ファイザーのmRNAワクチン。
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新型ウイルス感染症(COVID-19)のmRNAを開発する、アメリカのファイザーとドイツのビオンテックは、9月20日、臨床試験を実施していた5歳から11歳の子どもに対するmRNAのワクチンの第2/3相臨床試験によって、中和抗体の増加や安全性が確認できたと発表した。
今後、ピアレビューされた論文として提出することはもちろん、FDA(アメリカ食品医薬品局)や EMA(欧州医薬品庁)を始めとした世界の規制当局に対して、出来る限り早く結果を提供することを計画しているという。
なお、5歳未満の子どもに対する臨床試験の結果についても、2021年の第4四半期(10〜12月)には公開したいとしている。
投与量3分の1でも成人と同等
ファイザーとビオンテックは2021年3月から、生後6カ月から11歳までの子どもを対象としたCOVID-19用のmRNAワクチンの臨床試験を実施していた。
この試験に登録された子どもの数は約4500人。今回、そのうちの5歳から11歳、約2300人に対する結果がまとめられたことになる。
臨床試験では、16歳以上の大人に対するファイザー・ワクチン接種と同様に、3週間間隔でワクチンを2回接種。ただし、接種するmRNAの量は慎重を期して大人用ワクチンの3分の1にあたる10マイクログラムと少量に設定されていた。
ファイザーのプレスリリースによると、参加者は2回目の接種から約1カ月後に強い免疫応答が認められたという。なお、副反応は16〜25歳に対する臨床試験(30マイクログラム接種)とおおむね同等だったという(副反応の詳細は9月21日時点では不明。データが公開され次第、詳報する)。
アメリカ小児学会によると、9月9〜9月16日の間に新型コロナウイルスに感染した患者の約26%が子ども。COVID-19のパンデミック禍での累計感染者の中での子どもの割合が、全体の約16%であることを考えると、直近で子どもの感染事例が増えていた。
ファイザーのプレスリリースでも、7月以降、アメリカでは小児の感染者が240%増加しているとされており、子どもの間での感染予防の必要性が考えられていた。
ビオンテックの最高経営責任者、ウグル・シャヒン氏はプレスリリース中で
「冬が始まる前に、学校へ通う年代のデータを提出できることを嬉しく思います」
と語っている。
東京都の年齢別感染者の推移。
出典:東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和3年9月16日)
日本でも、デルタ株の流行によって、10代以下の感染事例が増えている。
アメリカでの緊急承認の動きなどを経て、日本国内でも12歳未満へのワクチン接種の必要性について議論が進んでいくことが想定される。
(文・三ツ村崇志)