Xperia 5 IIIは11月中旬以降に発売。4色のカラーバリエーションがあるが、どの色が買えるかは取り扱うキャリアによる(写真はNTTドコモ版)。
撮影:小林優多郎
ソニーのスマートフォンで2021年モデル2機種目のフラグシップ「Xperia 5 III」(エクスペリア ファイブ マークスリー)。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社それぞれで11月中旬以降に発売予定。販売価格はいずれも未定だが、前機種「Xperia 5 II」から考えると一括購入時の金額は11万〜12万円程度と予想される。
2021年春に登場したフラグシップ機「Xperia 1 III」の要素を比較的コンパクトにまとめたのが、Xperia 5 IIIの特徴だが、その実際の使い勝手はどうあろうか。実機のファーストインプレッションでみていこう。
“持ちやすい高性能機種”としての実力は健在
写真左手前がXperia 5 III。右奥がXperia 5 II。
撮影:小林優多郎
筆者は前モデルにあたる「Xperia 5 II」ユーザーだ。“誰でも片手で使える”というほど小さくはないが、手のひらへの収まりのよさは日々実感している。
Xperia 5 IIIもその特徴は同じだ。並べてみてもわかるが、正面の見た目はほとんど変化はなく、スペック的には縦の長さが5 IIIの方が1mm短い程度だ。
Xperiaの21対9のディスプレイは、マルチタスクに便利。一方の画面を小さく表示することもできる。
撮影:小林優多郎
画面の縦横比(アスペクト比)が21対9となる「シネマワイドディスプレイ」は引き続き搭載。
他の縦横比の端末から乗り換えた時は、少し圧倒される見た目ではある。けれども、慣れてしまうと、特にマルチタスク機能を使ってYouTubeなどの動画+Twitterの2画面表示などが快適で非常に重宝する。
Xperia 5 IIIの右側面。上部から音量キー、電源キー兼指紋センサー、Googleアシスタントキー、そして指で隠れているがシャッターキーがある。
撮影:小林優多郎
生体認証には、主に電源キー兼用の指紋センサーを引き続き採用。マスクを付けていても、特にストレスなく、画面ロック解除や各種アプリの認証などを実行できる。
CPUはクアルコム製「Snapdragon 888」とハイエンドかつ現行では最新のチップを搭載。メモリーは8GB、ストレージは128GB。「Xperia 1 III」を含めたその他のAndroidのハイエンド機種に比べると、どちらもやや抑えめではあるが、個人的には十分な容量だ。
“手軽”な本体ד本気”の撮影性能の魅力
新旧機種で背面カメラを比較。Xperia 5 III(写真手前)の最下部のレンズが、少し雰囲気が違うのがわかるだろう。
撮影:小林優多郎
5 IIIの特筆すべき点は、1 IIIの特徴のひとつ「4種類の焦点距離を1台のスマホで撮れる」ことを、前機種・5 IIからほぼ変わらない大きさのボディーで実現しているところだ。
5 IIIの背面には3つのレンズが搭載されている。上から焦点距離16mmの超広角レンズ。真ん中には24mmの標準レンズ、そして最下部に70mmか105mmの可変式望遠レンズ。
レンズとしては3つだが、望遠レンズは内部のペリスコープ構造によって2種類の焦点距離を実現。簡単に言えば、少し遠い被写体と遠くの被写体どちらも、デジタルズームの劣化なくキレイに写せるようになっている。
例えば、作例1はBASICモードで標準レンズ(1倍)で撮影したものだ。構造物の複雑な直線が心くすぐるが、より寄ってみるとどうなるのか。
作例2がBASICモード時に望遠105mm(4.4倍)で同じ場所から撮影したもの。作業用の足場の網目まできっちり写っているのには驚いた。
小さな皿にのっている食事などを撮る際には、標準(1倍)で物理的に近づくか、望遠70mm(2.9倍)で寄ると比較的うまく撮れる(作例3は標準で撮影)。
また、超広角レンズも試してみたが風景などを撮る以外にも、大皿にのった料理を少し低めのアングルから撮ると、かなりダイナミックに写るので、手軽に“映えそう”な写真になって便利だ(作例4は超広角(0.7倍)で撮影)。
XperiaはXperia 1 IIIでカメラアプリを「Photography Pro」に統一。Photography Proはプロ向けの設定が細かくできるアプリだが、BASICモードという機能を追加することで従来の標準カメラアプリのような手軽な撮影もできるようになっている。
撮影:小林優多郎
前述の通り、これらの機能は1 IIIの特徴そのものであり、目新しさはあまりない。
ただ、より日常づかいしやすい大きさと組み合わせて考えると、日常のスナップショットがかなり楽しくなる。
購入時期の見極めが難しいハイエンドXperia
持ちやすさも性能も両立させたいなら、Xperia 5 IIIはかなりいい選択肢だ。
撮影:小林優多郎
2020年までに整理されたXperiaの基本的なラインナップは、最上位機種の「1」、持ちやすいハイエンドの「5」、そしてミドルレンジモデルの「10」があり、2021年は5 IIIの登場ですべて出そろった格好だ。
5万円程度の「Xperia 10 III」と10万円を超える1 IIIと5 IIIを比べる人はほぼいないだろう。では、1 IIIと5 IIIをどう選べばいいかと言われれば、まず本体と画面サイズ。次に予算(1 IIIと5 IIIではおそらく4〜3万円ほど、1 IIIが高い)を許容できるか、と考えていけばいい。
と、ここまで個人的にはこのように理解していたのだが、ソニーは日本時間10月26日正午にオンラインでXperiaの新製品を発表するとアナウンスしている。
ここ最近のソニーのリリース状況だとこの時期の発表は珍しく、どんな製品が出るかは発表されるまでわからないし、そもそも日本ですぐに出るのかも怪しいところだが、Xperiaを検討しているユーザーにとってはなかなか悩ましい状況だ。
Xperia 5 IIIも正確な発売時期や価格も決定前ではあるので、10月26日のグローバル発表を見てから再度検討してみてもいいだろう。
(文、撮影・小林優多郎)