FBIが発行したシラジュディン・ハッカニの指名手配ポスター。
FBI/Handout via REUTERS
- タリバンは9月7日、暫定内閣を発表した。
- アメリカ連邦捜査局(FBI)が指名手配しているシラジュディン・ハッカニが内務大臣に就任した。
- タリバンは暫定政権に女性を参加させず、抗議活動も激しく取り締まっている。
タリバンは2021年9月7日、女性を排除し、アメリカ連邦捜査局(FBI)が指名手配している過激派グループのリーダーを含んだ暫定政権の発足を発表した。
首相にはタリバンの創設者の一人であるムラー・ムハンマド・ハッサン・アクフンド(Mullah Mohammad Hassan Akhund)が就任した。彼は国連のブラックリストに登録されている。また副首相には、同じくタリバン創設者の1人であるムラー・アブドゥル・ガーニ・バラダー(Mullah Abdul Ghani Baradar)が指名された。
バラダーは、2010年にアメリカとパキスタンの共同作戦で捕らえられ、2018年までパキスタンで投獄されていた。アメリカとタリバンの和平交渉の下、トランプ政権の働きかけで釈放され、その後の交渉ではタリバンの代表団を率いていた。
アフガニスタン和平交渉の開始を歓迎するために、タリバンの政治副顧問ムラー・バラダーと会談した。タリバンはこの機会を捉えて政治的解決を図り、40年におよぶ戦争を終結させるための包括的かつ恒久的な停戦を実現しなければならない。この取り組みはアフガニスタンが主導しなければならない。
内務大臣には、「ハッカニ・ネットワーク」のリーダーであるシラジュディン・ハッカニ(Sirajuddin Haqqani)が指名された。このネットワークはアメリカがテログループに指定しており、パキスタンとアフガニスタンを活動拠点とし、アルカイダと密接に関係している。ハッカニはアメリカ政府から1000万ドル(約11億円)の懸賞金がかけられている。
FBIの最重要指名手配リストによると、ハッカーニは「2008年1月にアフガニスタン・カブールのホテルで、アメリカ人を含む6人が殺害された事件に関して事情を聞く」ために指名手配されている。
「ハッカーニは、アフガニスタンに配備されたアメリカ軍と同盟国軍に対する国境を越えた攻撃を指揮し、参加していたと考えられている」とFBIは述べている。また、「2008年に当時のアフガニスタン大統領ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)の暗殺計画にも関与したとされている」という。
タリバンは、2021年8月中旬にカブールに進軍して以来、穏健派を装い、インクルーシブ(包括的)な政権を樹立することを宣言した。しかし、新たな暫定政権に女性を1人も参加させず、女性が主導する抗議活動を激しく取り締まっている。
国防大臣には、タリバンの創始者で最高司令官だった故ムラー・オマルの息子であるムラー・ヤクーブ(Mullah Yaqoob)が就任した。また外務大臣には、タリバン幹部のアミール・カーン・ムタチ(Amir Khan Muttaqi)が就任した。
ホワイトハウスのジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は9月6日、アメリカがアフガニスタンの新政権を正式に承認することを「急ぐ必要はない」と記者団に語った。またバイデン政権はこの問題についてスケジュールを設定しているわけではないが、タリバンの今後の行動を「世界が注目する」ことになると強調した。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)