デジタル化が進む決済サービス。キーポイントは「速さ」

  • この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「リアルタイム決済の台頭(The Rise of Real-Time Payments)」のプレビュー版です

アメリカの金融機関や企業、そして消費者の間で、デジタル決済の高速化への関心が高まっている。この10年間で、いくつかの決済サービスがアメリカで大きな存在感を発揮するようになった。なかにはたった数秒で決済処理が完了するものもあるが、即時性のないものもまだ利用されている。クレジットとデビットの両方の決済方法に対応した、高速なシステムが普及しているからだ。

決済時間の短縮により、財務管理の柔軟性が増し、支払いタイミングがコントロールしやすくなる。このことから、より早い決済ネットワークは、B2B、C2C、B2Cのすべての領域で有益だ。また、即時決済の透明性と確実性も企業にとってメリットとなる。

※この記事は2021年6月25日に公開した記事を一部編集して再掲載しています。

B2Bデジタル決済

企業間決済

企業間決済の大半は、未だタイムラグがある方法で行われている。リアルタイム決済サービスにとって今後大きな市場となるだろう。

Business Insider Intelligence

企業間の決済は、他の領域に比べてデジタル化が遅れている。とはいえ、インサイダー・インテリジェンスの予測では、アメリカにおけるB2Bデジタル決済の市場規模は2021年に26兆7420億ドル(約2950兆円)に達する。この市場の一端でも獲得できれば、リアルタイム決済サービスは巨大な利益を得られる。

2021年のアメリカのB2B決済のうち、約45%に当たる12兆3400億ドルが小切手や現金で行われる。このように膨大な数の取引が、決済の高速化によって改善される余地がある。

また、9兆5990億ドルはACH(Automated Clearing House:アメリカの決済ネットワーク。手数料は安いが時間がかかる)を通して決済される。現在ACHを利用している企業も、より高速な決済方法への移行を望むようになるだろう。

C2Cデジタル決済

個人間送金

モバイル機器を使った個人間送金:アメリカ国内の送金額の推移と予測。赤は年間成長率。

Business Insider Intelligence

PayPal傘下のVenmoなどの電子決済プラットフォームや、Remitlyなどの送金サービスの台頭により、個人間送金のデジタル化は急速に進んでいる。こうした個人向けの決済関連企業も、決済の高速化によってサービスを向上させている。

インサイダー・インテリジェンスの推計では、2021年にアメリカでモバイル機器を使った個人間送金は5387億3000万ドルに達する。電子的な送金方法が当たり前になったいま、より早い入金を可能にする決済プラットフォームは消費者にも歓迎されるだろう。

B2Cデジタル決済

即時決済

アメリカの消費者はどんな時に即時決済を重視するのか。「個人間送金」「学費」「業者への支払い」が上位にきている。

Business Insider Intelligence

決済処理の迅速化と、それにより高まる透明性は、B2C領域でもメリットとなる。「料金の支払い(家賃、住宅・自動車ローン、保険、水道光熱費、通信費など)」「給与支払い」「小売」など、企業と個人の間で行われるさまざまな支払いがこれに含まれる。アメリカにおける小売業の売上高は2021年に5兆6300億ドルに達するとインサイダー・インテリジェンスは予測している。また、料金支払い管理アプリを提供するdoxoが運営する調査サービスdoxo Insightsの推計によると「料金の支払い」のセグメントの規模は、年間2兆7500億ドルにのぼるという。

本レポートの完全版を入手するには:

リサーチストアからレポート完全版をご購入・ダウンロードする。→購入・ダウンロードはこちらから

※購入ページに進みオンライン決済完了後、領収証が発行されます

[原文:Digital payments: Which industries would benefit the most?

(翻訳・野澤朋代)

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み