写真右がSeries 7、左がSeries 6。ギリギリまで白い文字盤が表示されるウォッチフェイスだが、右のSeries 7のほうが「フチのギリギリまで表示している」ことがわかるだろうか。
撮影:石川温
アップルは10月15日からApple Watchの新モデル「Series 7」を発売する。直販価格は4万8800円(税込)から。
今回、一足先にApple Watch Series 7を入手。1週間ほど試用してみて感じた「旧モデルとの違い」をレポートしてみよう。
大画面化は操作感にも大きく影響
まず、目を引くのが画面の大型化だ。前モデル「Series 6」に比べて縁の部分が細くなり、画面表示は20%、大きくなった。
確かにほんの少しではあるが、手首にのせると、大きくなって見やすくなった印象はある。この大きさに慣れてしまうと、前モデルであるSeries 6にはやはり戻りたくなくなる。
ディスプレイが大きくなる分、ボタンなども大きく表示され、体感値だが押し間違いも少なくなった印象だ。
Series 7にすると、もうそれ以前には戻れなくなる。
撮影:石川温
実際に使っていて進化を実感できるのが充電時間だ。
Apple Watch Series 7では、新しい充電アーキテクチャと高速充電に対応したUSB Type-Cケーブルが同梱されており、充電時間が早くなっている。
実際に、高速充電対応のUSB Type-CケーブルでApple Watch Series 7を充電してみると、
- 0%の状態から33分の充電で50%
- 60分の充電で85%
- 75分の充電で100%
が可能だった。
これをこれまでオプションとして発売されていた普通のUSB Type-CケーブルでApple Watch Series 7を充電してみると、30%で24%、60分で52%、100%を充電するのに114分もかかってしまった。
Apple Watch Series 7のホームページには、Series 6比で33%高速に充電できると記載されている。
出典:アップル
アップルのページには「高速充電に対応するのはApple Watch Series 7のみです。その他のモデルの場合は通常の充電時間となります」との記載がある。
つまり、Apple Watch Series 7と新開発の高速充電ケーブル(パッケージ同梱品)との組み合わせで、初めて高速で充電できるようになる。
ここの1つ注意点がある。Apple Watchを最新型に買い換えた人の場合、これまで使ってきた充電ケーブルがあるはずだ。これを使っても充電そのものはできるが、充電時間は従来と変わらない時間がかかってしまう。
逆に、新しい高速充電ケーブルでもApple Watch Series 6やSEの充電は可能だが、Apple Watch側が高速充電対応ではないので、充電時間は従来と変わらない。
付属している高速充電ケーブルと同じものは、アップル直販サイトで3850円(税込)で取り扱われている。
出典:アップル
ちなみに、新しい高速充電対応ケーブルを20Wアダプタにつなぎ、Apple Watch Series 7を充電したところ、5Vで0.6〜0.8Aという数値だった。
旧型のUSB Standard-AケーブルやUSB Type-CケーブルでApple Watch Series 7を充電したところ、0.12〜0.44Aあたりを示しており、実際に供給電流にも違いがあることが確認できた。
ちなみに、この新しい高速充電ケーブルは、別途購入すると1mで3850円と、なかなか高額だ。
充電の高速化でApple Watchの使い方が変わった
Apple Watch Series 7に標準搭載されているwatchOS 8も高速充電できる環境と組み合わされると本当の価値がわかる。
出典:アップル
今まで以上に短時間での充電が可能となったことで、Apple Watchの使い方も変わってきそうだ。
筆者はこれまでは「就寝中に充電」という使い方をしてきたが、日中、仕事をしている間にささっと充電できるので、就寝中に睡眠状況を記録できるバンドとしてApple Watchを活用できるようになった。
これまでもiPhone単体でも睡眠時間の測定に近いことはできたが(就寝時間の計測)、Apple Watchを装着することで、より細かな「睡眠時間」データを収集することができる。
睡眠の状態や呼吸数、心拍数などもわかるので、眠っている間の体の状況がわかり、かなり便利だ。就寝中に充電をしないようになれば、Apple Watchをスマートバンドのように使うこともできる。
運動(この場合はサイクリング)の反応がよくなった。
撮影:石川温
Apple Watchを使っていると、自分の体の状態を常に把握してくれるのが本当に頼もしいと思う。
最近ではwatchOS 8になったことで、自転車に乗っている時にも「ワークアウト中ですね。屋外サイクリングを記録」と自動的に表示され、ワークアウトを始めることができるようになった。
毎朝4歳の子どもを保育園に送りに行く際、電動自転車に乗っていくのだが、watchOS 7までは何の反応も示してくれなかった。しかし、watchOS 8になってからというもの、電動自転車に乗っていると、気がついてくれ、消費カロリーなどを計測してくれるようになった。
保育園に着く直前に気がつき始めるので、そのまま子どもを保育園に置いていかず、しばらく電動自転車を乗り回して、消費カロリーを稼ごうかと思うくらいだ。やはり、日常生活の動きがきちんと計測され、消費カロリーとして保存されていくのは結構、楽しかったりする。
もちろん、日中テレワークで机に座りっぱなしの時も、1時間に1回、「立ち上がった方がいい」と教えてくれる。Apple Watchをつけていると、テレワークで運動不足になりがちでも、きちんと気がつかせてくれる。
充電関連が進化してことで、Apple Watch Series 7は、おはようからおやすみどころか、寝ている間もつけたくなるなど、24時間365日、フル活用できるデバイスに進化したと言えそうだ。
石川温:スマホジャーナリスト。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜22時からの番組「スマホNo.1メディア」に出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(MdN)がある。