2020年10月25日、ドイツのベルリンで開催された世界保健サミットで、新型コロナウイルスやワクチンに懐疑的な人々がデモ行進を行った。
Sean Gallup/Getty Images
- YouTubeは反ワクチンの誤まった情報発信の全面禁止を発表し、チャンネル登録者数の多い複数のアカウントを凍結した。
- だが、多くの反ワクチンのインフルエンサーがまだ同サイトで活動していると指摘されている。
- 大手SNSプラットフォームは、対策の実施が段階的でアメリカ中心主義的だと批判されている。
数十万人の登録者を抱える何人かの反ワクチン・インフルエンサーは、YouTubeが発表したワクチンに関する誤情報の全面禁止対策を回避できたようだ。
9月29日に変更されたポリシーで、YouTubeはデジタルヘイト対策センター(CCDH)のリストに載った、最も影響力のある反ワクチンのインフルエンサー3人のアカウントを削除した。3人は、ジョセフ・メルコーラ(Joseph Mercola)、ロバート・F・ケネディ・ジュニア(Robert F Kennedy Jr )、エリン・エリザベス(Erin Elizabeth )で、彼らのチャンネルの登録者数は合わせて51万1000人になる。
3人は全員アメリカ人だ。だがアナリストやメディアは、アメリカ以外の国に居住する人物や英語以外の言語を話す人物など、反ワクチンのインフルエンサーは依然としてYouTubeで活動していると述べている。
今回の措置は遅くなったとはいえ前向きなものだ。しかし、これは主にアメリカ人のアカウントや動画に焦点を当てたもので、国境を越えた非英語のコンテンツは現時点では影響を受けていないように見える。
その中には、12万3000人のチャンネル登録者を有するドイツの生物学者、クレメンス・アーヴェイ(Clemens Arvay)がおり、 ドイツのファクトチェックサイトは彼がメッセンジャーRNAについて誤情報を広めていると報告している。
オーストラリアの新聞は、多くの反ワクチンのオーストラリア人インフルエンサーが、この禁止措置の影響を受けていないと報じている。
Insiderは、当該アカウントが削除されなかった理由について、YouTubeに回答を求めた。
アメリカの有名な2つのアカウントは、9月30日の時点でも活動しており、運動家たちから批判を集めている。CCDHのイムラン・アーメド(Imran Ahmed)CEOは、影響力のある「偽情報発信者」リストに名前が載っている2人が、引き続きYouTubeで活動していると指摘した。
その2人は、クリスチャンヌ・ノースラップ(Christiane Northrup、登録者数7万2600人)と、ケリー・ブローガン(Kelly Brogan、登録者数2万3900人)だ。
YouTubeはノースラップとブローガンのアカウントについて調査中であると、Insiderに語った。Insiderはアーヴェイ、ブローガン、ノースラップにコメントを求めている。
アーメドCEOは、今回の禁止措置は実施状況から見て「よいニュースだが、任務が完了したわけではない」と語った。同CEOは、YouTubeや他のプラットフォームが禁止した動画をまだ公開しているとして、フェイスブック(Facebook)を厳しく非難した。
「フェイスブックはビッグテックで唯一の、ワクチンに関する誤った情報のスーパースプレッダーだ。今やボールは彼らのコートの中にある」
Insiderはフェイスブックにコメントを求めている。
メルコーラは、YouTubeの禁止措置に対し、フェイスブックのアカウントを通じて「検閲された」と主張した。ケネディ・ジュニアはワシントン・ポストに対し「検閲や秘密主義が民主主義や公共衛生を向上させたことは、歴史上一度もない」と同様の見解を示した。
YouTubeの禁止措置は、何百万人ものアメリカ人がワクチン接種を躊躇して、経済回復に影響を与え、バイデン政権が大企業や政府機関の従業員にワクチン接種を義務づけるようになったときに行われた。
大手IT企業は、反ワクチンの誤情報に対して遅々とした断片的なアプローチをとっていると長い間批判されている。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)