オーロラ・イノベーションのクリス・アームソンCEOは、2027年に20億ドル達成を目指すという。
Aurora Innovation
ウーバー(Uber)と提携する自動運転技術企業オーロラ・イノベーション(Aurora Innovation)は、2027年に売上高20億ドル(約2200億円)達成を目指す、とクリス・アームソンCEOは語る。しかもそれは、1台の車も所有することなく可能だという。
オーロラは、特別買収目的会社(SPAC)リインベント・テクノロジー・パートナーズ・Yとの合併による上場を予定している。合併後の企業価値は130億ドル(約1兆4300億円)に達する見込みだ。オーロラのビジネスモデルは、自動運転技術を利用ベースで提供するものだ。
オーロラによれば、この計画に基づくとわずか6カ月で数十億ドル(数千億円)の売上高を生み出すことになる。自動運転開発には数十億ドルの投資が必要であり、その投資から利益を生み出すことの重要性は、上場によってさらに高まる。
Insiderの取材に対しアームソンは、「当社は運転技術の提供で世界一になれると考えます。しかし、それは必ずしも当社が車の製造やウーバー、輸送会社などが行っているような運輸網の運営において世界一になることを意味しません」と語った。アームソンは、現在ウェイモ(Waymo)と名付けられているグーグルの自動運転プロジェクトの立ち上げメンバーのひとりだ。
オーロラのビジネスモデルは、すなわち「ドライバー・アズ・ア・サービス(DaaS)」だ。つまり、オーロラが車両を所有することはない一方、輸送サービス企業、パッカー(PACCAR)のような商用車製造企業、ウーバーのような配車サービス企業を含め、オーロラの顧客それぞれが自社の所有する車両で、オーロラ・ドライバーと呼ばれる自動運転技術を使い、その利用料を支払うことになる。この自動運転技術は、ハードウェア、ソフトウェア、地図データやその他のデータを統合し、車の自動運転を可能にするものだ。
「当社は自動運転技術を提携先に提供します。提携先はその技術を使って事業を構築し、オーロラ・ドライバーを作動させての車両走行距離に基づき、利用料を当社に支払います」とアームソンは説明する。
オーロラは、2023年までに自動運転トラック輸送技術、2024年までに配車アプリをそれぞれ開発する予定だ。DaaSによる売上高が、2026年には6億2200万ドル(約684億2000万円)、さらに翌2027年にはその3倍超の20億ドル(約2200億円)に達する見通しだという。
このビジネスモデルは簡単だ、とアームソンは言う。
オーロラ・イノベーションのクリス・アームソンCEO。
Aurora
「商品の配達、店舗への配送、世界各地で人の移送を行う企業が、自動運転技術を装備した車を運用・利用するようになります。その自動運転機能を提供するのが当社です。そこで、自動運転機能を搭載した車がどの企業のバランスシートに載っているのか、という疑問が出てくるでしょう。それは利用企業です。既に車両を所有しており、自動運転機能装備のための追加的資本コストはわずかです」
オーロラのコストは、主に保険料、メンテナンス費、クラウド費用、顧客の自動運転導入に関わる費用の一部負担となり、全て変動費だ。
「そのため、当社は自分たちの強みに注力できます。結果として、少ない資産で高い収益性を伴う売上を生み出すことが可能となります」
オーロラが当初狙うのは、可能性のある市場のほんの一部だ。アメリカのトラック輸送市場の規模は7000億ドル(約77兆円)、配車サービス産業の規模は350億ドル(約3兆8300億円)だ。
オーロラには、息の長い努力が必要と見る向きもある。
「2027年に売上高20億ドル(約2200億円)を達成したとしても、必ずしも利益を計上できるとは限りません。これからも多くの経費がかかり、長期にわたり多額の研究開発費が発生します」と語るのは市場調査会社ガイドハウス・インサイツのプリンシパル・リサーチ・アナリスト、サム・アブールサミッド(Sam Abuelsamid)だ。同時に、アブールサミッドは次のように述べている。
「しかし、可能性があるのはたしかです。オーロラが市場の一部でも獲得すれば、各企業はオーロラを認知するでしょう。オーロラがその実力を実証すれば、その後の大きな成長に結びつくでしょう」
(翻訳:住本時久、編集:大門小百合)