「安全のために欠かせない」タリバン、罰則としての"処刑"や"手の切断"を復活させる

ヌールディン・トゥラビ師

タリバンの幹部、ヌールディン・トゥラビ師(2021年9月22日、カブール)。

(AP Photo/Felipe Dana)

  • タリバンは罰則としての処刑や手の切断を復活させるという。
  • タリバンの幹部の1人は、こうした行為が「必要」だと、AP通信に語った。
  • かつてのタリバン政権下では、処刑や手の切断は首都カブールにある競技場で行われていた。

タリバンは罰則としての処刑や手の切断を復活させると、幹部のヌールディン・トゥラビ師は9月23日に公開されたAP通信のインタビューで語った。

こうした陰惨な報復行為は常に公共の場で行われるわけではないが、トゥラビ師はアフガニスタン新政権への介入について、国際社会に警告した。

「競技場での処罰について皆が我々を批判したが、我々はその者たちの法や罰について何も言ったことはない」とトゥラビ師はAP通信に語った。

「我々の法がどうあるべきか、誰も口を出すことはできない。我々はイスラムの教えに従い、コーランに基づいて法を作る」

トゥラビ師はタリバンによるイスラム法の残忍な解釈の執行者であり、1996~2001年の旧政権では宗教警察のトップを務めていたとAP通信は伝えている。

旧政権下では、処刑や切断は首都カブールにある競技場で、時に公衆の面前で行われていたという。タリバンでは切断が抑止力になると考えられているとトゥラビ師は主張した。

「手を切り落とすことは、安全のために欠かせないものだ」という。

タリバンは8月、2001年以来初めてアフガニスタンの支配を取り戻した。大きな戦闘もほとんどなく、あっという間に主要都市を占拠した後、首都カブールに入った。

2001年のアメリカによるアフガニスタン侵攻で、タリバンは政権を追われた。そして、アメリカのアフガニスタン撤退で、タリバンは再び自らを国内で最も支配的な勢力であると主張することになった。

タリバンは当初、自らを過去に比べてより穏健で、変化した存在に見せようとしていた。アメリカに手を貸した人々への報復はない、開放的な政府を作ると約束した。

しかし、それも長くは続かず、タリバンは自らの支配に対する抗議活動を暴力的に弾圧し始め、国連は約束を破っていると非難した。また、タリバンによる暫定政権には女性は含まれていない一方で、国連の制裁リストに登録されている人物は含まれている。暫定内務大臣のシラジュディン・ハッカーニ氏は、アメリカ連邦捜査局(FBI)に指名手配されている。

国際社会は、タリバンによる支配がアフガニスタンの女性や少女にとってどのような意味を持つのかという点を特に懸念してきた。旧政権下でタリバンは、女性が教育を受けることや男性の付き添いなしに全身を覆うことなく人前に出ることを禁じていた。タリバンの厳格な規則に違反した女性に対する暴力的な報復もあった。

9月中旬、タリバンは大学を男女別にし、新たな服装規定を導入すると発表した。また、女性が主導した抗議活動に対して暴力的に反応し、女性のさまざまな問題に取り組んできた省を廃止した。

「街を占拠して以来、タリバンは知名度の高い女性を探したり、女性の家の外での移動の自由を否定したり、強制的な服装規定を課したり、仕事や教育へのアクセスを厳しく制限したり、平和的な集会の権利を制限することで、女性や少女たちに恐怖を植え付けている」と国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは9月23日に発表した報告書で述べている。

[原文:The Taliban is bringing back executions and cutting off hands as punishment after retaking control of Afghanistan

(翻訳:Ito Yasuko、編集:山口佳美)

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