国際宇宙ステーションから撮影したスプライト。
ESA/NASA-T. Pesquet
- 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中のフランス人宇宙飛行士トマ・ペスケが、大気圏上層部の赤い閃光を撮影した。
- 「スプライト」と呼ばれるこの現象は、雷雨の上に見られる。
- この写真について「非常にまれなこと」だとペスケは話している。
国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士がヨーロッパ上空でタイムラプス撮影を行い、赤い「スプライト」と呼ばれる現象の貴重な写真を撮った。
2021年9月9日にこの写真を撮影したフランス人宇宙飛行士のトマ・ペスケ(Thomas Pesquet)は「非常にまれなできごと」だとフリッカー(Flickr)への投稿で述べている。
2021年9月9日に宇宙から見た注釈付きのスプライトの写真。
ESA/NASA-T. Pesquet
アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、この赤い閃光は数ミリ秒しか見えないものだという。写真に撮影されることは非常に珍しいため、スプライトについてはほとんど知られていないと、欧州宇宙機関(European Space Agency)のデンマーク人宇宙飛行士、アンドレアス・モーゲンセン(Andreas Mogensen)は2016年に話している。しかし、それが地上に向かってではなく、宇宙に向かって伸びていく光であることはわかっているという。
放電が大気中の窒素と相互作用すると、赤みを帯びた光を放つとNASAは説明している。
欧州宇宙機関(ESA)によると、これは、赤いドーナツ状の発光「エルヴス(elves)」や、宇宙に向かって青い光を放つ「ジェット(jets)」などの「超高層雷放電(transient luminous events)」と呼ばれる現象のひとつだという。
大気中の超高層雷放電の模式図。
ESA
宇宙からインド上空で撮影されたジェットを下の動画で見ることができる。
この動画は2015年9月にISSの観測用モジュール、キューポラ(Cupola)で撮影された。
ESA
ISSには科学実験施設コロンバスの外側に、これらの閃光を観測するための専用機器が設置されている、とペスケは投稿で述べている。
スプライトは通常、地球上からは雷雲に隠れてしまうため、この赤色の閃光は、1980年代後半に初めて撮影されるまで何十年もの間、伝説の域を出なかった。
2020年7月2日、マクドナルド天文台のスティーブン・ハメル(Stephen Hummel)がテキサス州のロック山からこの赤いクラゲのようなスプライトを撮影した。
Stephen Hummel
スプライトが宇宙から撮影されたのは今回が初めてではない。下の写真は2015年にISSから撮影された2枚のスプライトの写真だ。
NASA
2015年8月にISSから見た、活発な雷雨の白光の上にある赤い稲妻のスプライト。
NASA
宇宙から撮影した赤いスプライト。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)