衆院本会議では10月11日から岸田文雄首相の所信表明に対する代表質問が始まりました。
衆議院インターネット中継
衆院本会議では10月11日から岸田文雄首相の所信表明に対する代表質問が始まりました。
立憲民主党の枝野幸男代表は政府のコロナ対策について、「(岸田首相)私たちの提案に近いこと言い出されたのは歓迎」と述べた一方「これを審議拒否したのは自由民主党です」と批判。岸田首相は2020年9月まで自民党の政調会長でした。
枝野氏、政府のコロナ対策は「完全に初動の失敗」
枝野氏は「政治の優先課題はコロナ対策」とした上で「これ以上リバウンドを許してはなりません」と指摘。
「第一に水際対策の徹底、第二にPCR検査の抜本的な拡充、第三に補償はセットということを繰り返し提案してきました」と述べつつ、政府のコロナ対策について海外からの入国拒否が遅かったとして「完全に初動の失敗」と主張しました。
枝野氏は政権交代時のコロナ禍の経済政策として、個人事業主・フリーランスなどを含む事業者に持続化給付金や家賃支援給付金を直ちに再給付し、一度受給した事業者も含めて給付要件を緩和すると表明。
加えて、収入減少者に直ちに一人10万円の給付、低所得子育て所帯には児童一人当たり5万円を給付金を再支給すると述べました。
「具体的提案をしたが審議拒否したのは自民党」
生活困窮者への支援などは岸田首相も表明していますが、枝野氏は「総理が私たちの提案に近いことを言い出されたのは歓迎するが、具体的な中身は実施時期は何も示されていない」と指摘。
その上で「私たちが3月には法案まで提出をして具体的な提案をしたが、これを審議拒否したのは自由民主党です」と指摘した。
これに対し、岸田首相はコロナ対策について「さまざまな事態を想定し、徹底的に安心確保に努める」「病床、利用人材の確保、ワクチン接種など、病床が稼働しなかった今夏の反省を踏まえて全体像の骨格を近日中に指示する」と答えました。
辻元氏、赤木俊夫さん妻の手紙朗読「私の話を聞いてください」
立憲民主党からは辻元清美議員も質問に立ち、これまで野党が憲法53条に基づき臨時国会の開会を求めてきたのに対し、与党が拒否してきたことを批判しました。
また、森友学園問題での財務省による公文書改ざんについて言及しました。
辻元氏は財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員赤木俊夫さん(当時54歳)の妻・雅子さんが岸田首相に宛てた手紙を朗読し、受け止めを質しました。
内閣総理大臣 岸田文雄様
私の話を聞いてください。私の夫は3年半前に自宅で首を吊りなくなりました。亡くなる1年前、公文書の改ざんをした時から、体調を崩し、体も心も崩れ、最後は自ら命を絶ってしまいました。
夫の死は公務労災が認められたので、職場に原因があることは間違いありません。財務省の調査を行われましたが、夫が改ざんを苦に亡くなったことは書かれていません。なぜ書かれていないのですか。
赤木ファイルの中で、夫は改ざんや書き換えをやるべきではないと本省に訴えています。それにどのような返事があったのか、まだわかっておりません。
夫が正しいことを、それに対して財務省がどのように対応したのか、調査してください。そして、新たな調査報告書には、夫が亡くなったいきさつをきちんと書いてください。
正しいことが、正しいと言えない社会は、おかしいと思います。岸田総理大臣ならわかってくださると思います。第三者による再調査で真相を明らかにして下さい。
赤木雅子
これに対し、岸田首相は以下のように答えました。
「近畿財務局の職員の方がお亡くなりになったこと、このことは誠に悲しいことであり、残された家族の皆さま方のお気持ちを思うと言葉もなく、静かに、そして謹んでご冥福をお祈り申し上げたいと思います」
「ご指摘の手紙は拝読いたしました。その内容につきましては、しっかりと受け止めさせて頂きたいと思います」
「そして本件については、現在民事訴訟において法的プロセスに委ねられています。今現在、原告と被告の立場にありますので、このお返事等については慎重に対応したいと思っています」
岸田首相は、財務省が非を認めた調査報告書の存在、検察が捜査したことや会計検査院が2度調査したことを挙げ、再調査には言及せず「今後も需要に応じてしっかり説明をしていきます」と述べるに留めました。
(文・吉川慧)