フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO。
Andrew Harnik/AP
- フェイスブックの内部告発者、フランシス・ホーゲンが10月5日に議会で証言した。
- 同社のマーク・ザッカーバーグCEOは、この公聴会に対する声明を従業員宛に発表した。
- ザッカーバーグは、公聴会での証言には「何の意味もない」と述べている。
フェイスブック(Facebook)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)は、元従業員であるフランシス・ホーゲン(Frances Haugen)のアメリカ上院の公聴会での証言を批判した。ホーゲンは、同社が一貫して人よりも利益を優先し、成長を追求するためにアルゴリズムによる害を放置していると述べていた。
ザッカーバーグCEOは、同社従業員に向けた1300語におよぶ投稿の中で、「最も基本的なレベルで言うと、我々のほとんどはそこで描写された会社の誤ったイメージを認識していないと思う」と述べた。そして彼は、公聴会での「多くの主張」が「何の意味もない」としている。
2021年10月5日(現地時間)に行われた公聴会で繰り返し取り上げられたテーマは、フェイスブックが子どもにとって有害であるかどうかということだった。ホーゲンは、インスタグラム(Instagram)に関する内部研究論文を証拠として提示した。それによると、10代の女の子の32%が、自身の体について自信がなくなったときにインスタグラムを見ると気分が悪くなると答えたという。
ザッカーバーグは「この論文は文脈を無視しており、インスタグラムは10代の若者のメンタルヘルスによい影響を与えている」という同社の主張を繰り返した。また、同様の研究を批判するのであれば、研究をやめると示唆しているようでもあった。
「あの研究が文脈を無視して誤ったストーリーを構築するために使われるのはとても残念だ。世界に与える影響を調査しようとしている組織を攻撃することは、不利になるようなことが見つかる場合に備えて、何もしない方が安全だというメッセージを送っていることになる」
彼は、ソーシャルメディアが子どものユーザーを無視することは非現実的であるとも述べている。
「若者がテクノロジーを使っているという現実がある。何人の小学生がスマートフォンを持っているかを考えてみてほしい。テクノロジー企業は、これを無視するのではなく、彼らのニーズを満たすと同時に、彼らの安全を守るような体験を構築すべきだ。我々は、この分野で業界をリードすることが重要な仕事だと考えている」
2021年10月5日、上院商務科学運輸委員会の公聴会で証言するフランシス・ホーゲン。
Drew Angerer/Pool via AP
また、ザッカーバーグは、フェイスブックがエンゲージメントを得るために悪い感情を引き起こすようなコンテンツにアルゴリズムを最適化しているという主張を否定した。
「利益のために人々を怒らせるようなコンテンツを意図的に押し付けているという主張は、まったく非論理的だ。我々は広告でお金を稼いでいるが、広告主は一貫して、有害なコンテンツや怒りに満ちたコンテンツの隣に広告を表示させたくないと言っている。また、人々を怒らせたり、落ち込ませたりするような製品を作ろうとしているハイテク企業を私は知らない」
そして、ザッカーバーグは修辞的な質問を投げかけた。
「もしその事実を無視したいのであれば、なぜこのような重要な問題を理解するための業界をリードするような研究プログラムを最初に立ち上げたのだろうか。有害なコンテンツとの戦いに関心がないのであれば、なぜこの分野に特化した人材を同業他社、それも当社より規模の大きい企業よりも数多く雇用しているのだろうか」とザッカーバーグは述べている。
ザッカーバーグは、フェイスブックよりも規模の大きい企業がどこかについては明らかにしていない。
ホーゲンは証言の中で、ザッカーバーグはフェイスブックの議決権を持つ株式の半分以上を保有しているため、同社で行われることを完全にコントロールしていると述べた。
「結局、責任はマークにあり、現在、マークに責任を負わせることができるのは彼自身だけだ」
マーク・ザッカーバーグによる声明の全文(英語)はこちら。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)