財政難の京都市が「イノベーティブ都市」に生まれ変わるための3条件【音声付・入山章栄】

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

早稲田大学ビジネススクール教授の他に、企業の社外取締役やテレビのコメンテーターなどさまざまな顔を持つ入山先生が、今度は京都市の「都市経営戦略アドバイザー」に就任しました。先生は、京都市にはいま3つの課題があると言います。それはいったい……?

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:5分12秒)※クリックすると音声が流れます


京都を世界のセレブが住む街に

こんにちは、入山章栄です。

実はこの8月1日付で、京都市の都市計画戦略アドバイザーに就任しました。

僕はもともと京都が大好きで、プライベートでもよく訪れます。でも、なんとなくうっすらと、「京都はもっとよくできるのに、もったいないなあ」と思っていた。そんなところへ京都市の方とお話しする機会があり、半分冗談で「僕は京都が大好きだから、アドバイザー的なことをやりたい」と言ったら、それが現実になってしまったのです。


BIJ編集部・常盤

BIJ編集部・常盤

入山先生からご覧になって、京都市の課題はどんなところにあるんですか?


いまニュースでも話題になっていますが、京都市の目下の課題は間違いなく財政難です。

京都市は、実は構造的に税収が入りにくいんですよね。なぜなら景観規制があるために、高層マンションが建てられないので住民税などが入ってきにくい。高層ビルが建てられなければ企業も誘致しにくい。また、市営地下鉄などは経営効率も悪いと言われており、それも収益を押し下げています。結果、実は財政破綻ギリギリのところまで追い込まれているのです

ただし、僕自身はこの財政の問題には今のところ立ち入らない予定です。これは喫緊の課題ですが、僕がアドバイザーに入って注力するのは、もっと長期的に「世界に開かれたイノベーティブな都市」に京都をするための、きっかけ作りです。

そのための課題は、僕は大きく3つあると思っています。

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