新型コロナ感染拡大前の2019年に開催された起業家イベント『Slush(スラッシュ)』の様子。
Slush
世界最大級の起業家イベント『Slush(スラッシュ)』は、2021年12月1〜2日の2日間、フィンランドの首都ヘルシンキでリアルイベントを開催する方針を明らかにした。
スタートアップ経営者3200人、投資家1500人を含む8000人が参加予定。9月1日10時(現地時間)からチケット販売を開始する。
イベントの基調講演など登壇者も同時に発表された。
ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)プラットフォーム大手UiPath(ユーアイパス)のダニエル・ダインズ最高経営責任者(CEO)、スウェーデンの車載電池メーカーNorthvolt(ノースボルト)のピーター・カールソンCEO、アルファベット傘下の人工知能(AI)開発企業DeepMind(ディープマインド)のライラ・イブラヒム最高執行責任者(COO)、ソフトバンク・ビジョン・ファンドのマネージングパートナー、ヤニ・ピピリスらそうそうたる顔ぶれだ。
2020年は新型コロナ感染拡大の影響により開催が見送られたものの、起業家と投資家の交流プラットフォーム「Node by Slush(ノード・バイ・スラッシュ)」が立ち上がり、その前年にローンチしたスタートアップメディア「Soaked by Slush(ソークト・バイ・スラッシュ)」が軌道に乗るなど、スタートアップ支援基盤の整備が着々と進められた。
イベントが開催される2021年12月の感染拡大状況は、ワクチン接種が世界各国で進む現段階でも見通せないが、複数の地元メディア報道によると、ワクチンパスポート(接種証明書)の提示を求めることやイベント会場の清掃消毒、握手禁止など非接触ルールの徹底、マスクの配布など、主催者側は万全を期す考えのようだ。
なお、2021年のイベントテーマは「アントレプレナーリアル・ルネッサンス(Entrepreneurial Renaissance)」。
来るべき10年、人類はどんな未来に向かっていくのか、その未来は明るいものになるのか。すべては起業家の取り組み次第、というのがSlushの基本的な考え方だ。
社会をより良い進歩に導くためには、新しい企業の力を全面的に活用する必要がある。しかし、そのためには「アントレプレナーシップ(起業家精神)」とは何であるのか、あらためて考え直す必要があるという。
過去20年、テクノロジーの力で世界を変えようと多くの起業家が挑戦を続けてきたが、その勢いは減速を続け、投資額は増え続けてもそれに見合うだけの成果を得られない状況が続いており、そのような流れをひっくり返さない限り、もはや進歩はない。Slushはウェブサイトでそう断言している。
そうした人類の将来について議論する場としてリアルイベントが必要、というわけだが、感染力の強いデルタ株にさらなる変異株が見つかるなど、予定通りリアルイベントを開催できるかどうかはまだまだ不透明な状況だ。
(文:川村力)