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最後は暴力と混乱に満ちた日々… アメリカの20年に及ぶアフガニスタン駐留はこうして終了した

米軍機

離陸する米軍機(2021年8月30日、カブール)。

Aamir Qureshi/Getty Images

  • アフガニスタンでは8月31日、最後の米軍機が首都カブールにあるハミド・カルザイ国際空港を離陸した。
  • 「これまで任務にあたった人々の犠牲と功績は、わたしの言葉で表現できるものではない」と米中央軍のマッケンジー司令官は語った。
  • タリバンが再び支配するアフガニスタンの未来は不透明だ。

アフガニスタンでは8月31日、最後の米軍機が首都カブールにあるハミド・カルザイ国際空港を離陸し、約20年に及ぶ戦争と米軍の駐留が終わりを迎えた。

「アフガニスタンからの撤退完了とアメリカ市民、第三国の国民、攻撃を受けやすいアフガニスタン人の退避作戦の終了をここに宣言する」と米中央軍のマッケンジー司令官は30日(現地時間)に語った。

「最後のC-17輸送機がハミド・カルザイ国際空港をアメリカ東部時間30日午後3時29分に離陸した」

「現在、最後の有人機がアフガニスタン上空を通過している」

そう話した上で、マッケンジー司令官は「これまで任務にあたった人々の犠牲と功績は、わたしの言葉で表現できるものではない」と語った。

バイデン政権は8月31日を米軍の撤退と退避作戦の完了期限としていた。

現地では、タリバンがこれを祝砲とともに祝ったようだ。

アメリカのアフガニスタン撤退は、タリバンが2001年以来初めてアフガニスタンを再び支配する中で進められた。最後の軍用機が離陸したのは、過激派組織「イスラム国(IS)」系の「イスラム国ホラサン(ISIS-K)」による自爆攻撃 —— ハミド・カルザイ国際空港の外で発生し、13人の米兵と多くのアフガニスタン人が死亡した、米軍にとってここ10年で最も多くの犠牲者を出した日 —— からわずか数日後のことだった。

タリバンの支配下で、アフガニスタンの人々は"どうなるか分からない未来"に直面している。そして、アフガニスタンを離れたかった全ての人々がその希望を叶えられたわけではない。

8月半ばにタリバンがカブールに入って以来、空港は絶えず混乱の場と化してきた。

アメリカは7月末以降、12万2300人をアフガニスタンから退避させてきた。ただ、協力関係にあった数千人のアフガニスタン人が250人弱のアメリカ人とともに現地に取り残された。マッケンジー司令官も、数百人のアメリカ人がアフガニスタンに取り残されていると話した。

暴力と混乱に満ちたアフガニスタンでの最後の日々

ドローン攻撃

米軍のドローン攻撃を受けた自動車を見つめる人々(2021年8月30日、カブール)。

Marcus Yam/Getty Images

8月26日の自爆攻撃を受け、アメリカは27日にアフガニスタン東部のナンガルハール州でドローン攻撃を実施し、ISIS-Kの戦闘員2人が死亡したと発表した。

アメリカは29日、カブールでもドローン攻撃を実施し、ISIS-Kが攻撃に使用するつもりだった爆発物を載せた自動車を狙ったとした。しかし、目撃者や家族がニューヨーク・タイムズに語ったところによると、この攻撃で7人の子どもを含む少なくとも10人のアフガニスタンの民間人が死亡したという。30日には、退避作戦が終わりに近づく中、空港に向けて放たれたロケット弾をアメリカが迎撃した。ISIS-Kがロケット弾を放ったと認めている。

アメリカのアフガニスタン撤退は、2020年2月のタリバンとの和平交渉でトランプ政権が決めたものだ。バイデン大統領も期限を延長することなく、この計画にこだわった。

さまざまな調査が絶えず、大半のアメリカ人は"米軍をアフガニスタンから撤退させる時だ"との考えに賛成であることを示してきたが、最近の調査は多くのアメリカ人がバイデン大統領の撤退の進め方を支持していないことを示している。撤退のアプローチをめぐっては、バイデン大統領は党派を超えた批判にさらされている。これまでアメリカに協力してきた、タリバンの報復に合う恐れのあるアフガニスタン人への支援をめぐっては特に強い批判の声が上がっている。

また、アメリカの撤退がアフガニスタン政府の崩壊につながる可能性があるとの事前の情報があったにもかかわらず、政権として、タリバンが急速にアフガニスタンを取り戻すことを予期できなかったこともバイデン政権は認めている。多くの場合、タリバンはアメリカが支援してきたアフガニスタン軍とほとんど戦うことなく主要都市を占拠した。

撤退反対派は、アフガニスタンが再びテロリスト集団の安全な隠れ場所となって、アメリカに危険をもたらすのではないかとの懸念を示している。一方、撤退賛成派はアメリカがアフガニスタンを離れるべき時期はとうに過ぎていて、アフガニスタンに駐留し続けることを正当化できるだけの脅威を海外のテロ組織は与えていないと主張している。

「アメリカ史上最も長い戦争」とも言われるアフガニスタンでの軍事作戦は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を受けて始まった。アメリカは同時多発テロを実行したテロ組織アルカイダの掃討を目指した(そして、タリバンはこのアルカイダに自らの門戸を開いた)。2011年にはアメリカの軍事作戦でウサマ・ビンラディン容疑者を殺害されるなど、アルカイダは年々主要幹部を失いつつも、今でも活動を続けている。ISIS-Kもこの地域の脅威として台頭してきた。

ブラウン大学の「戦争のコスト(Costs of War)」プロジェクトの推計によると、アメリカは2001年以来、アフガニスタンに2兆2600億ドル(約248兆円)を費やしてきた。多くの命も失われた。AP通信のまとめによると、これまでにアフガニスタン軍の兵士と警察官6万6000人が死亡し、2021年4月の時点でアメリカの軍人2448人がアフガニスタンで命を落とした。「戦争のコスト」プロジェクトによると、この戦争で4万7000人以上のアフガニスタンの民間人も犠牲となった。

[原文:Last US military planes depart Kabul airport, marking an end to America's 20-year presence in Afghanistan

(翻訳、編集:山口佳美)

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