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格差がさらなる不平等を生む…アメリカの低金利は富裕層が貯蓄を増やした結果

2013年12月23日、ニューヨーク証券取引所で笑顔を見せるトレーダー。

2013年12月23日、ニューヨーク証券取引所で笑顔を見せるトレーダー。

REUTERS/Carlo Allegri

  • 全米経済研究所(NBER)の研究者は2021年8月、金利が下がったのは不平等の結果であり、その逆ではないと述べた。
  • 彼らの研究によると、過去20年の間にアメリカの富裕層が貯蓄を増やしたことが、金利の低下に拍車をかけたという。
  • 金利が下がると資産価値が上がり、富裕層がさらに豊かになると研究者は言う。言い換えれば「不平等が不平等を生む」ということだ。

金利が非常に低い状況では、融資を受けやすい一方で、貯蓄してもほとんど利息はつかない。そのため、経済活動が活発になる。

アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の基準金利は、必要に応じて支出を調整するための手段となっている。しかし、この金利は長年にわたって低下し続けており、アメリカが不況から脱却する中、現在はゼロに近い状態にある。この長期に渡る記録的な低金利は、経済にとって新たな頭痛の種となる危険性がある。

以前Insiderが報じたように、低金利は経済を支えるものではあるが、富裕層が投資で大きな利益を得ることにもつながることが問題視されている。FRBがパンデミックで経済的に困窮した人々の支援をしている間に、富裕層も資産を増やしていたのだ。

ゼロに近い金利は不平等を悪化させると警告するエコノミストもおり、FRBがそれを招いたと非難している。しかし、もしこの考え方が間違っていて、金利が着実に低下している要因が、FRBではなく富裕層だとしたらどうだろうか。

全米経済研究所(National Bureau for Economic Research)が2021年8月27日に発表した論文によると、従来の議論は覆されるべきだという。論文の著者である経済学者のアーティフ・ミヤン(Atif Mian)、ラドウィック・ストラウブ(Ludwig Straub)、アミール・スフィ(Amir Sufi)は、アメリカの富裕層の収入が増加し、それが長年にわたる金利低下の原動力になったと述べている。この下降トレンドか株価を押し上げ、直近では2020年の反発をもたらした。

ミヤンは8月31日に「これはひどいサイクルであり、我々はその中にはまり込んでいる」とツイートした。言い換えれば、それはFRBのせいではない可能性があり、解決するのが難しいかもしれないということだ。

最も貯蓄している富裕層がますます裕福に。FRBは見守るだけ

ミヤンら研究チームが注目したのは、理想的な雇用環境を醸成しつつ、物価上昇を抑制する自然利子率(r*:アールスター。中立金利とも言う)である。

この研究の斬新な点は、世界中で貯蓄が増加したため、自然利子率が50年近くにわたって着実に低下していると論じている点だ。つまり、大量の貯蓄が経済を刺激しすぎないようにするために、FRBは金利を異常に低く抑えなければならなかったのだ。

このため、FRBは不安定な状況に置かれている。金利の低下に対抗して、それを引き上げると、借り入れが抑制され、景気が後退することになるだろう。しかし、このような低水準の金利を維持したままだと、危機の際に中央銀行が経済を刺激する能力が弱くなってしまう。

自然利子率の低下により、株価やその他の資産の価値が高まり、不平等を悪化させたが、そもそも富の格差が下降トレンドの原動力となった可能性が高いと研究者らは考えている。まず、アメリカ人の総世帯収入に占める富裕層の収入の割合が、ますます大きくなっている。この論文によると、世帯収入の総額のうち、上位10%の所得者の収入が占める割合は、1970年代には30%だったが、2020年には約45%に増加している。

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