マスクを着用し、キャンパス内を歩くボストン・カレッジの学生。
MediaNews Group/Boston Herald via Getty Images
- アメリカでは大学生の60%近くを女性が占め、過去最高になったと、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
- 大学生の男女の割合の差は、急激に広がっている。
- ニューヨーク大学のスコット・ギャロウェイ(Scott Galloway)教授は、この差が「恋愛の危機」につながるとCNNに語った。
大学に通う男性の数は女性よりも少なく、これが「恋愛の危機」につながると、ニューヨーク大学のスコット・ギャロウェイ教授は9月25日、CNNに語った。
アメリカでは2020~2021年の学年度末の時点で大学生の59.5%を女性が占め、過去最高になったと、ウォール・ストリート・ジャーナルが9月上旬、教育省のデータを引用して報じた。これに対し、大学に在籍する男性の割合は40.5%だった。
全米教育統計センター(National Center for Education Statistics)のデータによると、1970年の時点では大学生のうち59%近くが男性で、女性は約41%だった。
さらに、今後数年で男女の教育格差はさらに広がり、1人の男性が学位を取得する間に、2人の女性が学位を取得することになると、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
男性は女性より高い確率で中退していくことから、この問題は現在の数字よりもっと大きいと、ギャロウェイ教授はCNNに語った。
「大学は、男性ではなく女性の場所になりつつある」
この問題は、教育の質がほとんど変わらないのに大学の費用が高騰していることで生じていると、ギャロウェイ教授は話した。名門大学は学生数を増やすのではなく、贅沢な体験を提供することに重きを置いているという。
それに加え、大学に通うような年齢の男性は、同世代の女性よりも大学以外の選択肢が多いとギャロウェイ教授は指摘する。
「フロリダの建設現場に行くこともできるし、アプリを開けば警察官、消防士、貿易の仕事など、18歳で1日100~200ドル稼ぐことができる」という。
ただ、こうした男女の差は教室の枠を超えて「社会の存続を脅かす問題」を引き起こすとギャロウェイ教授は警鐘を鳴らしている。「危険な集団」を作っているのだという。
ギャロウェイ教授は「アメリカには恋愛の不平等がある」とした上で、大学の学位を持っている女性は学位を持っていない男性とパートナーになりたがらないと付け加えた。
「世界で最も危険な人物はお金のない孤独な男性で、わたしたちはそうした人々を大量に作り出している」という。
ギャロウェイ教授は世界の最も「不安定かつ暴力的な社会」にはある共通点があると指摘する —— 「仕事や学校に所属せず、人間関係に乏しい、人生を悲観している若い男性」だ。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、こうした男女差が「逆転する」ような兆しはないと報じている。アメリカの大学に通うような年齢の若者のうち、女性は49%だが、2021~2022年の学年度に共通願書「Common App」を通じて大学に出願したのは、女性380万5978件に対し、男性は281万5810件だった。
2020年秋には、カリフォルニア大学ロサンゼルス校が入学者数を3000人増やしたが、このうち90%を女性が占めた。2020年秋に同大学に入学した学生のうち、男性は41%だったとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のヨーロンダ・コープランド・モーガン(Youlonda Copeland-Morgan)副総長は、男性の出願は競争が激しいのではなく、応募が少ないのだと同紙に語った。
ペル高等教育機会研究所(Pell Institute for the Study of Opportunity in Higher Education)のトーマス・モルテンソン(Thomas Mortenson)氏は、「男性は驚くほど急激に後れを取っている」と同紙に語っている。
(翻訳:Makiko Sato、編集:山口佳美)