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- G7財相会合は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)は中央銀行の使命を支えて「害を与えない」ものでなければならないとする共通原則をまとめた。
- CBDCを発行するのであれば、現金と共存し、安全な金融エコシステムに貢献しなければならない、としている。
- また、これらの通貨はプライバシーに関する厳格な基準を満たし、エネルギー効率に優れたものでなければならないとも述べている。
7カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7財相会合)は2021年10月13日、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)は、金融・財政の安定という中央銀行の使命の遂行を支援し、「害を及ぼさない」ものでなければならず、発行されれば現金を補完することになると発表した。
「もしCBDCが発行されれば、現金を補完し、流動的で安全な決済手段として、また決済システムのアンカーとして機能するだろう」と、ワシントンでの会議の後に発表された共通原則についての声明で述べている。
このような動きは、ユーザーの信頼を高めるために、厳格なプライバシー基準、ユーザーのデータ保護に関する説明責任、情報の使用と保存に関する透明性に沿ったものでなければならない。また、このガイドラインでは、CBDCはエネルギー効率に優れたものでなければならないとしている。
「CBDCのエコシステムは、サイバー犯罪のリスク、不正行為のリスク、その他の運用リスクに対する安全性と回復力を備え、不正資金問題に対応し、エネルギー効率の高いものでなければならない」とガイドラインでは述べられている。
中央銀行が発行するデジタル通貨は、金融界で最も注目されている話題の一つだ。CBDCの導入をめぐる議論は、中央銀行間の意見の相違や、ビットコインなどの暗号資産の推進派の行動によって、雲行きが怪しくなっていた。
バンク・オブ・アメリカは、物理的な通貨の役割が低下していることから、CBDCの導入は「避けられない」と述べている。
G7財相会合では、CBDCがコスト高やスピード不足などの課題を抱えるクロスボーダー決済(国境をまたぐ決済)を改善する可能性があることを認めている。その一方で、各国には「国際通貨・金融システムへの有害な波及効果を最小限に抑えるという共通の責任がある」と指摘している。
今回、彼らはCBDCに関する13の公共政策上の原則をまとめた。そこでは既存の決済手段との共存や運営の透明性の必要性が強調されている。
また、アメリカドルなどの安定した通貨に連動する暗号資産であるステーブルコインについても触れ、厳しい規制が必要だと述べた。
「貯蓄や決済の手段として広く利用されているステーブルコインは、適切な規制がなければ、金融の安定に大きなリスクをもたらすだろう」と彼らは指摘している。
そして、決済資産として広く採用されるためには、安定した価値を持つ必要があるが、裏付けのない暗号資産は非常に不安定なため、この機能を果たすことができないと付け加えている。
彼らは、G7の中でCBDCの発行を決定した当局はまだなく、今後も潜在的な政策的影響を慎重に検討していくと述べている。
中国は、主要経済国の中で唯一、2021年6月に独自のCBDCの全国展開を発表し、この動きの先陣を切っている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)