岸田首相は10月8日、衆院本会議で所信表明に臨みました。
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岸田文雄首相は10月8日、衆院本会議で「所信表明演説」に臨みました。
「所信表明演説」とは、首相が臨時国会や特別国会で自分の考え(所信)を語るもの。つまり、新たに国のリーダーとなった岸田首相が、自身の考える日本の課題や、当面の政治方針を込めた演説と言えます。
岸田首相はどんな政治を目指し、どんな課題を重視するのでしょうか。
※編注「テキストマイニング」とは、単語レベルで文章を分解し「ワードクラウド」や単語の出現頻度などを分析するもの。分析には「ユーザーローカル」のツールを用いた。
コロナ対策を軸に幅広い政策。「分配」と「新しい時代」を強調
「ワードクラウド」では文章中でスコアが高い単語を複数選び出し、その値に応じた大きさで示される。頻出しているものが大きい、使用回数が少ないものが小さいとは限らない。品詞の種類で色分けされ、青は名詞、赤は動詞、緑は形容詞を表す。
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総裁選での演説や首相就任後初めての記者会見を踏襲し、政策の優先課題として挙げたのは新型コロナ対策でした。
加えて科学技術や経済、安全保障、デジタルなど経済政策をメインに幅広く政策に触れたことがわかります。
一方で、演説では自民党の党是である憲法改正にも触れていましたが、ワードグラウドでは示されませんでした。
また岸田氏の持論である「新しい資本主義」が掲げ、「分配なくして成長なし」という考えも語りました。ワードグラウドでも「成長」より「分配」が大きく示されています。
また、9年近く続いた安倍・菅政権からの刷新をアピールするためか「新しい時代」を切り開くことも強調しました。
頻出した名詞・動詞・形容詞は…
頻出した名詞。
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頻出した動詞。
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頻出した形容詞。
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衆院選の“前哨戦”…参院静岡・山口補選に注目
岸田新政権のパワーを測る上で注目されるのが、10月7日告示・24日投開票の参院静岡選挙区と山口選挙区の補欠選挙。岸田政権にとって初の国政選挙で、衆院総選挙の前哨戦とも言えます。
静岡では自民公認・公明推薦の候補、無所属で立憲民主・国民民主推薦の候補、共産公認の3人が立候補。
一方、山口でも自民公認・公明推薦の候補、共産公認の候補、N党公認の候補の3人が出馬しています。
立憲と共産は野党共闘を進めており、次期衆院選で政権を獲得した場合に「閣外協力」をすると合意しています。
ただ静岡では立憲・国民推薦の候補と共産公認の候補が並立。候補者は一本化されませんでした。
衆院選前の代表質問、各党のリーダーは何を語るのか
さらに参院補選の最中(10月14日)には衆院が解散され、4年ぶりの国政選択選挙となる総選挙が19日公示・31日投開票の日程で実施される見通しです。
7日は岸田首相の所信表明演説がありましたが、国会に議席を持つ各政党・会派の代表者は所信表明の内容について質すことができます。これを「代表質問」と呼び、週明けの国会で開かれます。
来たる総選挙を前に、各政党のリーダーたちは代表質問で何を語るのか。どんな政治を目指し、どんな政策を訴えるのか。その政策を実現できる可能性はあるのか。
国会審議はインターネットでも中継され、アーカイブ視聴も可能です(衆議院・参議院)。選挙で投票する際の参考にしてみてください。
岸田首相の所信表明演説(全文)
第205回国会の開会にあたり、新型コロナウイルスにより亡くなられた方々、そしてご家族の皆さま方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、厳しい闘病生活を送っておられる方々に心よりお見舞いを申し上げます。
また、我が国の医療・保健・介護の現場を支えてくださっている方々、感染対策にご協力をいただいている事業者の方々、そして、国民のみなさま方に、深く感謝を申し上げます。
■「日本の絆の力を呼び起こす。それが私の使命です」
新型コロナとの闘いは続いています。こうした中、このたび、私は、第100代内閣総理大臣を拝命いたしました。
私はこの国難を国民の皆さんとともに乗り越え、新しい時代を切り拓き、心豊かな日本を次の世代に引き継ぐために、全身全霊を捧げる覚悟です。
私が書きためてきたノートには、国民の切実な声があふれています。
一人暮らしで、もしコロナになったらと思うと不安で仕方ない。テレワークでお客が激減し、経営するクリーニング屋の事業継続が厳しい。里帰りができず、一人で出産。誰とも会うことができず、孤独で不安。
今、求められているのは、こうした切実な声を踏まえて政策を断行していくことです。
まず喫緊かつ最優先の課題である新型コロナ対応に万全を期します。
国民に納得感を持ってもらえる丁寧な説明を行うこと。常に最悪の事態を想定して対応することを基本とします。
また、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため速やかに経済対策を策定します。
その上で私が目指すのは、新しい資本主義の実現です。我が国の未来を切り拓くための新しい経済社会のビジョンを示していきます。
国民の皆さんとともに、これらの難しい課題に挑戦していくためには、国民の声を真摯に受け止め、かたちにする、信頼と共感を得られる政治が必要です。そのために国民の皆さんとの丁寧な対話を大切にしていきます。
私をはじめ、全閣僚がさまざまな方と車座(くるまざ)対話を積み重ね、その上で国民のニーズに合った行政を進めているか、徹底的に点検するよう指示していきます。
そうして得た信頼と共感の上に、私は多様性が尊重される社会を目指します。
若者も、高齢者も、障害のある方も、ない方も、男性も、女性も、全ての人が生きがいを感じられる社会です。
経済的環境や世代、生まれた環境によって生じる格差やそれがもたらす分断。これが危機によって大きくなっているとの指摘があります。
同時に、我々は家族や仲間との絆の大切さに改めて気付きました。東日本大震災の時に発揮された日本社会の絆の強さ。世界から賞賛されました。危機に直面した今こそ、この絆の力を発揮する時です。
全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会を創っていこうではありませんか。
日本の絆の力を呼び起こす。それが私の使命です。
■新型コロナ対応について
まず新型コロナ対応です。足下では、感染者数は落ち着きを見せ、緊急事態宣言は全面的に解除されました。
菅前総理の大号令の下、他国に類を見ない速度でワクチン接種が進み、この闘いに勝つための大きな一歩を踏み出せました。前総理のご尽力に、心より敬意を表します。
しかし、楽観視はできません。危機対応の要諦は、常に最悪の事態を想定することです。感染が落ち着いている今こそ、さまざまな事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組みます。
与えられた権限を最大限活用し、病床と医療人材の確保、在宅療養者に対する対策を徹底します。希望する全ての方への2回のワクチン接種を進め、さらに3回目のワクチン接種も行えるよう、しっかりと準備していきます。
経口治療薬の、年内実用化を目指します。あわせて、電子的なワクチン接種証明の積極的活用、予約不要の無料検査の拡大に取り組みます。
これらの安心確保の取り組みの全体像を、早急に国民にお示しするよう関係大臣に指示しました。
国民の皆さんが先を見通せるよう丁寧に説明してまいります。同時に、これまでの対応を徹底的に分析し、何が危機管理のボトルネックだったのかを検証します。
そして、司令塔機能の強化や人流抑制、医療資源確保のための法改正、国産ワクチンや治療薬の開発など、危機管理を抜本的に強化いたします。
国民の協力を得られるよう、経済支援を行うことも大切です。大きな影響を受ける事業者に対し、地域・業種を限定しないで、事業規模に応じた給付金を支給します。
新型コロナの影響により苦しんでおられる、非正規、子育て世帯など、お困りの方々を守るための給付金などの支援も実行していきます。
■経済政策「新しい資本主義」について
次に私の経済政策について申し上げます。マクロ経済運営については、最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げます。
そして大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努めます。危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期します。
経済あっての財政であり、順番を間違えてはなりません。経済をしっかり立て直します。そして、財政健全化に向けて取り組みます。
その上で私が目指すのは「新しい資本主義」の実現です。
新自由主義的な政策については、富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだといった弊害が指摘されています。
世界では、健全な民主主義の中核である中間層を守り、気候変動などの地球規模の危機に備え、企業と政府が大胆な投資をしていく。そうした新しい時代の資本主義経済を模索する動きが始まっています。
今こそ我が国も、新しい資本主義を起動し、実現していこうではありませんか。
成長と分配の好循環とコロナ後の新しい社会の開拓。これがコンセプトです。
成長を目指すことは、極めて重要であり、その実現に向けて全力で取り組みます。しかし「分配なくして次の成長なし」。このことも私は強く訴えます。
成長の果実をしっかりと分配することで初めて次の成長が実現します。大切なのは成長と分配の好循環です。
「成長か、分配か」という不毛な議論から脱却し「成長も、分配も」実現するために、あらゆる政策を総動員いたします。
新型コロナで我が国の経済社会は大きく傷つきました。一方で、これまで進んで来なかったデジタル化が急速に進むなど社会が変わっていく確かな予感が生まれています。
今こそ科学技術の恩恵を取り込み、コロナとの共生を前提とした新しい社会を創り上げていくときです。
この変革は地方から起こります。地方は高齢化や過疎化などの社会課題に直面し、新たな技術を活用するニーズがあります。
例えば自動走行による介護先への送迎サービスや、配達の自動化、リモート技術を活用した働き方、農業や観光産業でのデジタル技術の活用です。
ピンチをチャンスに変え、我々が子どものころ夢見たワクワクするような未来社会をつくろうではありませんか。
そのために「新しい資本主義実現会議」を創設し、ビジョンの具体化を進めます。
■「新しい資本主義」のための「成長戦略」と「分配戦略」
新しい資本主義を実現していく車の両輪は、成長戦略と分配戦略です。
まず成長戦略の第1の柱は科学技術立国の実現です。学部や修士・博士課程の再編、拡充など科学技術分野の人材育成を促進します。世界最高水準の研究大学を形成するため10兆円規模の大学ファンドを年度内に設置します。
デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙など先端科学技術の研究開発に大胆な投資を行います。民間企業が行う未来への投資を全力で応援する税制を実現していきます。
また、イノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援を通じて新たなビジネス、産業の創出を進めます。そして2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげるクリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進いたします。
第2の柱は、地方を活性化し世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」です。地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていきます。
そのために5Gや半導体、データセンターなどデジタルインフラの整備を進めます。誰一人取り残さず、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるように取り組みます。
第3の柱は経済安全保障です。新たに設けた担当大臣の下、戦略物資の確保や技術流出の防止に向けた取り組みを進め、自律的な経済構造を実現します。
強靭なサプライチェーンを構築し、我が国の経済安全保障を推進するための法案を策定します。
第4の柱は人生100年時代の不安解消です。将来への不安が消費の抑制を生み、経済成長の阻害要因となっています。兼業、副業、あるいは学びなおし、フリーランスといった多様で柔軟な働き方が拡大しています。
大切なのは、どんな働き方をしてもセーフティーネットが確保されることです。働き方に中立的な社会保障や税制を整備し、「勤労者皆保険」の実現に向けて取り組みます。
人生100年時代を見据えて、子供から子育て世代、お年寄りまで、全ての方が安心できる全世代型社会保障の構築を進めます。
■「新しい資本主義」のための「分配戦略」
次に分配戦略です。
第1の柱は働く人への分配機能の強化です。企業が、長期的な視点に立って、株主だけではなく従業員も取引先も恩恵が受けられる「三方良し」の経営を行うことが重要です。
非財務情報開示の充実、四半期開示の見直しなど、そのための環境整備を進めてまいります。
政府として、下請け取引に対する監督体制を強化し大企業と中小企業の共存共栄を目指します。また、労働分配率向上に向けて賃上げを行う企業へ税制支援を抜本強化します。
第2の柱は中間層の拡大、そして少子化対策です。中間層の拡大に向けて、成長の恩恵を受けられていない方々に対して、国による分配機能を強化します。
大学卒業後の所得に応じて「出世払い」を行う仕組みを含め、教育費や住居費への支援を強化し、子育て世代を支えていきます。
保育の受け皿整備、幼・保・小連携の強化、学童保育制度の拡充や利用環境の整備など子育て支援を促進します。子ども目線での行政のあり方を検討し、実現していきます。
第3の柱は看護・介護・保育などの現場で働いている方々の収入を増やしていくことです。新型コロナ、そして少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていきます。
そのために「公的価格評価検討委員会」を設置し、公的価格のあり方を抜本的に見直します。
第4の柱は、公的分配を担う財政の単年度主義の弊害是正です。科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家課題に計画的に取り組みます。
これらに加え、地方活性化に向けた基盤づくりにも積極的に投資します。
■震災復興と大阪万博について
「東日本大震災からの復興なくして、日本の再生なし」。この強い思いのもとで、被災者支援、産業・生業の再建、福島の復興・再生に全力で取り組みます。
農林水産業の高付加価値化と輸出力強化を進めるとともに、家族農業や中山間地農業の持つ多面的な機能を維持していきます。
新型コロナによる米価の大幅な下落、これは深刻な課題です。当面の需給の安定に向けた支援など十分な対策を行います。
老朽化対策を含め、防災・減災、国土強靱化の強化とともに、高速道路、新幹線など交通、物流インフラの整備を推進いたします。
「いのち輝く未来社会のデザイン」。これが2025年大阪・関西万博のテーマです。
地域から、IoTや人工知能などのデジタル技術を活用した未来の日本の姿を示します。観光立国復活に向けた観光業支援、文化立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化にも取り組みます。
■外交・安全保障について
私の内閣の3つ目の重点政策は「国民を守り抜く、外交・安全保障」です。
私は外交・安全保障の要諦は「信頼」だと確信しています。先人たちの努力により、世界から得た「信頼」を基礎に、3つの強い「覚悟」をもって毅然とした外交を進めてまいります
第1に自由・民主主義・人権・法の支配といった普遍的価値を守り抜く覚悟です。米国をはじめ豪州、インド、ASEAN、欧州などの同盟国・同志国と連携し、日・米・豪・印も活用しながら「自由で開かれたインド太平洋」を力強く推進いたします。
深刻化する国際社会の人権問題にも、省庁横断的に取り組みます。
第2に我が国の平和と安定を守り抜く覚悟です。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、我が国の領土・領海・領空・そして国民の生命と財産を断固として守り抜きます。
そのために国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定に取り組みます。
この中で海上保安能力や更なる効果的措置を含むミサイル防衛能力など防衛力の強化、経済安全保障など、新しい時代の課題に、果敢に取り組んでいきます。
こうした我が国の外交・安全保障政策の基軸は日米同盟です。私が先頭に立ってインド太平洋地域、そして世界の平和と繁栄の礎である日米同盟を更なる高みへと引き上げていきます。
日米同盟の抑止力を維持しつつ丁寧な説明、対話による信頼を地元の皆さんと築きながら、沖縄の基地負担の軽減に取り組みます。普天間飛行場の1日も早い全面返還を目指し、辺野古沖への移設工事を進めます。
北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。日朝平壌宣言に基づき拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化の実現を目指します。
拉致問題は最重要課題です。全ての拉致被害者の1日も早い帰国を実現するべく全力で取り組みます。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。
第3に地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する覚悟です。
核軍縮・不拡散、気候変動などの課題解決に向け、我が国の存在感を高めていきます。
被爆地・広島出身の総理大臣として、私が目指すのは「核兵器のない世界」です。私が立ち上げた「賢人会議」も活用し、核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、唯一の戦争被爆国としての責務を果たします。
これまで世界の偉大なリーダーたちが幾度となく挑戦してきた核廃絶という名の松明(たいまつ)を、私もこの手にしっかりと引き継ぎ、「核兵器のない世界」に向け、全力を尽くしてまいります。
世界で保護主義が強まる中、我が国は自由貿易の旗手を務めます。デジタル時代の信頼性ある自由なデータ流通、「DFFT」を実現するため、国際的なルールづくりに積極的な役割を果たしていきます。
中国とは安定的な関係を築いていくことが両国、そして地域及び国際社会のために重要です。
普遍的価値を共有する国々とも連携しながら、中国に対して主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めると同時に、対話を続け、共通の諸課題について協力してまいります。
ロシアとは領土問題の解決なくして平和条約の締結はありません。首脳間の信頼関係を構築しながら、平和条約の締結を含む日露関係全体の発展を目指します。
韓国は重要な隣国です。健全な関係に戻すためにも、我が国の一貫した立場に基づき韓国側に適切な対応を強く求めていきます。
■まとめ
「新型コロナ対応」「新しい資本主義」「外交・安全保障」。これら3つの政策を着実に実行することで、国民の皆さんとともに、新しい時代を切り拓いていきます。
本日朝の閣議で、新型コロナ対応に万全を期すとともに、新しい資本主義を起動させるため新たな経済対策を策定するよう指示しました。総合的かつ大胆な経済対策を速やかにとりまとめます。
憲法改正についてです。憲法改正の手続きを定めた国民投票法が改正されました。
今後、憲法審査会において各政党が考え方を示した上で、与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。
■「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」
そして最後になりますが、このようなことわざがあります。
「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」。
新型コロナという目に見えない敵に対し、我々は、国民全員の団結力によって一歩一歩、前進してきました。
改めてこの日本という国が、先祖代々堂々と受け継いできた……失礼。営々と受け継いできた、人と人のつながりが生み出す、やさしさ、ぬくもりがもたらす社会の底力を強く感じます。まさに「この国のかたち」の原点です。
この「国のかたち」を、次の世代に引き継いでいくためにも、私たちは、経済的格差、地域的格差などがもたらす分断を乗り越え、コロナとの闘いの先に、新しい時代を切り拓いていかなければなりません。
そのために、みんなで前に進んでいくためのワンチームを創りあげます。
「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」。
一人であれば、目的地に早く着くことができるかもしれません。しかし、仲間とならもっと遠く、はるかに遠くまで行くことができます。
私は、日本人の底力を信じています。新型コロナの中にあっても、なおデジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙、新しい時代の種が芽吹き始めています。
この萌芽を大きな木に育て、経済を成長させ、その果実を国民全員で享受していく、明るい未来を築こうではありませんか。
明けない夜はありません。国民の皆さんとともに手を取り合い、明日への一歩を踏み出します。
同僚議員各位、そして何よりも、国民の皆さんのご協力を心からお願い申し上げ、所信表明とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
(文・吉川慧)