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- アメリカでウエストナイル熱に最も感染しやすいは9月だ。今年はすでに、少なくとも9人がウエストナイル熱で死亡している。
- アリゾナ州、アーカンソー州、カリフォルニア州、アイダホ州、ニュージャージー州、テキサス州では、それぞれ1人または2人の死亡者が報告されている。
- 西ナイル熱は、軽症で済むことが多いが、重症の場合は死に至ることもある。
ウエストナイル熱(西ナイル熱)による死亡例が、アメリカの少なくとも6つの州で報告されている。この感染症は、主に蚊がウイルスを媒介し、麻痺や脳の腫れを引き起こす可能性がある。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の2021年9月7日までのデータによると、アリゾナ州、アーカンソー州、カリフォルニア州、アイダホ州、ニュージャージー州、テキサス州から、それぞれ西ナイル熱に関連した死亡例が1件または2件報告されており、2021年の死亡例は現時点で合計9件となっている。
アメリカ本土の7つの州を除くすべての州で、蚊、動物、あるいは人間などがウエストナイルウイルスに感染したと報告されている。また、29の州では人間への感染、あるいは発症した可能性のあるケースが確認されている。
主に蚊が媒介するウエストナイルウイルスによって起こるウエストナイル熱は、感染しても多くの人は発症しない。感染者の約20%に発熱や、頭痛、体の痛み、嘔吐、下痢、発疹などのインフルエンザのような症状が出る。
しかし、髄膜炎や脳炎のような脳の腫れ、あるいは麻痺など、より重篤な症状も毎年数件報告されている。CDCの集計によると、アメリカでは2021年に少なくとも136件の重篤なケースが発生している(感染が確認されたものとその可能性が高いものを含む)。
全米各州の保健当局は、ウエストナイル熱が発生しやすいシーズンに、警告や感染を防ぐためのアドバイスを発表している。ウエストナイルウイルスに対する治療法やワクチンがないため、感染を避けるには蚊に刺されないようにすることが第一だ。
各地の保健当局が追加の死亡者数を報告
一部の州や郡の保健当局は、CDCの発表に先立ってウエストナイル熱関連の死亡者を追加で報告している。
ノースダコタ州保健局は9月10日、州内で今年初のウエストナイル熱による死亡者が出たことを発表した。州の南西部に住む60歳以上の住民だったという。9月13日にはネブラスカ州のスリーリバーズ保健局が、州内で今年初のウエストナイル熱による死亡者が出たことを報告した。
CDCによると、高齢者は免疫が低下している人と同様に、ウイルスによって重症化したり死亡したりするリスクが高いという。
これまで人間への感染が少なかった州でも、今シーズンはリスクの高い住民に対して蚊に刺されないよう注意を促している。9月に人間への感染が4件報告されたマサチューセッツ州では、ウイルスの活動状況や、最近の降雨量を考慮して、州における感染の危険度を「高」に引き上げた。
「ウエストナイル熱の感染者は、9月が最も多い」とマサチューセッツ州のマーグレット・クック(Margret Cooke)公衆衛生委員長代理は、声明で述べている。
「誰もが蚊に刺されないように対策を講じることを勧めるが、特に50歳以上の人や免疫が低下している人は注意が必要だ」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)