飲食店は苦戦が続いている。2021年3月撮影。
REUTERS/Kim Kyung-Hoon
日本でもワクチンの接種が進んでいるものの、約3人に1人が「世の中のワクチン接種が進んでも、当分は外食を控える」と考えている ——。
ホットペッパーグルメ総研が2021年に7月にインターネットで実施した「ワクチン接種が進む中での外食実態調査」(1034人が回答)で、そんな実態が明らかになった。
調査には、すでにワクチンを接種し一定期間が経過した人も回答。59歳以下(800人)では17.8%、60歳以上(234人)では48.7%が、2回ワクチンを接種した後で回答している。
7割が「外食に慎重」
ワクチンの接種が進んでも、外食への慎重な姿勢が続いている。
出典:ホットペッパーグルメ外食総研「ワクチン接種が進む中での外食実態調査」
調査の結果、「世の中の人々がワクチンを指定回数接種し、一定期間経過した後に、外食に行こうと思いますか?」という質問に対して、回答は以下だった(過去の調査と比較のため59歳以下のみ回答)。
・当分は様子を見て外食は控える…34.9%
・頻度を減らして行くつもりだ/行っている…33.8%
・変わらない頻度で行くつもりだ/行っている…23.8%
・もう外食はしない、もともと外食はしない…7.3%
「当分は外食を控える」「頻度を減らして行く」を合計すると、約7割の人がワクチン接種が進んだとしても、外食に慎重になっていることが分かった。
また、ワクチンを打った人とワクチンを打っていない人で比べた場合、「当分は様子を見て外食は控える」としたのは、ワクチンを打っていない人よりも、すでにワクチンを打った人の方が割合が多かった。
ワクチンの接種・未接種を問わず、外食への慎重姿勢に変わりはなかった。
出典:ホットペッパーグルメ外食総研「ワクチン接種が進む中での外食実態調査」
調査を担当したホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の稲垣昌宏氏は、「ワクチンを接種した場合と、接種しなかった場合とで、外食を控えるかどうかの相関性は見られなかった」と説明した。
「外食を控える」半年前よりも増加
同様の調査は2020年6月、2020年11月にも行っており、今回が3回目。まだワクチン接種が進んでいなかった過去の調査と比較すると、外食への慎重姿勢は再び強まっていることもわかった。
「当分は様子を見て外食を控える」と答えたのは、2020年6月には36.5%だったのが、その後、ワクチンの効果への期待が高まったせいか2020年11月には18.2%に減少した。
しかし、今回の調査では再び34.9%に上昇。アンケートを実施した7月は、国内で感染拡大が進んでいたこともあり、ワクチンに関わらず慎重な姿勢が強まったと考えられる。
外食「感染しないか不安」7割
出典:ホットペッパーグルメ外食総研「ワクチン接種が進む中での外食実態調査」
ワクチンを打ったとしても外食に慎重になる理由としては、感染への不安が大きい。
外食の頻度が変化すると考えた理由を複数回答で聞いたところ、「感染しないか不安だから」が最も多く73.8%、続いて「まだ自粛すべきだと思うから」が51.0%だった。
2020年の外食市場、前年比44%減
2020年度の飲食店は、コロナの深刻な影響を受けた。
出典:ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査」
ホットペッパーグルメ外食研究所では、2020年度の「外食&中食市場概況」も発表した。調査は首都圏、関西圏、東海圏の男女1万人を対象に、インターネットで毎月実施しており、今回は2020年度の結果をまとめた。
調査の結果、「外食の実施率」「外食頻度」「外食単価」がいずれも減少したことで、3圏域の外食市場は前年度比44.8%と大幅に減少し、2兆1630億円だった。
一方で、テイクアウトなどの中食需要は好調で、市場希望は前年度比19.8%増の1兆4715億円だった。
今後の飲食業の見通しについて、前出の稲垣氏は「今年度中にコロナ前の状況まで回復するのは難しいとみている。飲食店はテイクアウトやデリバリーなど、店内飲食に限らない商品提供を続ける必要がある」と話した。
9月に入り、感染者数が下降に転じるなかで、「外食控え」は再び減少していくのかどうか。今後の調査も気になるところだ。
(文・横山耕太郎)