心震える11枚。英グリニッジ王立天文台、天体写真コンテスト2021

Lockdown

PEOPLE AND SPACE部門のWinner。ロックダウン中のイギリス、写真家と娘のひととき。コロナ禍を象徴した一枚だ。

Deepal Ratnayaka

空を見上げれば、いつも変わらずにそこには神秘的な世界が広がっている。

宇宙の美しさは、世界中のどこからでも、誰もが平等に味わうことができる、自然が与えてくれた贈り物だ。

9月17日(日本時間)、イギリスのグリニッジ王立天文台が主催する天体写真コンテスト「Astronomy Photographer of the Year 2021」の受賞作品が発表された。

今年で13年目を迎えた天体写真コンテスト。

世界の75カ国から4500点以上の応募があった中でグランプリに輝いたのは、中国人写真家、シュチャン・ドン(Shuchang Dong)氏が撮影した「The Golden Ring」と名付けられた「金環日食」の写真だ。

2020年6月21日、インドや中国西部、台湾で起きた金環日食。日本では、同日に部分日食が観察されていた。シュチャン・ドン氏は、この撮影のため、チベット西部の都市である阿里に向かった。

阿里は年中晴れ間が広がっている都市として知られているというが、金環日食当日はあろうことか空一面に雲が広がっていた。グランプリに輝いた写真は、そんな中、一瞬垣間見えた金環日食の様子を撮影した幻想的な一枚だという。

なお、グランプリの作品の撮影者には、賞金として1万ポンド(約150万円)が授与される。また、ほかの入賞作品とともに、9月18日からイギリス国立海洋博物館で開催される写真展で展示される。

各部門の最優秀賞作品などを含めた11枚の入賞作を見ていこう。


暗雲の中、突如として空に現れた完璧なリング「金環日食」

The Golden Ring

Our Sun部門のWinner。全体のグランプリにも選定された。

Shuchang Dong


暗闇に踊る緑色の光。ロシア、カルスキエボロタ海峡で捉えられたオーロラ

Aurora

AURORAE部門のWinner。船のブリッジで撮影された。

Dmitrii Rybalka


マイナス10度の極寒の中で現れたオーロラと、アイスランド「神々の滝」との共演

Aurora2

AURORAE部門の入賞者。写真に写っている巨大な滝は「ゴーザフォス」といい、アイスランドでは「神々の滝」と言われている。

Larryn Rae


「The Milky Ring」2年がかりで撮影された、360度パノラマの天の川

The Milky ring

GALAXIES部門のWinner。北半球と南半球で撮影したものをつなぎ合わせることで、天の川全体のようすをリング状に表現している。

Zhong Wu


宇宙に浮かぶ怪しげな笑み

A Smiley in Space

GALAXIES部門の入賞作。唇の部分にあたるのは、NGC 1055と名付けられている渦巻銀河だ。

Nicolas Rolland and Martin Pugh


まるでアポロ計画を思わせる月面。地平線の先に映り込むのは、三日月となった「金星」だ

Beyond the Limb

Our Moon部門のWinner。まるで月面探査機から撮影されたような写真だが、地球から撮影されたものだ。

Nicolas Lefaudeux


極寒の闇夜に浮かんだ月の「ハロ」

LunarHal

Our Moon部門の入賞作。真冬のスウェーデン、マイナス16度の中、明るい満月のまわりに太陽の周りに見える光の輪(ハロ)が現れた。

Göran Strand


ロックダウンが生んだ、写真家と娘のひととき

Lockdown

PEOPLE AND SPACE部門のWinner。イギリスの写真家が、ロックダウンの最中に捉えた一枚。6歳の娘が、みずからのおもちゃの人形に流れ星を見せていた。

Deepal Ratnayaka


静寂の砂丘。オーシャンブルーの空に浮かぶ、ひと筋の三日月

LunaDunes

SKYSCAPES部門のWInner。アメリカ、カリフォルニア州デスバレー国立公園で撮影された。

Jeffrey Lovelace


宇宙というキャンパスに絵の具を垂らす。アートとサイエンスが織り交ぜられたカリフォルニア星雲

California

STARS AND NEBULAE部門のWinner。NGC 1499は、その形がカリフォルニア州の輪郭に似ていることから、カリフォルニア星雲と呼ばれている。なお、この画像の色彩は、水素、硫黄、酸素から出ている光をそれぞれ緑色、赤色、青色に着色しているものであり、本当の色ではない。

Terry Hancock


宇宙へと向かうスペースXのファルコン9。いずれ本当に月へと届く日は来るのだろうか……

Falcon

新人賞のWinner。撮影者は、事前の情報をもとに、ファルコン9の打ち上げルートが月と重なって見える場所を見つけ出し、撮影に挑んだという。

Paul Eckhardt


(文・三ツ村崇志

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み