ブルーオリジンの宇宙船「ニューシェパード」での飛行について笑いながら話すジェフ・ベゾス。2021年7月20日にテキサス州で行われた記者会見で。
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- 2021年の初めにアルトス・ラボというアンチエイジング研究を行う会社が設立された。
- 関係者がMITテクノロジーレビューに語ったところによると、同社はジェフ・ベゾスを出資者の1人として挙げているという。
- アルトス・ラボは、人間の細胞を再プログラムする技術を開発しようとしているという。
若返り法の発見を目指す新たな企業が、アマゾン(Amazon)の創業者であるジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)から資金提供を受けたことを、MITテクノロジーレビューが9月4日に報じている。
アルトス・ラボ(Altos Labs)は2021年初めに設立された研究開発企業で、年俸100万ドル(約1億円)で科学者を採用しているという。
MITテクノロジーレビューは「アルトス・ラボの説明によると」ベゾスが投資家の1人であると報じている。ベゾスの資産管理会社であるベゾス・エクスペディション(Bezos Expeditions)は、同誌からのコメント要請に応じていないという。またInsiderからもコメントを要請したが、回答は得られていない。
ベゾスは2021年7月にアマゾンのCEOを退任した。2月に社員に宛てた書簡では、今後は慈善活動や宇宙開発会社ブルーオリジンといった、彼が情熱を傾けているプロジェクトに時間を費やすと述べていた。
ベゾスがアンチエイジングの研究に資金を提供したのは今回が初めてではなく、2018年にはアンチエイジング薬の製造を目的としたバイオテック企業のユニティ・テクノロジーズ(Unity Technologies)に投資している。
MITテクノロジーレビューによると、アルトス・ラボは主に「リプログラミング」と呼ばれる技術にフォーカスしているという。これは、細胞にタンパク質を加え、幹細胞のような状態に戻すよう指示する技術のことだ。この技術をマウスで実証し、2012年に共同でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授が、アルトス・ラボの科学諮問委員会の委員長を務めることになっている。
山中教授はMITテクノロジーレビューに対して「克服すべきハードルは多いが、大きな可能性を秘めている」と述べている。
デラウェア州の記録によると、アルトス・ラボは2021年4月に法人化された。6月にはイギリスでも法人化されたことが、政府機関カンパニーズハウスに記録されている。MITテクノロジーレビューによると、同社は今後、カリフォルニア、イギリス、日本に研究所を設立する予定だという。
同社はロシアとイスラエルの国籍を持つ、投資家で技術系の大物、ユーリ・ミルナー(Yuri Milner)がカリフォルニアの邸宅で2日間にわたって開催したアンチエイジング・バイオテクノロジーに関する会議をきっかけに設立された。
※編集部より:一部表現を改めました(2021年9月17日9:10)。
[原文:Jeff Bezos has invested in an anti-aging biotech startup, a report says]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)