アマゾンがインドで発売中のFire TV内蔵・Alexa搭載「アマゾンベーシックス(AmazonBasics)TV」。
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アマゾンは早ければ10月にも、自社ブランドのテレビをアメリカで発売する。Insiderの取材で明らかになった。
同社はすでに2020年末、インドで「アマゾンベーシックス(AmazonBasics)TV」を発売している。
また、アマゾンは他のメーカーと提携し、映像用スティック端末「Fire TV」の機能を内蔵したテレビを販売しているが、それらのモデルは常に東芝などメーカーのブランドを冠していた(例えば「Toshiba Smart Fire TV」のように)。
本件に詳しい関係者によれば、アメリカでのテレビ発売は、アマゾンデバイセズ(Amazon Devices)と研究開発組織「Lab126」の合同チームがおよそ2年前から準備を進めてきたという。
アマゾンの広報担当にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
アマゾンは自社ブランドのテレビを市場投入することで、自社マーケットプレイスを通じてテレビを販売しているサムスン(Samsung)、LG、ソニー(SONY)など他の家電メーカーと直接の競合関係が生じる。
発売予定のテレビにはスマートアシスタント「アレクサ(Alexa)」も搭載される可能性が高く、現在複数のサードパーティが設計と製造を進めている模様。
詳しい関係者によれば、サードパーティーのうち1社は、アルカテル(Alcatel)やサムスンのテレビも製造(組み立て)する急成長中の中国メーカー、TCLだという。
アマゾンブランドのテレビは、55〜75インチの大画面ラインナップとなる見込み。冒頭で触れたように、早ければ10月にも発売される予定だが、物流面でのボトルネックが続いており、遅延する可能性もある。
別の関係者によると、アマゾンは別途(サードパーティー委託とは異なる)自社設計のテレビ開発も進めている模様だ。
なお、アマゾンがインドで販売しているテレビ(先述)は、ラディアント・アプライアンセズ・アンド・エレクトリニクス(Radiant Appliances and Electronics)に製造委託している。
Fire TVシステムとアレクサを搭載し、55インチモデルは約588ドル(約6万5000円)、50インチモデルは約506ドル(約5万6000円)。
アマゾンのサイト(インド)レビューを見ると、お買い得と評価する声もあるが、一方で番組が画面に映る前に製品のロゴ(アマゾンベーシックスTV)が15分間にもわたって点滅するとか、アレクサが誤作動するとかのネガティブな指摘も見られる。
スティーブ・ジョブズもテレビ開発を考えていた
アマゾンが自社ブランドの家電分野に手を出すのは、今回のテレビが初めてではない。
2018年には、電子レンジやアンプ、サブウーファーなど、アレクサ搭載のホームデバイスを相次いで発売している。
ただ、そうした一見散漫なアプローチが、ユーザーのアレクサとのエンゲージメントを高めるのにどれだけ役立っているのかはわからない。
内情に詳しい関係者によると、アレクサの用途は現時点でも、音楽の再生や時間の確認といった単純な機能が大半を占める模様だ。
ビデオストリーミングに数十億ドルを投じてきたアップルについても、自社ブランドのテレビを発売するのではないかとの憶測が飛び交っている。
実際、故スティーブ・ジョブズは2011年、伝記作家のウォルター・アイザックソンに対し、素晴らしいテレビのインターフェースを生み出す方法が「ようやくわかった」と語り、間もなく「アップルテレビ(Apple television、現在のApple TVデバイスとは別)が2012年末から2013年初頭に発売されるとのウワサも出回った。
ジョブズはその後すぐに他界しているが、あれから10年、アップルより先にアマゾンがテレビ発売に乗り出すことになるとは、当時は誰も想像していなかっただろう。
[原文:EXCLUSIVE: Amazon is close to launching its own TV in the US]
(翻訳・編集:川村力)