Damien Eagers/PA Images via Getty Images
- アメリカでは、労働力不足のせいで一部の飲食店は営業時間を短縮し、従業員の給料を上げている。
- これに加え、ペンシルベニア州のあるレストランでは鶏手羽肉といった食材を手に入れるために、納入業者にこれまで以上のお金を払っている。
- レストランのオーナーは、結果的に5月から毎月メニュー価格を上げているとInsiderに語った。
ペンシルベニア州ハリスバーグの近くにあるレストランのオーナーは、5月から毎月メニュー価格を上げているという。人件費と食材費が上がり続けているからだ。メニューによっては25%値上がりしたという。
キャンプヒルにある鶏肉料理の店「ジョーイズ・チキン・シャック(Joey's Chicken Shack)」のオーナー、ジョセフ・デボー(Joseph Devor)さんは、人手不足のため週末の営業時間も短縮している。
新型コロナウイルスのパンデミックの前は、店のシフト表に通常8~12人のスタッフの名前があったとデボーさんはInsiderに語った。
「パンデミックが始まってからは、6人を維持するのも難しくなりました」
4人まで減った時には、家族を引っ張り出さなくてはならなかったとデボーさんは話した。
アメリカでは、より良い給料や福利厚生、労働条件を求めて、仕事を辞める労働者が続出している。デボーさんの店で長く働いていた従業員の1人も、別の業界に移っていったという。
より多くのスタッフを確保するため、デボーさんは時給を9ドル(約1000円)から10~12ドルに上げ、フルタイムで働く従業員には、仕事を始めて60日後から医療保険や生命保険を提供し始めた。
従業員の給料について、デボーさんは「彼らはもっと高い給料をもらうに値すると思います。ですが、わたしたちはかなり低い賃金から始めましたし、支払わなければならない請求書もあるので、そうもいきません」と話している。
農業から輸送業までさまざまな業界に影響を与えている労働力不足を含むサプライチェーンの問題が、揚げ物用の油や鶏肉、パッケージといったレストランの営業に欠かせないアイテムの価格を高騰させている。これが人件費の上昇とあいまって、レストランはメニュー価格を上げざるを得なくなっている。
デボーさんはパンデミックが始まって以来、3カ月ごとにメニュー価格を見直してきた。
「2021年5月以降は毎月、値上げしてきました」
「最初の何回かは一部のメニューだけでした。でも、直近の2回はほぼ全てのメニューを値上げしています」
5月から9月の間に、デボーさんの店のケサディーヤとチキンテンダーの価格はそれぞれ25%上がった。ナチョスは9ドルから11ドルに、メキシコ風のソースや具材をたっぷり乗せた山盛りポテトは9.79ドルから14ドルに値上がりした。
デボーさんはさらにメニューを値上げして、従業員の給料を上げたいと考えているという。ただ、そうすると客足が減るのではないかとも心配している。
「業界によっては、あまりにも長い間、低賃金に頼ってきたので、コストの増大に合わせて価格を上げることが難しくなっています」とデボーさんは言う。
「中には、あまりにも大幅な値上げに不愉快になる人もいるでしょう。インフレが起きていて、人件費を低く抑えることも難しくなっています」
デボーさんは採用における年齢制限も18歳から16歳に引き下げた。人手が足りず、9月には店を1日閉めたこともあった。
アメリカでは各地で、人件費や食材費の増加を受け、メニューを値上げしたり、営業時間を短縮するレストランが相次いでいる。
バージニア州ケープチャールズにある「ケリーズ・ジンジャーナット・パブ(Kelly's Gingernut Pub)」では、スタッフが十分に確保できないため、テイクアウトの注文をストップし、厨房をこれまでより早く閉めている。共同オーナーのコリーン・ケリー(Colleen Kelley)さんは、肉や揚げ物用の油の価格が3倍近くになったため、店のメニューも変えたと話している。
ルイジアナ州ウェストモンローにある「シェニエール・シャック(Cheniere Shack)」を経営しているロビン・ラフォルジュ(Robin LaForge)さんは、従業員の数が4分の3ほど減ったため、週に2日は店を閉め、それ以外の日も店を早く閉めることにした。この決断に伴い、ラフォルジュさんはメニューを見直し、一部のお勧めメニューもやめたとInsiderに語った。
他にも、人手が十分に確保できないため、競合する店からスタッフを引き抜いたり、店内での飲食をやめ、テイクアウト専門になったり、閉店してしまうレストランもある。
(翻訳、編集:山口佳美)