Eloisa Lopez/REUTERS
- 2021年のノーベル平和賞を受賞したマリア・レッサは、フェイスブックを批判している。
- フェイスブックは、そのプラットフォーム上で急速に広がる誤情報への対処に苦しんでいる。
- 同社は、誤情報の取り扱いについて、今もなお批判に直面している。
2021年10月8日にノーベル平和賞を受賞したジャーナリストで活動家のマリア・レッサ(Maria Ressa)が、フェイスブック(Facebook)について「怒りと憎しみに満ちた」誤った情報や嘘を広めていると述べ、批判したとガーディアンが報じた。
レッサはフェイスブックが世界最大のニュース配信者であるとし、「事実を歪め」「ジャーナリズムを歪め」、悪意あるもの者が偽情報を流すことを許し続けているため、民主主義に対する脅威になっていると指摘した。
「事実がなければ、真実も信頼も得られない。これらがないと、民主主義は成り立たない」とレッサはガーディアンのインタビューに答えている。
ノーベル委員会は、「民主主義と恒久的な平和の前提である表現の自由を守るための努力 」によって、レッサとロシア人ジャーナリストのドミトリー・ムラトフ(Dmitry Muratov)に2021年ノーベル平和賞を授与した。
フィリピンの独立系オンライン新聞「ラップラー(Rappler)」のCEOであるレッサは、同国のロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領の「麻薬戦争」にまつわる政策や人権侵害を批判的に報道したことへの報復としてフィリピン政府に逮捕、起訴された後、国際社会から称賛された。
ラップラーはフェイスブックのプラットフォーム上で創刊されたが、彼女は、ドゥテルテのような指導者に対するポリシーや、発展途上国や非民主主義政権におけるフェイスブックの役割について、批判してきた。
フェイスブックは、インスタグラム(Instagram)やWhatsAppを含むさまざまなプラットフォーム上の誤報に対処しようと奮闘してきた。同社は、プラットフォーム上の誤った情報や誤解を招くような情報を特定するために280万時間以上を費やしており、誤報を取り締まるために「エキスパート・モデレーター」を指名しようとしたこともあった。
ある調査によると、誤った情報源を元にした発信はフェイスブック上で、信頼の置けるニュースサイトからの情報の6倍のエンゲージメントを得ており、同社は以前、誤った情報や人種差別が同社のプラットフォーム上に存在するのは「必然だ」と述べていた。
彼女の発言は、フェイスブックの内部告発者が、同社の社会への悪影響とそれらの問題への取り組みの非効率性を非難したことを受けたものだ。
元フェイスブック従業員のフランシス・ハーゲン(France Haugen)は、何千ページにもおよぶフェイスブックの内部調査資料を公開し、同社CEOのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)がどのような理由で憎悪に満ちたコンテンツをプラットフォーム上で流し続けることを許しているか、また同社がどのようにして10代の若者の心の健康や身体イメージに関する悪影響をもたらしているかについて語った。
アメリカ政府も、特にCOVID-19とそのワクチンに関する誤った情報を迅速に削除しなかったとして、同プラットフォームに強く批判している。
Insiderはレッサのコメントに対する回答をフェイスブックに求めたが、まだ返答は得られていない。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)