GMが女性プログラマーの育成に投資する理由

GM CEO

General Motors

ゼネラル・モータース(GM)のCEOメアリー・バッラ(Mary Barra)氏は、伝統的な自動車メーカーをハイテク企業に変貌させるべく大きな改革を推進している。

事実、昨年だけでもGMはバッラ氏の指揮下のもと、クルーズオートメーション(Cruise Automation)を買収、配車サービスを運営するリフト(Lyft)に5億ドル(約5800億円)を投資、さらにはGM初の長距離走行が可能な電気自動車「ボルト」を発表した。

コネクティビティ、電動化、自律化にフォーカスした成長戦略により、GMではソフトエンジニアの雇用が急増している。バッラ氏はBusiness Insiderとのインタビューで、STEM(Science、Technology、Engineering and Mathematics、つまり、科学、技術、工学、数学)関連の人材を、時間換算にすると26分に1名の割合で雇っていると語った。

しかし、バッラ氏は一方で、自動車産業におけるプログラミングの需要が高まる状況にありながら、女性の進出が増えていないことを指摘。理由は、単純にコンピュータサイエンスの学位を取得する女性の数が少ないためだ。

確かに最新のComputing Research Association(CRA)の調査によると、米国においてコンピュータサイエンス課程を修了した学生の84%は男性だ。

バッラ氏はこの状況を変えようとしており、1月10日火曜日(現地時間)、GMはNPO法人Girls Who Codeに25万ドル(約2900万円)を寄付した。Girls Who Codeは、6年生〜12年生の女子生徒を対象にコンピュータスキルを教える放課後プログラムを運営。より良いスキルを身につけた彼女たちが、大学でコンピュータサイエンス課程に進学することを後押しする取り組みだ。

Girls Who Codeとの協力関係が、今、GMをはじめとする自動車産業でもっとも必要性が高まっているプログラミング関連の人材の裾野を広げることをバッラ氏は期待している。

「現在の自動車には数千万行ものプログラムが組み込まれている。5、6年前には想像できなかったことだ。ソフトウェアエンジニアの必要性は高まっており、人材を求める声も大きい。だが、人材の男女格差が広がっていることも明らかだ」

アクセンチュアとGirls Who Codeが昨年10月に発表した調査によれば、2015年には50万件以上のコンピュータ関連の職があったにもかかわらず、コンピュータサイエンスの学位を持つ学生は4万人に過ぎず、しかも女性はほとんどいない。

さらに同調査によれば、1984年には全体の34%を占めていた女性のコンピュータサイエンスの学位取得者が、2016年には18%にまで低下している。

「プログラミングができるSTEM関連の学位がこれまでになく求められている状況下で、女性に働きかけなければ、わたしたちは業界に優秀な人材を呼び込むことはできない」(バッラ氏)

格差が生まれる要因の1つには、中学や高校でコンピュータサイエンスの基礎を学ぶ機会が女子学生には開かれておらず、大学に行って初めて、その分野でのキャリアをスタートすることにあるとバーラ氏は語り、Girls Who Codeとの協力が状況を変えてくれると期待する。

「Girls Who Codeと彼らのプログラムの成功を見ると、わたしたちが正しい年齢層にアプローチしていることがわかる。女子中学生に働きかけることで、彼女らは高校で正しくカリキュラムを選択することができ、コンピュータサイエンスの学位を取る有望な候補者になる。この取り組みはあくまで、わたしたちがソフトウェアエンジニアを獲得するために、ビジネス的な観点から判断したこと。だが同時に社会のダイバーシティ(多様性)に関わっていく姿勢を示す意味もある」

GMに35年以上も勤務しているバッラ氏は、GMがこれまで、ダイバーシティに積極的でなかったならば、今の自分はいないだろうとする一方で、働く環境のダイバーシティを広げる仕事に終わりはないと付け加えた。

「この問題には常に注意を払い続ける必要がある。なぜなら、人間は誰もが同じことを成し遂げることができると、皆が信じる必要があるのです。だからこそ、わたしたちは企業としてこの問題に取り組んでいる」

[原文:GM’s CEO Mary Barra tells us why she’s making a big investment in young female coders (GM)

(翻訳:十河亜矢子)

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