裕福なミレニアル世代の多くは都市生活を好む。
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- エンゲル&ボルカーズのレポートによると、裕福なミレニアル世代は、郊外よりも都市での生活を好むという。
- 彼らの60%は都市部に家を購入する予定であり、それは都市がパンデミックから立ち直るための助けとなるだろう。
- 彼らはオフィスの近くに住むことを望み、親と同居することさえ考えているようだ。
ミレニアル世代(1981年から1996年頃生まれ)の富裕層が大都市を存続させる。
リモートワークの時代になり、多くのミレニアル世代が郊外で家を購入するようになった一方、この世代の最も裕福な人たちは、都会のオアシスにとどまっている。マンハッタンを拠点とする証券会社エンゲル&ボルカーズ(Engel & Völkers)の新たなレポートによると、25万ドル(約2800万円)以上の年収を得ているミレニアル世代の半数以上が、今年か来年には家を売却し、新たに買い替えることを検討している。彼らの多くは郊外の一軒家にはあまり興味がないないようで、60%が都市部での買い替えを希望し、40%は郊外での購入を考えている。
裕福なミレニアル世代の83%がすでに都市部に家を所有している。その理由のひとつは、意外なことに「親と一緒に暮らすため」であり、この層の過半数が、現在親と同居している、または将来同居する予定であると答えており、パンデミック時代の多世代居住の傾向と一致している。
また、リモートワークの時代とはいえ、オフィスの近くにいる必要があるのではないかという考えもある。都市生活者とオフィスとの関係はそれほど変わらないだろうと経済学者のエンリコ・モレッティ(Enrico Moretti)は、ブルームバーグに語っている。週に1、2日は自宅で仕事をし、3、4日はオフィスで仕事をするようになっても、ある種のキャリアや仕事を得るには、都市部に居住している必要があると考えられるからだ。
パンデミックがもたらしたのは、都市の境界線を大都市圏の端まで拡大したことであり、地域的な労働市場の拡大を反映している。ただし、人々は移動しているものの、それは大都市圏内に限られている。
「毎日オフィスに行かなくてもすむようになれば、郊外に引っ越す人が増えるだろうという考えが強調されてきた。しかしそれは単に、大都市圏内の住みたい場所に、より簡単に引っ越せるようになったということだろう。結局は都市に住みたいのだ」とモレッティは述べている。
都市論の専門家であるリチャード・フロリダ(Richard Florida)は、リモートワークの時代に大都市は繁栄するだろうと2021年2月にInsiderに語っている。パンデミックが治まり、人と人との交流が再び盛んになると、彼らの居住地周辺がオフィスの機能をより多く担うようになり、都市が再構築されて復活するとフロリダは述べている。
「人々は、家の外やオフィスの外で人と出会い、交流できる場所に引き寄せられるだろう」
つまり、経済活動が集中する「スーパースターシティ」は、キャリアの機会と新たな柔軟性の両方を提供することで、若きプロフェッショナルを惹きつける力が今でもあることを意味している。これは、都市経済にとって朗報だ。ニューヨークやサンフランシスコなどの都市は、アメリカでパンデミックが発生した際に大きな打撃を受け、2021年春にはリモートワークのために消費者支出が10%減少した。
ミレニアル世代の富裕層が都市部に家を構えようとしていることは、これらの都市がパンデミックから立ち直るための大きな助けとなるだろう。
[原文:Forget the suburbs, wealthy millennials are keeping big cities alive]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)