米コロラド州のコロラドスプリングスで発生した山火事で、3万2000人以上の住民が避難を余儀なくされた。
Gaylon Wampler/Getty Images
- 251の医学専門誌は、気候危機を警告する珍しい共同記事を発表した。
- 編集者たちは各国政府に対し、新型コロナウイルスの収束まで待たず、気候変動問題に取り組むよう求めている。
- これを無視した場合は「壊滅的」で取り返しのつかない結果を招く可能性があるとしている。
世界トップレベルの医学専門誌の編集者たちは世界の指導者に向け、「新型コロナウイルスが収束するのを待たずに、気候危機に焦点を当てなければならない」と警告する共同の記事を発表した。
この記事は2021年9月5日に世界のトップの医学専門誌228誌で発表され、さらに23誌が賛同した。アクシオス(Axios)によると、これほど多くの専門誌がこのような行動を起こすのは初めてのことだという。
各国政府が地球の平均気温の上昇を抑制できていないことは、パンデミックに見舞われている中であっても、世界最大の公衆衛生上の危機であると編集者たちは警告している。
「多くの国の政府は新型コロナウイルスのパンデミックの脅威に対して、前例のないほどの資金を投入して対応した。環境危機にも同様の緊急対応が求められている」とし、富裕国はもっと貢献する必要があると付け加えた。
また現在の二酸化炭素排出量削減の目標は十分ではなく、地球の平均気温は2%上昇すると予想され、「世界は極めて不安定な状態に陥る」可能性があるとしている。
2021年7月16日、大洪水に見舞われたドイツ西部、エアフトシュタットのブレッセム地域。
Rhein-Erft-Kreis/Reuters
平均気温が2%上昇すると、世界的な食糧生産量の低下、資源戦争、異常気象、強制的な移住、人獣共通感染症の増加、さらには高温の環境での生活にともなう多くの健康問題などが発生するという。
Insiderが報じたように、最近の異常気象の続発はこの編集者たちのメッセージの緊急性を表している。
2021年7月のたった1週間の間に山火事や洪水が4つの大陸の国々を襲い、最近ではハリケーン「アイダ(Ida)」によってアメリカのルイジアナ州で60人もの死者が出た。
この警告は、2021年9月21日から始まる国連総会、10月中旬の中国・昆明での生物多様性条約(UNCBD)第15回締約国会議(COP15)、11月のスコットランド・グラスゴーで開催予定の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第26回締約国会議(COP26)を前に発表された。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)