アマゾン、1300億円を投じて75万人の従業員の学費を負担

アマゾン、75万人の学費を負担

ニューヨークのスタテンアイランドにあるアマゾンの物流センター「JFK8」で、荷物をスキャンする従業員。2020年11月25日撮影。

REUTERS/Brendan McDermid

  • アマゾンは、時給制で働く従業員75万人以上の学費を全額負担すると発表した。
  • 従業員は、学士号、準学士号、高校卒業証書、GED(高校卒業認定資格)、ESL(集中英語課程)証書の取得費用を負担してもらえる。
  • これは、雇用を確保するために企業が教育面の福利厚生を充実させる最新の事例だ。

アマゾンは、労働者を確保するために、教育面での福利厚生を拡充する。

同社は2021年9月9日、時給制で働くアメリカ国内の従業員75万人以上の学費を負担すると発表した

2022年1月から始まるこの制度で、フルタイムとパートタイムの従業員は学士号や準学士号、高校卒業プログラム、GED(高校卒業認定資格)、ESL(集中英語課程)を取得する費用をアマゾンに負担してもらえる。アマゾンは、授業料、書籍代、手数料などの関連費用を全額負担する。同社は以前、準学士号と認定資格のみに対して、学費や書籍代、手数料の95%を負担していた。同社によると、課程終了後に返金されるこれまでのやり方に変えて、授業料などを事前に負担するという。

従業員は、入社から90日たつと、この教育支援措置を受けられる。以前は、申し込み資格を得るまで1年待つ必要があった。

アマゾンは、今回拡大した教育支援とスキルトレーニングの提供に、2025年までに12億ドル(約1320億円)を投じると述べている。

さらに同社は、この教育支援制度の利用上限を撤廃した。つまり従業員は、同社に在籍する限り、毎年、教育資金を利用できる。プレスリリースによると、同社はアメリカ国内の多数の教育機関と提携し、教育支援制度を提供する。

拡大した教育支援措置は、アマゾンの学費支援プログラム「キャリア・チョイス(Career Choice)」を通して提供される。この制度ができてから10年近くで、世界中で働く5万人以上のアマゾンの従業員がこれを利用したと、同社ワールドワイドコンシューマー部門のCEO、デーブ・クラーク(Dave Clark)はプレスリリースで述べている。

同社はまた、ITエンジニア、UXデザイナー、データセンターテクノロジー技術者などに就く労働者のため、3つのスキルトレーニングプログラムを新たに追加したことを発表した。

「現在、アメリカの求人をすべて補うだけの十分な労働者がいない。特に技術的なスキルが必要な職種は、特に雇用に苦労している」と、アメリカ商工会議所の副会頭、シェリル・オールドハム(Cheryl Oldham)はプレスリリースで述べた。

「アマゾンのような大手企業が、特に技術面でスキル向上のためのプログラムに投資することは、ビジネスコミュニティが現在や将来のニーズにあう労働力確保につながるだろう」

同社は、雇用を強化するため教育面の福利厚生を拡大した最新の企業だ。競合であるウォルマートは2021年7月、10の教育機関での学費と書籍代を負担すると発表した。ターゲットがこれに続いて8月、アメリカ国内の34万人以上の従業員が、負担なく教育を受けられるように支援すると発表した。スターバックス、チポトレ(Chipotle)、ベライゾン(Verizon)も、学費を支援している

教育面での支援の拡大で労働者を確保しようとする動きは、アメリカの大学の学費が上がり続け、Z世代がベビーブーム世代の2倍もの金額を払っていることを受けたものだ。

[原文:Amazon is offering to cover the full cost of college degrees for more than 750,000 US hourly employees in a push to attract new workers

(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)

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