Harry Cabluck/AP
- アメリカでは、多くの地域でスクールバスの運転手が不足している。
- こうした中、コロラド州のある少年はカヤックを使って登校したと、地元紙『サミット・デイリー(Summit Daily)』が報じた。
- 少年は、カヤックで登校したのは「新しい冒険」が好きだからという側面もあると、同紙に語った。
アメリカでは、各地で子どもたちを送迎するスクールバスの運転手が不足している。
コロラド州中部のサミット学区では、1人の中学生が独創的な方法でこの問題を乗り切ろうとした。『サミット・デイリー』によると、ジョシュ・スミスさん(12)はバスに乗る代わりにカヤックに乗って登校したという。
ジョシュさんは9月8日、数年前にプレゼントされたカヤックを使って学校へ行くことにした。
「ぼくはいつも新しい冒険を求めていて、常に記憶に残るようなかっこいいことに挑戦しているんです」とジョシュさんはサミット・デイリーに語った。
「今年の夏はカヤックをあまり使っていなかったので、暖かいし、明日はカヤックで学校に行こうと思ったんです。みんなにもカヤックで来たと話せますから」
ジョシュさんは朝の7時頃に出発し、その様子を全てGoPro(ゴープロ)で撮影した。当日の気温は1度くらいだったと父親のジェイソンさんは同紙に語った。
途中で小さな島にも寄った。結局、学校までは35~40分かかり、ライフジャケットを着たまま少し遅れて教室に入って行ったという。
ジョシュさんはまたカヤックで学校へ行きたいと同紙に語っていて、ジェイソンさんももう少し暖かい季節になればカヤック通学もいいだろうと考えている。
「彼は自分の力でやり遂げました。恐怖心に負けなかったのです」とジェイソンさんはサミット・デイリーに語った。
「わたしは、12歳という年齢で安全地帯から抜け出し、勇気を出してリスクを負おうとする息子に報いたいのです」
サミット学区の担当マネージャー、アンドレア・メイヤー・ペンブル(Andrea Meyer-Pemble)さんは、同学区には現在11人のスクールバスの運転手がいるものの、人手不足を解消するにはあと5人必要だとInsiderに語った。運転手が不足しているせいで、新型コロナウイルスのパンデミックの前は18路線あったスクールバスが今年は11路線しか運行できていないという。
「運転手は同じ大きさのバスで、以前よりも広いエリアをカバーしています」とメイヤー・ペンブルさんは語った。
「カバーするエリアを広くし、バスに乗せる学生を増やして、わたしたちはこれまでと同じように地域社会にサービスを提供するためにドライバーを分散させています」
ジョッシュさんのようなサミット学区の中学生や高校生たちは、今年度スクールバスに乗る生徒を決めるための抽選にかけられた。
「バスの定員をはるかに上回る応募がありました」とメイヤー・ペンブルさんは話した。
例えば、ある地域を走るバスは生徒66人が座席を確保し、78人がキャンセル待ちをしている一方で、キャンセル待ちの数がもっと少なかったり、希望者全員が乗れるバスもあるという。
アメリカでは、多くの学区がスクールバスの運転手不足を解消するために工夫を凝らしている。
イリノイ州シカゴでは、新学年が始まってから2週間、生徒の通学に公共交通機関やウーバー(Uber)、リフト(Lyft)を使うための給付金1000ドル(約1万1000円)が保護者に支給された。ニューヨーク州ではホークル知事が、バスやタクシーの運転ができる自動車免許を持つ55万人以上の住民に、スクールバスの運転手の仕事に興味はないか尋ねるよう当局に指示した。マサチューセッツ州のベイカー知事は、子どもたちの通学を支援するために250人の州兵を動員した。ボストンにあるチャータースクールでは、遠足を中止にしないためにポールダンス用のポールが付いた"パーティーバス"を使ったこともあった。
また、アメリカでは多くの学校が教師やスクールバスの運転手、学食のスタッフなどの人手を確保するために、着任時の特別手当といったインセンティブを与えている。
(翻訳:大場真由子、編集:山口佳美)