ゼネラルモーターズのメアリー・バーラ(Mary Barra)CEO。
GM
- アクティビスト・ヘッジファンドのエンジン・ナンバーワンは10月4日、ゼネラルモーターズ(GM)に出資すると発表した。
- 同ヘッジファンドの創設者であるクリス・ジェームズによると、GMは電気自動車に注力することで未来と向き合おうとしているという。
- 同ヘッジファンドは以前、石油大手のエクソンモービルとの委任状争奪戦に勝利している。
「物言う株主(アクティビスト・ヘッジファンド)」であるエンジン・ナンバーワン(Engine No. 1)は2021年5月、石油大手のエクソンモービルにおける歴史的な委任状争奪戦に勝利し、取締役を送り込んだ。そのファンドが、今度はアメリカ最大の自動車メーカーであるゼネラルモーターズ(GM)への投資を決めた。同社がゼロエミッション車の生産に注力しているからだという。
エンジン・ナンバーワンの創業者であるクリス・ジェームズ(Chris James)は10月4日、CNBCのインタビューで次のように語った。
「GMは、業界としての転換期を迎えている。またエクソンもエネルギーの転換を行っているところだ。しかし、両者の類似点はそこまでで、GMの方は、強力な経営陣と優れた取締役会の支援を得て、未来と向き合うことを決めたのだ」
なお、同氏はGMへの出資額については明らかにしていない。
これを受けてGMの株価は、最大で3.1%上昇して54.80ドルとなり、その後、上昇幅を2.5%に縮小した。
GMは2021年初め、新開発のバッテリー「ウルティウム(Ultium)」を発表し、2023年までに約20車種の電気自動車にこのバッテリーを搭載すると述べている。
ジェームズは「新たなプラットフォームに投資し、(完全な電気自動車に)全面的に取り組むことで、GMはこの転換期を乗り越えることができるだろう」とCNBCに述べ、「多くの場合、業界で地位を築いた企業はまず自社が長年培ってきたビジネスを守ろうとする傾向があり、新たな技術の採用が非常に遅くなってしまう」とも指摘した。
今回の投資の発表は、GMの投資家向け説明会に先立って行われた。関係者がロイターに語ったところによると、GMは電気自動車の製造に加え、ソフトウェアに重点を置いた技術プラットフォーム企業としての地位を確立することを目指しているという。
エンジン・ナンバーワンは2021年5月、エクソンモービルの取締役会で気候変動に焦点を当てることを求め、3人の取締役を送り込むことに成功した。議論を引き起こしたこの委任状争奪戦では、グリーンエネルギーの利用を率先して進めること、エクソンの化石燃料事業を多角化すること、そして役員報酬のことを中心に議論が行われた。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)