カリフォルニア州マウンテンビューのグーグル本社に掲げられたロゴ。
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- グーグルは、これまで長い間過少な賃金しか支払われてこなかった何千人もの派遣社員への補償を求める声に直面している。
- この状況は「大規模なモラルの欠如」だとして、140人以上の社員が嘆願書に署名した。
- グーグルは、この状況を「徹底的に見直す」ことを約束したという。
グーグル(Google)が派遣労働者に対して違法に過少な賃金しか支払っていなかったとの報道を受け、同社の従業員は会社に対して数千人の派遣労働者への補償を求めている。
2021年9月10日、ニューヨーク・タイムズとガーディアンは、グーグルが複数の国、特にヨーロッパとアジアにおける「ペイパリティ(同一賃金)法」に違反していたと報じた。ペイパリティ法とは、企業が同じ業務を行うフルタイム労働者と派遣労働者に平等な賃金を支払うことを義務付けるもので、アメリカには存在しないルールだ。
グーグルのコンプライアンス部門は2019年5月にこのミスを発見したと報じられているが、給与の安い派遣社員への補償をすぐには行わず、法的、財政的、風評的なダメージを避けようと、新入社員の賃金率のみを修正したという。
グーグルの派遣社員や契約社員の数は正社員を上回っており「影の労働力(shadow workforce)」と呼ばれている。彼らは近年、公正な賃金や福利厚生を求めて組合結成を試みているとInsiderが以前報じている。
グーグルは世界中で約6000人のTVC(派遣社員、業務委託社員、契約社員)を雇用しており、その多くはイギリス、アイルランド、インド、ドイツ、オランダ、フランス、ポーランドにいるとガーディアンが報じている。これらの国ではペイパリティ法が施行されている。
9月8日の夜までに、140人以上のグーグル社員が、グーグルがTVCに対して「法的に認められ、得られるべき賃金の全額」を支払うことを求める嘆願書に署名した。さらに、法律の有無にかかわらず、アメリカの派遣社員にも同様に支払うことを検討するように求めた。
この嘆願書は、2021年1月に結成された「アルファベット労働組合(Alphabet Workers' Union)」によって作成された。嘆願書では、TVCを補償するためのコストは「グーグルの1兆ドルの企業価値を考えれば取るに足らない額」であり、同社の幹部らは「何千人もの労働者の賃金や彼らの生活の質の向上よりも、ネガティブな報道を避けることを優先している」と批判している。
嘆願書には「グーグルの多くの労働者にとって、『Don't Be Evil(邪悪になるな:同社の非公式モットーだった)』は煙幕(事実を隠すもの)だ」とも記載されている。
「つまり、グーグルは投資家、ユーザー、政府機関に対して、同社が信頼できて友好的であると思わせることで、疑いを持たない彼らから金銭的な報酬を得ているが、その一方で、大多数の労働者に対して過小な賃金しか支払わず、不当に扱っている」
9月10日にこのことが報道された直後、グーグルのチーフ・コンプライアンス・オフィサーであるスピロス・カレトス(Spyros Karetsos)は、同一賃金を支払うプロセスが「我々が企業として掲げる高い基準に沿って処理されていなかった」とブログに記した。
カレトスは、同社がこの状況を「徹底的に検証」しており、「まだ対処できていない給与の不公平を特定して対処することを約束する」と述べている。
Insiderはグーグルに対してコメントを求めている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)