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Z世代が感じる5つの課題。政治のメッセージ伝わらない、女性リーダーが少ない…

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Z世代の3人に、政治や教育、ジェンダー、仕事などについて語ってもらった。

撮影:稲垣純也

「女性リーダー比率が低すぎる」、「やりたい事ばかり聞かないで」、「コロナの情報発信が下手」——。

大学生活が大きく制限されたり、入社後にすぐにリモートワークを迫られたりと、新型コロナに翻弄されているZ世代(1990年後半から2012年頃に生まれた世代)。

彼ら彼女らは日本の社会や政治について、いま、どんな思いを抱いているのだろう。

社会課題解決を目指す23歳以下が結集するイベント「U-23サミット2021」(12月11〜12日)の仕掛け人である起業経験者や現役大学生ら、Z世代の3人に聞いた。

【政治】…届かない発信

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大屋彩乃さんは「政治のメッセージが若い世代に伝わっていないように感じる」と言う。

撮影:稲垣純也

衆議院の解散総選挙が10月19日公示、31日に投開票の日程が固まったが、2021年は議論が尽くされないまま開催に向かった東京オリンピック・パラリンピック、自粛頼みの政府のコロナ対策に批判が巻き起こった。

Z世代は日本の政治をどう感じているのだろうか。

「コロナやオリンピックについて、情報発信にもう少し工夫の余地があるのではないかと感じました。今どうして家にいる必要があるのか、なぜオリンピックを開催した方がいいのか。政府だけの問題ではありませんが、若者に対して、きちんと意図やメッセージが伝わってきにくかったように感じました」

慶應義塾大学3年で、ソーシャルプロデューサー育成をテーマとしたゼミのゼミ長を務める大屋彩乃さん(20)の周りでは、テレビはほとんど見ず、SNSが情報収集の手段となっているのが当たり前という。

大屋さんは「政治のメッセージを若者に伝えるためには、SNSの活用が有効なのでは」と話す。

「Twitterトレンドに政治の話があったら、興味を持つと思う。私よりもっと若い世代では、TikTokで情報収集する人も多い。SNSを使えば、街頭演説よりも声を届けられると感じます」

選挙に関しては、「オンライン投票」を進めてほしいという。

「選挙に行ったらSNSで『#Voted』と発信するのは普通で、Z世代だって関心を持っていないわけではないと思う。投票率を上げるためにも、オンライン投票があればいいと思います。大学の講義もオンラインになっており、投票もオンラインになることで若者の投票ハードルはグッと下がると思います

【教育】…「やりたいこと」ばかり聞かないで

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撮影:今村拓馬

近年「好きなこと、やりたいことを仕事にしよう!」との風潮が盛り上がったことにも、違和感があるようだ。

過去に教育に関するNPO活動に参加していた大屋さんはこう話す。

「『社会をどう変えたい?』『何がやりたい?』と問われて、何か言わなきゃっと、ぽろっと言ったことが思いのほか評価されてしまうことってあると思います。それが人にラベリングされ、本人も引くに引けなくなりなんとなく活動を始める。

でも心からやりたいことではないから、続けるのが苦しくなってしまって悩んでいるケースが、意外と私の周りに少なくない

現在の学習指導要領では、自らが課題を設定し解決に向けて情報を収集や分析を行う「探究学習」が盛り込まれているが、「やりたいこと」を重視しすぎるあまり弊害もある。

「中高生がみんな社会的意義のある『やりたいこと』を持っているかと言うと、そんなことはないと思います。『やりたいことがあって当たり前強迫観念』に押し潰されてしまう子もいると思っています

大屋さん自身はこれまで、興味を持った様々な分野に挑戦してきた過去がある。

中学生でプログラミングの勉強を始め、高校時代に開発したアプリがコンテストで賞を受賞したり、ロサンゼルス留学で映画製作を学んだり。数年前からはフードロス問題に興味を持ち、情報収集や発信を続けるなど様々な挑戦を続けてきた。

ただ、そんな大屋さんでも、「『やりたいこと』を問われ続け、悩んだこともあった」という。

「高校生の時、『これ』と言えるようなテーマを模索していたタイミングで、度々『やりたいことはなに?』と問われました。

一人ひとりのフェーズや個性に合わせて、もっとのびのびと探求ができるように、伴走することが教育にとって大切なのではないかと感じています」

【ジェンダー平等】…丸紅「めちゃめちゃいけてる」

Z世代のジェンダー平等を求める意識は高い。今後は採用や選挙にも、さらに影響しそうだ。

「女性リーダーを3割にするという目標も、結局は延期になった。現状を見ていると、人口の半分を占める女性が見えていないんじゃないかと思ってしまいます

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起業家だけでなく、現在はグラビアアイドルとしても活躍する冨樫真凜さん。

撮影:稲垣純也

角川ドワンゴ学園N高等学校の1期生で、卒業後にベビテック起業家として活動する冨樫真凜さん(21)は、そう話す。

政府は「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度」という目標は達成できず、その目標時期は「2030年までの可能な限り早期」に延期された。

冨樫さんの周りの就活生の中には、「女性役員比率」を気にする女子学生も少なくないという。

「企業を選ぶ時に、出産後も復職できるかだけでなく、女性の役員比率、保育園に入れなかった場合のサポート、男性育休の取得率までみている。むしろこうした条件が整わない企業は選ばれなくなると感じています。

総合商社・丸紅が2024年までに、新入社員の女性比率を男性と半々にする方針を発表しましたが、それは衝撃的なことで『めちゃめちゃいけてるね』と話題になりました」

女性の声を政治に

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新たな首相には岸田文雄氏が選出され、10月にも衆議院の解散選挙が行われるとみられる。

REUTERS/Kim Kyung-Hoon

衆議院の解散・総選挙が迫っているが、冨樫さんは「社会のおおもとの政治に女性が少ない」と感じている。

「例えば私が、高齢男性が必要とする政策をリアルには感じられないように、男性の政治家だけだとどうしても政策に偏りがでてきてしまう。

誰もに寄り添うための社会であるために、政治家の一定の割合を女性にすることは必要だと感じます

一定の割合の議席や候補者を男女に割り当てる「クオータ制」の導入にも賛成だという。

「私も含めて、上野千鶴子さんの東大の入学式での祝辞(※)に影響を受けた同年代は多い。女性という性別を理由に、教育やキャリアの選択肢が男性と比べて狭まってしまう。その現実を変えていければと思っています」


東大入学式での祝辞…2019年4月の東大入学式での、社会学者・上野千鶴子氏による祝辞。上野氏は東大の女子の比率は長期にわたって「2割を超えない」という壁があるとして、女性は成績の良さではなくて、かわいいことが期待されている結果だと述べた。

また、東大生の家庭は高収入であることに触れ、「がんばったら報われるとあなた方が思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください」と呼び掛けた。

【子育て】…若いうちから育児に触れる機会を

これからも子どもを生み育てていく世代が、子育てに求めるものはなんだろう。

若手起業家として活動する冨樫さんだが、2020年11月には、グラビアアイドルのオーディションでグランプリを受賞した。

現在は、グラビアアイドルとしての発信力生かし、これまで取り組んできた子育て支援に関する情報発信を続けている。

「グラビアを見るのは未婚の若い男性が多いので、子育ての話は一見相いれないと思いますが、やってみると実は相性がいいんです。

例えばライブ動画の配信で、妊娠初期にもつわりがあることや、電車で妊娠バッチを見たら席をゆずってほしいなど、初歩的なことを伝えると『そうなんだ』と受け入れてもらえています」

冨樫さんはこれまで、渋谷区の子育て団体「渋谷papamamaマルシェ」の運営など、子育て支援に関わってきたが、「日本の子育て支援はまだまだ遅れている」と感じている。

日本では育児世帯が孤立している。若い世代にとって、実際に出産する前に子どもと接する機会がないために、出産や育児の解像度が上がらないことが問題だと思っています。若いうちから何らかの形で育児に触れる機会が必要だと感じます」

【仕事】…若者が起業に向かう社会に

終身雇用制度が崩壊した後の世代の働き方への価値観についても聞いた。

「若い世代が起業のリスクをとったり、アグレッシブに動いたりできるように、ポストにしがみつくような旧態然としたサラリーマンを増やしてはいけないと思います

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山田奨さんは「若い世代が起業しやすい社会にしてほしい」と話す。

撮影:稲垣純也

AIコーヒーロボなどを開発するベンチャー企業・New InnovationsでCOOを勤める慶應義塾大学の山田奨さん(23)はそう話す。

「人生100年時代と言われ、柔軟な思考と向上心を常に持ち続けて努力している人であれば、ばりばりと長く働ける環境をもっと作るべきだと思っています。

弊社にも65歳の方もいますし、スタートアップ企業の最前線で自ら手を動かしています。そんな形で、社会が変わってほしい」

また同時に、若い世代の挑戦を受け入れる社会にしたいという。

僕自身もこれまで起業した経験がありますが、自分で責任をとって失敗する経験は積んだ方がいいと思います。

僕たちの世代でも周囲には『大企業に勤めたい』と考える人は意外と少なくない。すべてのサラリーマンがそうだというわけではありませんが、『大企業に勤めることはそれだけで素晴らしい』という価値観は、時代にそぐわないと感じています。国としてイノベーションを生み出せるよう、若い世代の起業を応援していく必要があると思っています」

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撮影:稲垣純也

冨樫さんらが実行委員を務める、「U-23サミット」が2021年12月11日・12日に開催される。詳細や参加申し込みはHPから。申し込みは10月16日まで受け付けている。


(文・横山耕太郎

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