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男女の賃金格差が縮小、でも女性の賃金が上がったわけではない

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Morsa Images/Getty Images

  • アメリカ国勢調査局のデータによると、年間を通してフルタイムで働く女性の収入は、男性の1ドルに対して83セントだった。
  • 2020年に男女の賃金格差が縮まったように見えたが、それはパンデミックで仕事を失った女性がいたからだ。
  • パンデミックによってレストランなどの低賃金の仕事を辞めた女性が数多くいた。

パンデミックで多くの女性が労働市場から排除されたため、2020年は男女の賃金格差に変化が生まれた。

アメリカの女性たちは子どものオンライン授業を手伝わなければならなかったり、年を取った家族の世話をしなければならなかったり、また自分の健康が心配だという理由で、2020年2月から160万人以上の女性が離職し、今も職場に戻っていない。

アメリカの国勢調査局(Census Bureau)が2021年9月14日に発表した2020年の所得と貧困のデータからは男女の賃金格差がわずかに縮小したかのように見えるが、それは誤解を招く恐れがある。多くの女性が低賃金の仕事を辞めたことで、2020年の所得が上昇したように見えただけだ。

「レストランや小売店、保育士、ホテルの室内係など、低賃金の職に就いていた女性たちが仕事を辞めたことで、男女の賃金格差は人為的に縮小したかのように見える」と、全米女性司法支援センター(National Women's Law Center)のバイスプレジデントで教育・職場裁判(education & workplace justice)担当のエミリ―・マーティン(Emily Martin)は声明の中で述べている。

2020年の国勢調査のデータでは、年間を通じて働くフルタイムワーカーの平均収入を見ると、女性は5万982ドル(約650万円)で男性は6万1417ドル(約671万円)だった。これは、女性の収入は男性の収入の83.0%であり、男性の収入1ドルに対して女性は83セントであることを示している。このデータでは、男性の収入1ドルに対して82.3セントだった2019年の同データよりも約1セント多くなっている。

中小企業プラットフォームのグスト(Gusto)の新しい分析でも同様の結果が出た。グストの給与データによると、男女の給与格差は2019年から2020年にかけて2セント縮小した。グストのデータによると、フルタイムで通年勤務する女性は、同様の男性が2020年に1ドル稼ぐのに対して74セント稼いでいる。

「数字の上では、女性の相対的な収入が急増したように見える。しかし、実際に起きたのは、低賃金のサービス業に就いている女性が、高収入の専門職に就いている女性よりも著しく高い確率で離職したことだ」とグストのエコノミスト、ルーク・パルデュー(Luke Pardue)はInsiderにメールで述べた。

グストのより詳細なデータによると、男女ともに2020年の離職率が最も高かったのは、収入が下位25%の人たちだった。全体では、女性の方が男性よりも2020年の離職率が高く、それぞれ女性は32%、男性は27%だった。

「実際、男女間の賃金格差の縮小の5分の1は、2020年に女性の離職率が上昇したことによるものであり、これによって440億ドル(約4兆8300億円)の女性の収入が失われたことが分かった」と、パルデューはグストの報告書に記している。

国勢調査局のデータによると、通年勤務のフルタイムワーカーの平均収入は、2020年に6.9%増の5万6287ドル(約618万円)と大幅に増加している。しかしこれもパンデミックの間に、アメリカ人が失った仕事の種類が原因だ。国勢調査局はこの数字を「年間を通じて働く労働者が約1370万人減少したことを意味する」としており、2020年に全体の労働者数の減少は約300万人だったことから、パートタイムに移行した人もいるのではないかと報告書に記している。

賃金格差是正に向けた企業の取り組み

女性の中には完全に仕事から離れてしまった人もいるかもしれない。2021年8月現在、パンデミックが始まったばかりの2020年2月以降、20歳以上の女性の160万人以上が職を失っている。それは彼女たちが仕事をしていないか、積極的に仕事を探していないということを意味している。

全米女性司法支援センターのリサーチ・ディレクターであるジャスミン・タッカー(Jasmine Tucker)は、「今後数年間の賃金格差を心配している」とInsiderに語っている。なぜならよい仕事がない時には、たとえ給料があまりよくなくても、仕事を受けてしまうかもしれないからだ。「オファーを失いたくないから、女性はその仕事の給料やその他の待遇を交渉しようと思わないかもしれない」とタッカーは付け加えた。

タッカーは、国レベルでは最低賃金の引き上げ、給与公正法(Paycheck Fairness Act)の成立、同一賃金法の強化などの政策や行動が重要であると述べている。また、労働者が仕事と介護または自分自身の健康を選ぶことを迫られないために、企業は給料を上げたり、有給の家族・医療休暇を提供するなどの変革を実行することも必要だと言う。

またグストのエコノミストのパルデューは、「賃金格差をなくし、女性を労働力として維持するためには柔軟性が鍵になる」とInsiderにメールで述べた。

「傷病時の有給休暇の取得、フレキシブルなスケジューリング、リモートワーク、より手厚い子育て支援といったサービスを提供できるような柔軟性が、女性の労働力確保に大きく貢献する」とパルデューはメールで述べている。

「このような柔軟性を、業界や職種を問わず、女性が利用しやすいものにしなければならない」

[原文:The gender pay gap shrank in 2020, but not because companies started paying women more

(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)

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