼルス港とロングビーチ港の海上輸送システムは、安全安心で信頼性が高く、環境にも配慮されている。だが、今の時期はCOVIDプロトコルに従う必要があり、また記録的な量の貨物が発生しているため、本来の効率性は得られていない」と声明で述べている。
[原文:A record-breaking 44 container ships are stuck off the coast of California]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)